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悪の王子様の話

 特撮ヒーローや、ロボットアニメの敵は「●●帝国」であることがたまにあり、そうなると敵幹部に「皇帝の息子」がいることがある。キャスバル・レム・ダイクンだってその変化球なわけだし。
 こういう「悪の王子様」は、敵サイドのドラマを背負っていることが多い。好きなキャラも結構いるので、そういった「悪の王子様」についての話をする。

 今回は、「科学戦隊ダイナマン」に登場したメギド王子について話す。

 メギド王子は、カッコイイ悪の王子様の筆頭だ。この5、6年前くらいからロボットアニメでは「悲劇の王子」が敵サイドに配置されてることが多くて、その辺の影響受けてんじゃないかなーと思った。
 「尻尾がたくさんあるほど強くて偉い」という価値観を持つ地底人の王子で、5本の尻尾を持っている。
 真面目な性格で、側近の死に涙したり、スパイ疑惑をかけられた部下を弁護したり、結構イイ奴だ。帝王である父への忠誠心も篤い。第1話で、地上侵攻の先鋒を務めるが、ダイナレッドに尻尾を1本切り落とされるという屈辱を味わう。以降、ダイナレッドへの復讐に燃える。
 でも基本的には、毎回出てきてはやられて「おのれダイナマン! 覚えていろ!」と帰っていくような役割だ。要は春日恭二である。

 物語の中盤。メギドの運命は大きく変わってしまう。野心家の女将軍の策略に嵌められ、父である帝王から罪人の烙印を押されてしまうのだ。尻尾をすべて切り落とされ、千年洞窟なる場所に幽閉されてしまう。
 その後、メギド王子は行方不明となるが、時期を同じくしてダークナイトという正体不明の謎の剣士が暗躍するようになる。ダイナレッドや女将軍に対して強い敵意を抱いているようだが、その素性はまったくの謎だ。

 その後、ダークナイトは憎んでいるはずの女将軍に接近、「お前ほどの女が今の地位に甘んじているとは、とても思えないのだがな?」と、尻尾を増やすアイテムの存在をほのめかす。
 このアイテムを使えば、伝説の10本尻尾(帝王でさえ9本しかない)になることも夢ではない。女将軍はダークナイトの口車に載せられ、見事10本尻尾となるが、その力に肉体が耐えきれず死ぬ。
 ここで明らかになる衝撃の真実。ダークナイトの正体は、実は千年洞窟を自力で脱出したメギド王子だったのである。

 メギドはその後、女将軍に唆されて自身を裏切った父のもとに殴り込みをかけ、一騎打ちを申し込む。0本尻尾が9本尻尾に勝つという、一族の価値観を根底から覆すジャイアントキリングに成功し、メギドは一族の新たな帝王となる。
 この後、王子時代は喧嘩ばかりしていた分家の令嬢と結婚するので、マジで主人公みたいなムーブである。

 帝王となった後も、一族の悲願である地上侵攻を諦めることはなく、結果的にダイナマンとの最終決戦を迎える。負けを悟ったあとは妻だけでも逃がそうとするが、彼女の決意を汲み、最期は二人で戦闘母艦に乗り込み、ダイナロボとの一騎打ちに臨む。
 というのがメギド王子のストーリーだ。
 「ダイナマンと言えばメギド王子」というくらい、扱いが際立っていた悪の王子様であり、後の戦隊にも大きな影響を残している(オーレンジャーの皇子ブルドントとかは、マジでメギドのリメイクみたいなストーリー)。

 やっぱり「春日恭二ポジの王子が、味方にはめられてすべてを失う」という展開と、そこからの再起が好きなポイントだ。メギドの場合は、「尻尾が多いほど強くて偉い」という敵組織の設定が、メギドの屈辱と転落、そして呪縛を振り払うまでのすべてに有効に作用していたのも良かった。
 これ、主人公であっても多分好きなキャラなんだけど、敵だからこその味わいもあるのが難しい。特に、春日恭二ポジだってのは敵だからこそ映える部分だしね。

 本当は、他の「悪の王子様」についても語りたかったんだけど、文字数がかさむので別の機会にすることにした。とはいえメギド王子が大本命なところはあるな。
 こういうキャラ、JRPGにもいそうだなーと思ってるんだけど、ゲームへの造詣が深くないので思い至らない。なんかいたら教えてください。

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