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この街が好きやねん
『俺は夢追いたいねん!高いレベルで勝負したいねん!』
『そんなもん許さん!夢で飯は食われへんねんぞ!分かってんのか!』
『そんな認めてくれへんのなら、出ていったるわ!』
『そうか、そうか!出ていけ!お前はもうウチの子と違うからな!好きにせぇ』
3年前そう言って僕は夢であったテレビ業界に飛び込んだ。
当初は希望に満ち溢れていたが、コロナ、身寄りのない生活、人間性の相違が重なり疲れてしまい、夢半ばであったが地元に帰ってきてしまった。
そしてあんな口聞いてしまったんだ、今更親に何で言えば...
『もう、ダメだろうな』
僕は、途方に暮れながら米原駅で下車した。
何だか懐かしい香りに思わず涙が溢れそうになる。
僕:ここ、武元といっつも喧嘩してたよな笑
あの頃は、楽しかったな...
武元とは、僕の家の二つ隣に住んでる同級生。所謂、幼馴染である。
昔からの中で幼小中高と一緒だった。
僕:何でそんな滋賀にこだわるねん
唯:そりゃ、大好きやからやん。居れるんなら
一生居たいわ〜
豊かな自然、歴史もある、海は無いけど日
本一の琵琶湖!赤こんにゃく!糸切餅!
他のとこじゃ味われへんねんで〜
最高やと思わん??
僕:思わん、大阪とかの方が楽しいやん
しかも、武元の滋賀愛が強すぎて眠なるん
よ
武:何でよ!滋賀も楽しいのに!さては、楽し
み方知らんな?
僕:知ってても都会には敵わんのよ....唯衣も
大阪の焼肉最高言うてたやん
武:うっ....それは、、ないしょや....
そんな事言ってたことも昨日のように思えてくる。
??:あれ?〇〇?いや、お母さんに家出て
上京したって聞いたような?
まさかこんなところに居らんよな...
でもこの声、この位置のほくろ
完全に〇〇やん!
僕:いや、人違いちゃいますか、、
武:いや、そんな事ない!私の目は騙されへん
で。
やっぱり〇〇やんか、何でこんなとこ居
るんよ。
お母さんから聞いたで夢追う言うて家飛び
出したって
ってか上京する前、何で一言くれへんかっ
たんよ絶対許さへんからな!
僕:ごめん...
返す言葉が無かった...
武元には上京することを伝えれなかった、伝える勇気がなかったが正しい。
僕:ただ、ただ、ごめん...
そして僕は経緯を話した。
武:なるほどな、、黙って行ったのは許さんけ
ど
しゃーない私が人肌脱ぐわ、アンタを滋賀
の男にしたる!
付いといで!
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単なる幼馴染だと思ってた、一度言ったら聞く耳持たないし、デリカシー無いし
ただ、何をするにも自分の芯はしっかり持っていたから、尊敬していた
そんな君が『疲れた』だなんて
彼はもう帰ってこないと思っていたから帰ってきてくれて嬉しかった反面
つらそうな顔してるところは見たくなかった
いっそのこと私の前に現れて欲しくなかった、忘れたかった存在なのに
ただ今は違う、『私が幸せにしないと』
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武:さぁ琵琶湖行くで!あぁ〜偉大なる湖よ〜
僕:、、、いやまあデカいけど
そんな偉大と思った事ないわ
武:ホンマ東京に染まりやがって、
久々にカヌー対決しようや
僕:あぁ〜懐かしいなこれ
よくやったよな〜いっつも俺が勝つから
負けるまでやらされたよな笑
武:負けへんからな〜
3!2!1!スタート
お互い勝負事となると真剣なところは変わらない
僕:よっしゃ〜勝った〜
武:ちょっとは手加減して〜や〜
僕:いっつも真剣にするから楽しいんやんか
もっかいするか?
武:次こそ負けへん
僕よっしゃ!また勝たせてもらうで〜
二人は子供に戻ったかのようにはしゃいだ
そこにはもう、落ち込んだ彼の姿は無かった
僕・武:あぁ〜楽しかったぁ〜
武:はい、びわ湖サイダー
僕:おっ、懐かし!これ美味いんよ
東京じゃ売ってないから恋しかったんよ
な〜
さすが好きなもの覚えてるもんやな武元も
武:そ、、そうかなぁ。偶然ちゃう?
ま!飲も!乾杯!
僕:おっ...か、、乾杯!
ってかお互い急に緊張するやん笑
武:ホンマそれ笑笑
これだけじゃ終わらんで〜さぁ次、次〜
僕:ほーい
そこから彼女の滋賀愛に懐かしさと、何処か安心感を感じていた
僕:1日ありがとうな。おかげで楽しかった頃
の滋賀思い出せたわ。
武:せやろ〜
僕:上京して『幸せってなんやろ』って思って
暮らしてたけど
こんな近くにあったなんてな、気づかない
俺もアホやな、ほんまアホ
それに、一度は裏切った男やのに何でここ
までしてくれるん?
武:〇〇...ホンマ、アホなんやから...
武:過去はどんな内容だったとしても笑うこと
ができるんやで。
実はこれ好きな小説の一節
これから未来に向かって、一緒に笑ってい
かん?
まさかの告白で心が動揺する。
僕:まさかの答えでビックリなんやけど
俺を滋賀の男にして下さい。こちらこそ
お願いします。
武:やった〜念願の〇〇の彼女決定!
fin笑
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