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「クソ男オブザイヤー」

【テーマ】
柴田百合子さんの『テレビ東京#100文字ドラマ(案)』

【シナリオ】
○日の出湯・サウナ
  石がジュッと音を立てる。空気が暑さで歪む。
  扉が開き3人の女子彩菜(22)、瑠璃子(28)、里美(32)の3人が入ってくる。
  バスタオルを甲冑のごとく巻き、3人の顔は戦に臨む武士のように凛々しい。
里美「では、若者よ、今週のテーマをお願いします」
彩菜「はい……今週のテーマは『ミスター・ナマ男』です」
瑠璃子「やだ、どきどきしちゃう」
里美(声)「一体これは何を話しているかというと……我々独身女子3人、通称ビッチーズは銭湯で知り合ったのだが『サウナの中って暇だよね』とのことから毎週今週のダメンズをお題に自分の実体験を話し、それをこの人生の先輩達に対処方法を教えてもらい心も体もデトックスする取り組み『クソ男オブザイヤー』の話をしているのだ……」
テロップ『これらの話は一部偏見がございます。ただの女子会としてご覧ください。♡』
彩菜「こないだ大学生との合コンで某ミスターと合体する機会ありまして……」
瑠璃子「彩菜ちゃんおっぱいおっきいもんね……やはりおっぱいはミスターをも落としますか……」

○ミスターの家(回想)
  彩菜とミスター、下着姿でキスを繰り返している。
ミスター「はあはあ」
彩菜「はあはあ」
  ミスター、彩菜をベッドに押し倒し下着をとる。
ミスター「ナマでいい?(興奮して)」
彩菜「は?いいわけないじゃん!絶対だめ!ちゃんとつけて!」
ミスター「だよね、よかったちゃんとしてる子で!ナマでいいよって言われると萎えちゃうから彩菜ちゃん試したんだよ(言い訳ぽく)」

○日の出湯・サウナ(回想戻り)
里美「それはもう確信犯だね」
瑠璃子「いいよって言ったら絶対ナマで入れてたじゃん、そのミスター」
彩菜「そうなんです、結局しましたけど、私の方が逆に萎えちゃって……正直ミスターだからって調子のってんじゃなえよ!ってぎゃふんと言いたかったんですけど……」
瑠璃子「かわいそうな彩菜ちゃん……」
  瑠璃子、彩菜の頭を撫でる。
彩菜「それに……合体するまでにいくつか違和感もあって……」
里美「お。新情報だ。聞かせて?」
彩菜「……はい」
  3人が徐々に汗をかいている。

○ミスターの家(再び回想)
彩菜(声)「ミスターにはどうやら彼女がいるっぽかったんですよね……」
  ベッドで一人でいる彩菜。
  部屋の外からはミスターがシャワーを浴びる音が聞こえる。
  彩菜、キッチンをみる。とやたらマニアックな調味料やキッチン用品が沢山置かれている。
彩菜(声)「その①料理に興味がないのにやたら用意してあるキッチン用品と調味料」
瑠璃子(声)「ってことは同棲かなー……」
  ミスター、シャワーからあがる。
ミスター「彩菜ちゃんも次入ったら?」
彩菜「ありがとう……」
  彩菜、シャワーに向かう。
  と、洗面所に歯ブラシが2本、化粧水、シャンプー等女性ものが置かれている。
彩菜「その②明らかに彼女のものと思われる歯ブラシ、化粧水、シャンプー……」

○日の出湯・サウナ(回想戻り)
  顔にもじわっと汗をかき始めている3人。
彩菜「その中でシャワー浴びる私の気持ちですよ……」
瑠璃子「彩菜ちゃんいい子いい子」
  瑠璃子、彩菜を抱きしめる。
彩菜(声)「この会のいいことはここからだ……」
  彩菜、瑠璃子のハグが終わると姿勢を正す。
彩菜「それでは先輩方……今回の先輩方の対処法を教えて下さい」
  瑠璃子と里美も姿勢を正す。
瑠璃子「(軽く咳払い)では私から……」

○ミスターの家(回想)
  先ほどの彩菜が瑠璃子に入れ替わっている。
 ミスター、シャワーからあがる。
ミスター「瑠璃子ちゃんも次入ったら?」
瑠璃子、洗面所で女性ものの用品をみつける。
瑠璃子(声)「そもそも彼女がいるのにナマを求めている時点で感染テロリストだからね」
彩菜(声)「感染テロリスト……」
瑠璃子(声)「絶対他の人とも同じことしてるからそいつ。そんなやつ菌の恐ろしさを知ればいい……私だったら……」
  瑠璃子、化粧水、シャンプーを全てお風呂に流す。
  その後、ミスターとその彼女のものと思われる歯ブラシでトイレの汚れをごしごしする。
瑠璃子(声)「これが私が本命がいることがわかった相手にした実体験、『トイレ歯ブラシ』よ」
  歯ブラシの先端はいかにも菌がついてそうに汚れている。

○日の出湯・サウナ(回想戻り)
  いい感じで汗をかいている3人。
彩菜「うわ……それは悪質……けどそれじゃあミスターも気づいてすぐ処理しちゃうんじゃないんですか?」
瑠璃子「それはそれでいいのよ。ミスターに間接的に『私、女がいるの気付いてるわよ。あなた汚らわしいわ』と伝えるのがポイントだからね」
彩菜「勉強になります……」
瑠璃子「さあ、じゃあ最後姉貴、しめてください」
里美「私の番ね……」
  里美、顔に垂れてくる汗を拭く。
里美「私だったら……」

○ミスターの家(再び回想)
  彩菜が里美に入れ替わっている。
  ベッドで一人でいる里美。
里美(声)「そもそもこの30越えた独身女性にそんな接し方をするのは重い罪よ……」
瑠璃子(声)「言葉が染みます……」
里美(声)「一緒にいる彼女も同じ罪。2人して辱めを受けて破滅すればいいと思う」
  里美、キッチンに移動する、
里美(声)「料理をつくっているのが彼女ということはキッチン用具は彼女しか使わない……そこに細工するのよ」
  里美、キッチン用具から麺棒を取り出し、麺棒の先にコンドームをつけてまたしまう。
瑠璃子(声)「なんというアイデア!!」

○日の出湯・サウナ(回想戻り)
  汗だくの3人。
里美「その場では明かさず後日彼女がそれをみつけるのがポイントよ……」
彩菜「それは流石に彼女さんも引きますよね」
瑠璃子「ドン引きでしょ!私が彼がそんなんだったらもう無理だわ」
里美「ドン引き間違いなしの『Men棒』大作戦よ」
彩菜・瑠璃子「勉強になります!」
  里美に向かって頭を下げる。

○同・受付
  3人がすっきりした表情で玄関に向かっていく。
彩菜「今日もスッキリとデトックスできました!」
瑠璃子「彩菜ちゃんが毎週面白い男のネタをもってきてくれるから楽しめてるよ(笑って)」
里美「私達もデトックスさせてもらってるし来週も『クソ男オブザイヤー』頼むわよ(笑って)」
  3人の後ろ姿をみる店主。
  『サウナでクソ男オブザイヤーとか言って男を罵る独身女達 # クソ女オブザイヤー 』とツイートをする。


(つづく)