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投資信託について2

おはようございます。
キツネの目と申します。
本日も前回の引き続き「投資信託」について記載していきます。
よかったら参考にしてください


証券投資信託の運用

・投資信託委託会社の義務



投資信託の委託会社に対しては、受益者に対する義務が定められています。

・運用忠実義務
受益者の利益のために忠実に業務を遂行しなければならない。

善管注意義務
受益者に対して善良な管理者の注意をもって業務を遂行しなければならない。

誠実、公正義務
受益者に対して誠実かつ公正に業務を遂行しなければならない。

損害賠償責任
委託会社が任務を怠ったことにより、受益者に損害を生じさせた場合には、損害賠償責任を負う。

・投資信託の運用手法


投資信託の運用手法は、投資を行う際に、基本となる考え方の違いによってその手法が異なります。
投資信託を代表する運用スタイルは、「アクティブ運用」「パッシブ運用」です。

・アクティブ運用とパッシブ運用(インデックス運用)


アクティブ運用とは、日経平均やTOPIX等のようなベンチマークと呼ばれる指標を上回る運用を目標にしている運用スタイルです。

 パッシブ運用とは、ベンチマークの値動きに忠実に連動することを目的としている運用スタイルです。
代表的なものとして、インデックス運用があります。

 パッシブ運用は、ベンチマークの値動きに連動することを目的としているため、たとえば日経平均株価に連動するパッシブ運用をするならば、日経平均の銘柄を全て買えば同じ値動きをする訳です。

 しかし、アクティブ運用は、ベンチマークの実績よりも上回ることを目的としなければならないので、運用実績を上げるために様々な手法が取られます。


【運用スタイルによる分類】

※インデックス運用
日経株価平均やTOPIXなどの市場インデックスの動きに連動した収益を目標とする運用方法のこと。
パッシブ運用とほぼ同義で使われることがあります。

・トップダウン・アプローチ/ボトムアップ・アプローチ


トップダウン・アプローチとは、文字通り、マクロ経済に対する調査など上位カテゴリーの基準を決めてから、個別銘柄を絞り込んでいく手法です。
経済環境などの要因を分析し、業種別や国別等の組み入れ比率を決定し、その後実際に組み入れる個別銘柄を絞り込んでいく手法のことです。

 ボトムアップ・アプローチとは、個別銘柄の選定を重視するスタイルで、企業訪問などの個別分析やリサーチによって銘柄を発掘し、組み入れる銘柄を積み上げていく手法のことです。
ファンドマネジャーやアナリストが企業調査や分析を行って利益を上げられそうな有望銘柄を選び、その積み重ねで投資信託を作っていきます。


・バリュー投資/グロース投資


バリュー投資とは、銘柄の割安さを重視した投資方法のことです。
現在の株価が、企業の利益水準や資産価値等に対して、割安な銘柄を中心にファンドに組み入れる手法のことです。

 グロース投資とは、成長性を重視した投資方法のことです。
企業の成長性に着目して、将来の売上高や利益の伸びが大きい等の判断基準で、銘柄をファンドに組み入れる手法のことです。


・証券投資信託の投資対象と投資制限


「証券投資信託」という名前を使う場合には、投資信託財産の総額の50%を超える額を有価証券(及び有価証券関連デリバティブ取引に関する権利)に投資しなければなりません。

 証券投資信託が投資できる資産及びその投資制限には以下のようなものがあります。

・株式
同一委託会社が、同一法人の株式の50%超を保有することは禁止

投資信託証券
投資信託の組入れは、純資産の5%以内まで
投資先ファンドの純資産総額の50%を超えて投資することはできない

・デリバティブ取引
デリバティブ取引を行うには、リスク管理を徹底することがもとめられている
あらかじめ金融商品取引業者が定めたリスクに対応する額がファンドの純資産総額を超える場合には、デリバティブ取引を行ってはならない


・証券投資信託の計算

・基準価格の計算

投資信託の基準価格は、投資信託の値段のことで、投資信託を購入したり換金する場合には原則としてこの基準価格で行われます。


・決算と分配


・決 算
信託財産ごとに計算期末現在の財務諸表を作成し、会計監査を受ける
委託会社は、運用報告書有価証券報告書を作成する

分 配
決算期ごとに決定
され、投資家は販売会社を通じて受け取る
分配の上限額が、投資信託協会のルールで決められている
決算から5営業日目以降に支払われる
分配金の時効は5年、償還金の時効は10年


