見出し画像

「パスワードが間違ってます」シナリオ②

【テーマ】
世那さんの『パスワードが間違っています』

【シナリオ】
○サキの自宅・夜
  暗闇の中PCを開いて何かを打ち込んでいるサキ(30)。
  夫の博之(35)は寝室で寝ている。
サキ「開いて開いて……」
  サキの横にはラインが開いており、グループラインで友人の1人
  スミレが昔のSNSの黒歴史が原因で離婚したとの話題で持ち切りに。
  『サキも消した方がいいよ』などの会話が盛り上がっている。
  サキ、パスワードを打ち込むがマイページが開かない。
サキ「ペットの名前……元彼との記念日……好きだったバンド……」
  頭を抱えるサキ。
サキ「どうしよ……みつかったら博之さんに幻滅されちゃう……やっと結婚まできたのに……」
  部屋の棚に飾ってある二人の写真をみる。
サキ「……こうなったら」
  サキ、PCでミクシィのページから新規登録のページを押す。
サキ「変な投稿がされていなければいいのよ……」
  サキ、名前、誕生日など適当に新しくプロフィールを作り始める。
サキ「これで完成っと……」
  ミクシィの検索を始める。
  出身の中学、高校と検索を絞って友人のスミレをみつける。
サキ「いた!スミレは中高一緒だからきっと友達に私がいるはず……」
  サキ、スミレの友達一覧から『saki♡』のアカウントをみつける。
サキ「……(少し安堵して)恥ずかしい名前の書き方……」
  サキ、自分のプロフィールをクリック。
サキ「え」
  『saki♡』の直近の呟いた日付が今日になっており
  『いよいよ結婚式は来週!』と書かれている。
  アルバムをみても自分の最近の写真が投稿されていた。
サキ「嘘……私のアカウントが…誰かに使われている……」

○カフェ・翌日
  スミレや他の友人とランチをしているサキ。
友人「本当にスミレかわいそう。旦那さん何もそれで離婚なんてしなくていいのにね」
スミレ「どうやら私を清廉潔白な処女だと思ってたみたい。向こうはおぼっちゃまで初めての恋愛だったからね」
友人「そんな人うちらの年齢で今時いるわけないのにね」
スミレ「慰謝料とれるだけとってやるんだから!」
   興奮しながら食事を進めるスミレ。
サキ(声)「一体誰が私のアカウントを……」
  サキ、スミレをみる。
サキ(声)「もしかしてスミレ?写真はスミレと居る時にしか撮っていないのが多かったし……呟いているのもスミレしか知らないことがあった……」
  と、スマホの通知音。『saki♡さんがつぶやきました』と書かれている。
サキ(声)「スミレは今はご飯食べているしスマホを触った様子もなし……じゃあ違うのか……」
  サキ、恐る恐る呟かれた内容をテーブルの下で確認する。
サキ「きゃ!!」
  そこにはサキが今友人とランチを食べている写真が投稿されていた。
スミレ「どうかしたの?」
サキ「……なんでもない」
  サキ、周りをキョロキョロ見渡す。
サキ(声)「一体誰が……」

○サキの自宅・夜
  サキ、1人で料理をしている。
  スマホは夫からのメッセージの画面が開かれ
  『今日は同僚と食べてる。1人で先に食べてて!』と書かれており、
  同僚たちとの写真も送られている。
サキ「写真わざわざ送らなくてもいいのに(微笑んで)……それよりも」
×    ×    ×
  フラッシュ。カフェ。
  サキ、『saki♡』のアカウントに投稿された自分達の写真をみる・
×    ×    ×
サキ「……あの場にアカウントの持ち主がいた……」
  サキ、料理をテーブルに運んで座る。
  と、スマホを持ってミクシィの画面を開き、マイミク申請をする。
サキ「……」
  ご飯を食べ始めるサキ。
  とすぐにスマホの通知音が鳴る。
サキ「!!」
  サキ、食べるのをとめてすぐに確認すると申請が承認されている。
サキ「承認された……」

○サキの自宅・お風呂場
  湯船につかっているサキ。手にはスマホを持っている。
サキ「何から聞くんべきだろう……」
  サキ、試しに『申請ありがとう!良かったら仲良くしましょう!』
  のメッセ―ジを送る。
  と、『こちらこそ!よろしくね!』の返信がくる。
サキ「本当は誰なんですか……って聞けないか……程よい会話を……そうだ!」
  サキ、今日アカウントが投稿したカフェでの写真に対して
  『実は私も近所に住んでいてここ行ってみたかったんです!』と送る。
  すぐに『本当ですか?じゃあ今度良かったら是非一緒に行きましょう!』と返信があり、続けて『明日のランチとかどうですか?待ち合わせは東公園の広場とかで』と書かれている。
サキ「……明日」
  少し考えたのちに『是非!』と返信する。

○サキ・自宅・寝室
  布団に入っているサキ。
  と、寝室の扉があいて博之が入ってくる。
サキ「(ゆっくり身体を起こして)おかえりなさい」
博之「ごめん!寝てたのに起こしちゃったね。お風呂入って僕もすぐ寝ようと思う!」
  博之、申し訳なさそうに部屋を出て行く。
サキ(声)「そうだ。この人のためにも正体をみつけなきゃ。明日で全部終わり……それで私たちは何の心配もなく結婚する……」

○東公園・広場・翌日
  時計は12時5分前。
  サキは待ち合わせ場所が見える少し離れた位置からみている。
サキ(声)「待ち合わせは12時にあそこ……犯人をみつけたらすぐに問い詰めて削除してもらう……困ったら……」
  サキ、自分の鞄をみる。
  封筒の中にお金がいくらか入れてある。
サキ(声)「最悪これで納得してもらう……よし……問題ないはず」
  と待ち合わせ場所で立ち止まった人をみつける。
サキ「……まってよ……なんで」
  サキの視線の先にいたのは博之だった。
サキ「……そんなはずない……だって今日は仕事のはずだし……」
  とミクシィがsaki♡からの『到着しました!』のメッセージを受信する。
サキ「何でよ……何で博之さんがそこにいるのよ……」
  サキ、試しにラインで
  『博之さん、今日のランチは何ですかー?』と博之に送る。
  待ち合わせ場でスマホを触る博之。
  ラインで『今日は同僚と中華ランチを食べに来ています!』
  と同僚と博之の写真つきで返信がくる。
サキ「!!」
  博之をみるサキ。
サキ(声)「嘘をつかれた……博之さん……あなたの目的は……何……」
  博之、口笛を吹き、ご機嫌そうに待ち合わせ場所で待っている。

(つづく)