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将来の夢はサラリーマンです。


「将来の夢はサラリーマンです。」

高校生の頃だったか、私が将来の夢として記述した文章である。「将来の夢について作文を書きましょう」と、ありきたりなテーマを振られた書いたのかどうかは全く覚えていないが、とにかくこのように記述したことだけは覚えている。


何故、このような夢を持っていたのか?

私の実家は、小さな内装工務店を営んでおり、父はその経営者という立場だった。私が小学生だった頃、バブル経済あいまって経営は順調だったのか、父は「仕事の付き合い」と言っては、毎晩飲み歩いていた。ご帰宅は、私が小学校に登校する時間帯で、ほとんど会話をした記憶はない。

そんな父を見て、小学生の私は何を考えていたのか覚えていない。ただ、日曜日に放映してた「サザエさん」を観て、波平とマスオさんのように、会社員として仕事をして、たまには外で飲んで、多くは家族と夕食をとる、という平凡なサラリーマンに憧れを持っていたことは記憶にある。

そんな"サザエさん的日常への憧れ"があって、将来の夢にサラリーマンを選んだのだけれども、その理由は誰にも言わなかった。

でも私の母は感付いていたらしい。私が成人式を迎える直前に母は他界したが、彼女のブログにこう綴られていたからだ。

「彼の夢はサラリーマン。その理由を彼は決して言わないけれども私には分かる。子供が幸せだと思える家庭作ることが私の夢だったのだけれども。」

母は何でもお見通しだったのだなと感服し、同時に申し訳ない気持ちで一杯になった。

3年後に、就活というイベントを迎え、特段やりたいことが見つけれていなかった私は、結果的に夢をかなえる形で、サラリーマンになる。


高校生のころに夢見ていたサラリーマンになれたのだろうか?

30代半ばまではコレじゃない感で一杯だったと思う。「定時に仕事を終えて、一杯だけ外で飲んで、夕食は家族で団らんで。」なんて"サザエさん的日常"は稀で、大半は「遅くまで残業をして、夜食はコンビニで済ませて、遅くに帰って彼女に愚痴を言う」日々だったから。

でも最近は、「働き方改革」だったり、「コロナ禍のテレワーク」もあって、自宅で過ごす時間も増えてきた。自分の家庭はつくれていないけれど、これで家族ができれば、私が描いていたサラリーマンにグッと近づけると思う。

何か強い意志を持って生きてきた訳じゃないけれど、人生なんとなく想像していたところに収まるものだ。笑

今テレビの向こうで光輝いているオリンピック選手とは比べようもない平凡な人生ではあるけれども、これが私の目指す「私らしいはたらき方」だ。

#私らしいはたらき方

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