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【ライブ感想】人間椅子「色即是空~リリース記念ワンマンツアー~」青森公演

4年ぶりの参戦は、彼らの地元青森

青森が生んだ奇才にして、日本が世界に誇るハードロック・ヘヴィメタルバンド、人間椅子。
自分は彼らを10年以上応援しているファンだけど、2019年から今年の春まで勤務地が釧路だったのと、コロナ禍が重なってしまい、ここ数年ライブから遠ざかっていた。
最後に見たのは、2019年の札幌公演(釧路から行くのはなかなか大変だった…)。
釧路へ転勤する前、神奈川や埼玉に住んでいたころは、年に数回のペースで行っていたのに…。
そして今年、春から岩手へと転勤したことで遠征の難易度が下がると同時に、コロナ禍も明けてきた。
これは…見に行くしかないではないか!

今回彼らのライブを見に行くに際して、2つの選択肢があった。
1つ目は、岩手県北上市から車で2時間弱の距離感である仙台公演。
そしてもう1つが、3時間以上かかるけれども、彼らの地元である青森での公演。
これは…青森に行くしかないでしょ!
地元ということで「何か特別なもの」が見られるかもという期待感を胸に、チケットを予約する。

発券したチケットに書いてあった整理番号は、75番。
最前列に突っ込めるような「当たり」ではないけど、まあ悪くもない。
その想定通り、入場から速やかにロッカーに上着をしまい、ドリンクチケットを使わずにフロア前方へ移動すると、横位置はほぼど真ん中、とりあえず5列目ぐらいの位置を確保。
「ライブが始まったらもっと圧縮されるだろうな」なんて考えつつ、自然とテンションは上がっていく。

定刻通り、そしていつも通り「此岸御詠歌」を出囃子に、メンバーが登場!
このメンバーが登場する瞬間の高揚感…!
…って、ん!?
ベースの鈴木研一が椅子に座っている…?
なんでも、持病の脊椎管狭窄症が悪化していたそうで、今回のツアーでは基本的にこのスタイルでやっているそうな…。
ただ、幸いにも良くなってきているとのことで(「最初の頃は歩けないほど悪かったけど、今は青森駅から県庁ぐらいまでは歩けるかな」と地元トークで笑いを誘う)、序盤から時折立ち上がり、ライブの終盤は椅子を片付けて立ちながら演奏するぐらいには元気だった。

そんなサプライズはありつつ、ライブは新譜のオープニングトラック「さらば世界よ」からスタート!

とりあえず、セットリストはこんな感じ。

  1. さらば世界よ

  2. 悪魔一族

  3. 狂気人間

  4. 地獄大鉄道

  5. 屋根裏のねぷた祭り

  6. 新調きゅらきゅきゅ節

  7. 杜子春

  8. 蛞蝓体操

  9. 死出の旅路の物語

  10. 洗礼

  11. 今昔聖

  12. 未来からの脱出

  13. 宇宙電撃隊

  14. 針の山

  15. 星空の導き

  16. 瀆神

  17. 無情のスキャット

4年ぶりに生で見る人間椅子、やはり最高だった…!!
まず何より、彼らは本当に曲が良い!
新譜から9曲もやっているんだけど、それらがライブの定番曲に埋もれない、見劣り(聴き劣り?)しないクオリティ!
いわゆる「捨て曲」の少なさという面において、このバンドはやはり並みのバンドとは違うのだと、改めて実感する。
そして、定番曲とレア曲が入り混じった旧譜の曲も…当然素晴らしかった!
名曲「洗礼」のイントロが鳴った瞬間のフロアの盛り上がりよ…!
個人的には、他の公演では演奏していた「牡丹燈籠」が見られなかったのは少し残念だったけど、こればかりは仕方がない。
新譜のイチオシ曲である「死出の旅路の物語」は見られたから、チャラだな。