・換金



投資信託を信託期間の途中で換金する方法には、解約と買取があります。

・換金途中換金
1、解約 
投資信託財産から取り崩して受け取ること
解約請求ができない期間をクローズド期間という。

2、買取
販売会社に受益証券をかいとってもらうこと

・換金の条件
信託財産留保額を控除するファンドもある。


・換金代金の支払い


  • 国内資産を投資対象としたもの → 換金申込受付日から4営業日目

  • 海外資産を投資対象としたもの → 換金申込受付日から5営業日目

  • MRF以外の日々決算の追加型公社債投資信託 → 翌営業日


・キャッシング


ここでいうキャッシングとは、MMF中期国債ファンドMRFの3つの公社債投資信託を換金する場合、本来翌営業日まで代金を受取れないのですが、それまでの間、換金代金相当額を販売会社が貸し付けることをいいます。

 利用者(換金請求者)にとってみれば、その日の内に代金を受け取れることとほぼ同じことになります。

 ただし、あくまでも貸付なので一定の制限があり、キャッシング限度額は各投資信託ごと500万円もしくは販売会社が決めた額となっています。


・証券投資信託の税金

単位型投資信託の場合、募集後に資金が追加されないため募集時の元本がそのまま元本ですが、追加型投資信託の場合、常に資金の追加があるため(追加購入者や売却者がいるため)、購入時期によって投資家ごとの元本が異なることになります。

 そのため、追加型投資信託では、個別元本方式という仕組みで税額計算を行います。
個別元本方式とは、課税計算を個々の受益者の取得価格を基に算出する方法です。

・個別元本

個別元本とは、受益者ごとの平均取得額のことで、受益者ごとに異なります


・普通分配金と元本払戻金(特別分配金)

まず、追加型株式投資信託の分配金には、普通分配金元本払戻金(特別分配金)という考え方があります。

 追加型投資信託では、予定を下回る運用実績だったとしても、運用側の方針や契約等により分配金を払う場合があります。
すると、運用で得られた利益以上の分配金を支払う場合が出てきます。
その時に必要な考え方が「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」です。

 普通分配金とは、投資元本を上回って利益の出ている部分から支払われる分配金のことです。
運用によって利益が出ているので課税対象となります。

 普通分配金には、配当所得として20.315%(復興特別所得税0.315%を含む)の源泉徴収となります。

 元本払戻金(特別分配金)とは、契約で決められた分配金が、実際の利益以上だった場合に、投資元本から切り崩して支払われるものです。
分配金という名前ですが、実態は元本の返還にあたるため、元本払戻金(特別分配金)には課税されません


【普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の例】

追加型投資信託Mについて
・Aさんは7月に投資信託Mを10,000円で購入
・Bさんは8月に投資信託Mを11,000円で購入
・その後投資信託MはAさんとBさんに分配金2,000円を支払った
・投資信託Mの分配落ち後の基準価格は10,000円となった


このような場合、AさんとBさんは同じ2,000円を分配金として受け取りましたが、中身が異なることになります。

 【Aさんの場合】

 権利落ち後の基準額 ≧ Aさんの個別元本

 なので、Aさんが受取った2,000円は全て普通分配金となります。

 【Bさんの場合】

 権利落ち後の基準額 < Bさんの個別元本

 なので、Bさんが受取った分配金には元本払戻金(特別分配金)が含まれることになります。

 今回の例では、普通分配金と元本払戻金の両方が発生しましたが、分配金の全額が元本払戻金となる場合もあります。


・証券投資信託の課税


証券投資信託の課税関係は、公社債投資信託なのか、株式投資信託なのかで異なります。


【個人投資家の分配金の課税関係】

・公社債投資信託
分配金
利子所得

20.315%の源泉分離課税
※普通分配金・元本払戻金(特別分配金)の区別はなく全額が課税対象

株式投資信託
分配金

普通分配金配当所得
(源泉分離・総合課税・申告分離を選択)
元本払戻金非課税

・公社債投資信託、株式投資信託(共通)
換金・償還差益
譲渡所得
(上場株式等の譲渡所得と損益通算可能)


