妖怪とウンディーネにうっとり 週報023(2021/03/28)


 Netflixで配信されていた「陰陽師: 二つの世界」を観た。本作は夢枕獏による小説「陰陽師」シリーズを原案にした中国映画。先に配信が始まった「陰陽師: とこしえの夢」の続編という訳でもないようで、「とこしえの夢」に出てきたキャラクターが「二つの世界」に出てくるようなつながりはなかった。音楽を「とこしえの夢」から引き続き川井憲次が続投しているのがうれしい。物語の前半で、帝への献上品を盗んだと疑いをかけられた安倍晴明を追っていた兵士が妖怪の住む世界に迷い込む。そこを始めとしたさまざまなシーンに出てくるたくさんの妖怪たちの数々や絢爛な美術、セットがよかった。「ヘルボーイ ゴールデン・アーミー」の美術やセットで楽しい気持ちになったのを思い出した。貧乏性なのか、リッチな画面を観ると得をした気分になる。不満があるとしたら、Netflixだと日本語吹き替え版がなかったので「安倍晴明」以外の固有名詞を一切合切覚えていない。値上げもしたことだし、頑張って吹き替え作品を増やしてもらえるとありがたい。


 久しぶりに『ARIA The CREPUSCOLO』や『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』、『ガールズ&パンツァー 最終章[第3話]』と、今月は新作アニメを映画館で観ることができた。『ARIA The CREPUSCOLO』は、TVやOVAといったこれまでのシリーズの続きもの。ストーリーは、元気がないように見えるアリスを心配した後輩のアーニャの視点から描かれる。先輩であるところのアテナはウンディーネを引退し、後輩も出来たアリス。一人前のウンディーネを目指して、それぞれの観光会社の門を叩いた彼女たちの初々しい姿が描かれたこれまでの物語よりも、本作はほんのちょっとだけほろ苦い。『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』も、僕にとってはこれまでのどのシリーズよりもほろ苦く感じた。このほろ苦さは、「劇画・オバQ」とちょっと似ている気がする。「劇画・オバQ」は、「藤子・F・不二雄短編集」に収録されている短編マンガ。オバQが大人になった主人公の正ちゃんたちと再会し、交流していく中で、正ちゃんたちや自分がいつまでも子供のままではいられないことを悟るお話。自分が段々とそんな年齢になったからか、なんかそんな作品を定期的に繰り返し観せられている気がして、まさにほろ苦い気分になる。
 『ARIA The CREPUSCOLO』に話を戻そう。本作からキャラクターデザインが伊東葉子に変わった。伊東葉子によるデザインは睫毛部分の線の多さがとても好みで、とにかく艶っぽい。立体感を感じさせる睫毛の線にもうウットリ。ほろ苦い話だといいながら、ニタニタしていたらアッという間に終わってしまった。次作が年内公開らしいので今から待ち遠しい。

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