もちろん、演奏も相変わらずハイクオリティ!
「ギブソンからギターを提供してもらえるようになった」と嬉しそうに語る和嶋信治は、歌いながら弾いているのが信じられない高難度なフレーズを、相変わらずさらりとこなしてしまう。
「杜子春」の最初のフレーズをミスって「やり直す」一幕もあったのはご愛敬、運指のスムーズさやソロのテンションなど、一日を通してみたら好調な日だったと思う。
彼のSGから放たれるジャリジャリとした独特の切れ味、そして魂に響くような至高のリフからしか得られない何かが、この上ない満足感を与えてくれるのだ…。
終盤、「宇宙電撃隊」の間奏部分では、ギターを弾きながら「肩でテルミンを弾く」という新技(?)を披露。
いやそりゃ、確かにテルミンはそうやっても鳴るだろうけど、良くやろうと思ったな…。

健康状態が心配だった鈴木研一も、座りながらもあの独特の動きは失われず(笑)、いつも通り妖しさ満点の音を奏でる。
この、まとわりつくような重さとうねり。
別に「もの凄いテクニシャン」ではないと思うし、演奏面では特に奇抜なことをしている訳では無いのに(風貌や動きは奇抜極まりないけど…)、バンドの持ち味を決定づける、この個性の強さ。
楽器を全く弾けない自分には、その凄さを具体的に解説する術がないけど、これを凄いと言わずに何を凄いと言うのか。
とにかく健康面にだけは気を付けて、いつまでも元気に続けてくれ…。

元気印のナカジマノブ「兄貴」も、相変わらずパワフルな突進力全開でドラムを叩く!
ツアー終盤ということで自然と練度が上がっているだけかもしれないけど…、4年前の記憶より、明確に「良い」。
いや、元々全く悪くは無かったよ?
テクニックに不足は無いし、昔の人間椅子には無かった「陽なエネルギー」を注入したのは、間違いなく兄貴の功績だったしね。
その上でそのパワフルなドラミングが、和嶋・鈴木両名の奏でる重く・妖しく・極めて個性的な音と、以前よりも自然に融合している…ように感じたのは、気のせいだろうか?
彼らのライブから4年も遠ざかっていたので、断言はできないけど…。

そして、期待していた「地元ならではの何か」も…!
まず、途中のMCが完全に青森の人向け(笑)。
前述の「青森駅から県庁まで」を筆頭に、他の会場ではまず間違いなくしないだろうという話が、まぁ次々と…。
そして最大のサプライズは、青森県・岩手県・北海道に店舗を展開しているリサイクルショップ「萬屋」のテーマソング、人間椅子バージョンを披露!?

いやはや、ローカルすぎる…(苦笑)。
もちろん、青森公演限定とのこと。
そりゃそうだ。

大満足としか言いようがない!

彼らのライブが素晴らしいのは身をもって知っていたけど、4年ぶりに参加したライブでこれだけのものを叩きつけられると、その衝撃は思った以上に大きかった…!
シンプルながらも…シンプルだからこそ素晴らしい、キレッキレの重低音で奏でられるリフに抗うのは不可能で、狂ったように頭を振り、拳を突き上げ、叫んでしまっていたよ…。
もうね、首は痛いし、喉もガッサガサだし…。
とか言いつつ、またライブに参加したら、この日と同じように後のことを考えずに、全力で楽しんでしまうだろうなぁ。
そうなるのを改めて確信するぐらい、本当に今回のライブは楽しかった…!!
やはり、ライブは死ぬほど楽しい…!!

これから先、またツアーがあれば参加するぞ~!
そのためにも、そろそろ還暦を迎えるメンバー、健康にだけは気を付けて…。
これからも元気に活動を続けてくれることを願うばかりだ。


おまけ

個人経営の小さな居酒屋に8人の客が入り、そのうち5人が人間椅子ファンという面白すぎる事態に…(笑)。
自分も含めた4人は、日付が変わって店じまいをするまで楽しく居座っていた。
癖が強すぎる大将、見た目が元ACCEPTのウド・ダークシュナイダーに激似なのも面白すぎた…。

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