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火星が悦ぶ時刻に(詩)


鐘の声は慎ましく

あの古池からは

苔の灯りは消えた

西の方から巨大な火玉が

肌をも焦がす

火星が悦ぶ時刻に

黄金のジュータンを

呼び寄せる

ぐにゃりとした橙光が

目の奥で踊りはじける

トンボの群は懐かしく吠えて

吸い寄せられていく

炎色のガラスの温度は冷たい

西火は衰え去って逝く

東から鋭い目が澄ましてくる


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