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【レコードと言えば…】

今はアナログレコードは一部の趣味の人のアイティムで、殆どの方はiTunesとかの配信で音楽聞いてるんじゃないでしょうか?
もしくはCD。

過去、アナログのレコード盤&磁気テープ(オープンリール〜カセットテープ)の時代を長く過ごし、その後MDとかCDとかに取って代わられ、今では音楽はインターネットで配信されるものに変わってきています。
そんな時代なんですが、敢えてレコードの話を…。

そもそもレコードは蝋で出来てたんですよね。
かの有名なエジソンが発明した、蓄音機に端を発します。
エジソン式の蓄音機は、蝋管に溝が掘ってあり、それを針でなぞることで音として取り出すのですが、電気で動いてるわけじゃないので、ラッパ状のホーンを使って、溝の音を増幅してました。
当然モノラルであるし、音質も「音が聞こえる」レベルの話で、音質に拘ることは事実上無理でした。

其の蓄音機の蝋管はもろく、数回再生すると溝が削れて、音が出なくなるためより硬い素材で録音媒体を作る必要に迫られ、SP盤(円盤状のプラスチック製の記録媒体)が開発され、その上に針を落として、ホーンで増幅して聞く形になります。

そのSP盤の代わりにより安価で生産しやすい塩ビ板が採用されるわけですが、塩ビ板だとそれまでのSP盤の針圧に絶えられないため、音が小さくなる欠点がありました。
そこで、針にマグネットを装着しコイルを通じで、音声を電気信号に変換することで、電気的に増幅できる様になったのが、いわゆる「電蓄」ってやつでして、この段階では蝋管からSP盤(円盤状の記録媒体)に変わっていましたので、ほぼ現在?のレコードプレーヤーの形になったのですが、この時点ではまだターンテーブルは電動化されていませんでした。
(ゼンマイなどで動いてた)
その後、ターンテーブルも電動化された、レコードプレーヤーに成る訳ですが、私が生まれた頃には既に電動のレコードプレーヤーしか存在しなく、電蓄なる言葉は、お爺ちゃんたちが使うに留まっていたように記憶してます。

さて、前置きが長くなりましたが、そんなアナログレコードなんですが、塩ビ板の外周から、内側にかけて細い溝が彫り込まれており、そこにダイヤやサファイヤ等の硬い鉱石で出来た針を滑らせることで、音声信号を取り出します。

【レコードは外周部の方が音が良い?】

で、当たり前に考えて、外周側の方が内側よりも、情報量が多いって事に気づきますよね?
つまり、一定時間にトレースする溝の長さが、外周部のほうがより長いってことなんですけども…。
故に、アナログレコードは、外周側、つまり1曲目とか2曲目の方が、その後の曲よりも音が良いんです。🤣
嘘みたいな話ですが、物理的に情報量が多いって事はよりよい音が再生できるという事なんですよね。
しかし実際には、録音された環境や元の音にもよるので、一概にいえないんですが物理的には外周側のほうが音が良いんです。

【レコードはピッチが不安定?】

さらにプレーヤーの構造から、ピッチが不安定という事にもなるんですよ。
レコードは一定の回転、つまり一定の速度で溝をトレースする必要があるんです。トレースの速度が変わると、ピッチが変化しますから、可能な限り一定の速度でトレースするのが望ましい。

しかし、実際にはレコード針のトレース速度は刻々と変化します。
これは、そもそもカッティングマシン(レコードの溝を掘る機械)の針は、円盤の中心部へ向かって外周側から平行移動してるのに、再生するときのレコードプレーヤーは、弧を描くように移動することから起きる現象なんですね。

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この図で行くとFig 1の方がカッティングマシンの針の動きで、Fig 2の方が一般的なレコードプレーヤーの針の動きなんです。
周辺部と内側では、針が2次元的な動きをするので、レコードの回転が一定でも、事実上の針の速度が流動的に変わっていくんですよ。
つまり、レコードは1曲目か最終曲に向かって、刻々とピッチが変わるんですよ。
だから、長い曲だと曲の途中でチューニングが自分のギターとずれて来る。🤣
当時はこれを、「ギターのチューニングが弾いてるうちに狂った」と思ってたんですが、識者に拠るとこう言うことだったらしいのです。🤣

このズレは聞いてるだけじゃ、あまり気にならないんですね。
絶対音感のあるミュージシャンならともかく、一般の人は気づかないレベルの変化なんですが、ギターをチューニングして合わせて弾いてると、1曲目と2曲目ではなんか微妙にピッチが違う(音が濁る)なんてことが普通に起きるわけです。🤣
当時は理屈を知らなかったので、なんでそうなるのか、自分の腕が悪いのか、ギターの精度が悪いのかって本当に悩んだものです。

【プレーヤーの再生方式で音が変わる…】

プレーヤーの再生方式、と言うかレコード針の方式には、ムービングマグネット式(MM式)とムービングコイル式(MC式)ってのがありまして、MM式の方が一般的に出力があるんですよね。
まぁ、振動(音)を電気信号に変える場合、殆どの場合フレミングの法則に則って、コイルに磁気をあてて、その磁気の変化に拠るコイルの発電を取り出すと言う方式を取るのですが、まぁ、エレキギターのピックアップや、ボーカルマイクやスピーカーも原理は一緒です。

レコードの場合、針に磁石を取り付けているか、コイルを取り付けているかで、再生方式が変わるわけです。
針に磁石を取り付けて、針の振動を磁石を通じてコイルに伝える(MM式)、もしくは針にコイルを取り付けて、固定されたマグネットに対して動かす(MC式)ことで、コイルが電気を発生させて、それを増幅することで音声として取り出すって事なんですが、一般にMC式の方が、音が良いと言われています。
其の根拠は、コイルの方がマグネットに比べて質量が小さいので、針に余計な負担がかからない分、溝の情報を漏れなく拾えるという所から、MC式の方が音が良いとされてますが、MC式は出力が小さいので、専用のプリアンプが必要でした。

これは、リボンマイクの方が音が良いと言われてるのと、同じ理屈なんですよね。MC型カートリッジはリボンマイクみたいなものです。
しかしそれでも、増幅プロセスの間に音が失われることも多々あるわけです。

【今まで聞こえなかった音が聞こえる】

なので、後年デジタルリマスターとかで、昔のアナログレコードに入ってなかった(聞こえなかった)音が再現されていたりとかすると、妙な感動を覚える訳です。
でまた、ギター引っ張り出して、数十年ぶりに昔の曲をコピーとかするわけですが、今は殆どCDか配信なので、曲が進むにつれてピッチが変わることはありません。🤣

昔は、レコードを手で回して難しいフレーズをゆっくり再生して聞き取り、メロディーとして把握したら、脳内でピッチ変換して、ネックをなぞるなんて作業をしたものです。
レコードを手でゆっくり回すと当然ピッチもさがるので、本当に大変だったんですが、おかげで耳コピーにも慣れて、相対音感も自然と身に付くわけです。

まぁ、そんな懐かしいレコードの話ですが、私はこのアナログレコードの音が好きです。家具調ステレオで聞くレコードの音は古き良き時代を彷彿とさせ安心して死ねるなと言う気分にさせてくれます。😊

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