・証券投資信託の販売


 投資信託の販売は、証券会社(金融商品取引業者)、銀行等(登録金融機関)などの販売会社を通じて行われます。
なお、委託会社による直接販売も可能です。

 投資信託は元本保証がない上に、様々な商品があるので、販売会社は投資家自らが判断をくだせるよう情報を提供しなくてはなりません。


・販売に関する規制等


 投資信託の販売にあたっては、次のように規制が設けられています。


  • 目論見書の作成

投資信託の委託会社は目論見書を作成しなければならない。(ホームページやメールでの提供が可能)

交付目論見書:投資信託を取得してもらう場合、あらかじめまたは同時に交付しなければならない。

請求目論見書:投資信託を取得してもらう前に交付の請求があった場合直ちに交付しなければならない。

  • 契約締結前交付書面の交付

投資信託を取得してもらう場合、あらかじめ契約締結前交付書面を交付しなければならない。

  • 金融商品販売法における説明義務

投資信託も金融サービス取引法に定める重要事項の説明義務が適用されます。

  • 乗換え勧誘時の説明義務

ファンドの換金を行うのに併せて、他のファンドの取得の申込みを勧誘(乗換えの勧誘)する場合には、乗換えに関する重要事項について説明しなくてはならない。

ただし、中期国債ファンド、MMF、MRFは除く

  • 預金等との誤認防止措置

銀行など預金を扱っている金融機関が投資信託を販売する場合には、預金と同じように元本が保証されているといった誤認を防止するために、以下の事項を説明しなければならない。

・預金や保険契約でないこと

・預金保険機構、保険契約者保護機構の保護の対象外であること

・元本の返済が保証されていないこと

・販売会社と運用会社は別であるということ

 など

  • 顧客が負担する費用、分配金の説明

顧客が負担する費用について

・販売手数料の料率、金額

・販売手数料は、保有期間が長期になるほど1年当たりの負担率が逓減すること

・その他信託報酬や信託財産留保額等

分配金について

・分配金の一部または全部が元本の一部払戻しに相当する場合があることを分かりやすく説明する

通貨選択型ファンド

・為替リスクを伴うことから、リスクについて理解した旨の確認書が必要

  • 広告宣伝の規制

投資信託について広告する場合は、次に掲げる事項を明瞭かつ正確に表示しなければなりません。

・販売会社/投資信託委託会社の商号、名称

・販売会社/投資信託委託会社の登録番号

手数料、報酬その他の対価

元本割れが生じる恐れがあること、その理由、その原因となる指標

重要な事項で顧客の不利益となる事実

・販売会社/投資信託委託会社が金融商品取引業協会に加入している旨及び当該協会の名称

  • その他

投資信託に係るトータルリターンを通知する制度の導入

レバレッジ投信、複雑投信に対する勧誘・販売規制

など


・募集方法


投資信託には、期限を区切って募集する単位型と最初の募集後も追加で購入できる追加型があります。
それぞれの募集方法の違いを理解しておきましょう。


【単位型の募集方法】

・募集
期限を区切って募集する。
当初基金(ファンド)が設定された後は、資金の追加が行われない

募集価格・単位
募集単位は原則販売会社が決める。

ほとんどが1口1万円

手数料
販売会社によって異なる。
(同じ投資信託でも販売会社が異なると手数料も異なる)
募集手数料の徴収には、内枠方式外枠方式がある。


【追加型の募集方法】

・募集
最初に募集された基金(ファンド)に、次々と追加で設定(販売)して資金を追加していく
当初募集:新規設定時の募集のことで、2週間から1ヵ月の期間を区切って募集する。
追加募集:基金設定日以降、信託期間中原則毎営業日資金追加を募る。

募集価格・単位
1口当たりの元本価格はファンドごとに決められているが、1口1円のものが主流。
追加募集の募集価格は基準価額
追加設定時に信託財産留保額を徴収するファンドは、基準価格に信託財産留保額を加えた額が販売基準価額となる。

手数料
販売会社によって異なる。

受渡し
追加型投資信託の販売では、基準価額は取引所の終値で計算されます。
したがって申込時点では募集価格が明らかになっていません。(ブラインド方式
そのため、申込み時には概算で代金を受け取り、受渡日に代金を精算します。

・証券投資信託のディスクロージャー


証券投資信託の開示制度には、発行開示継続開示があり、それぞれ金融商品取引法と投資信託及び投資法人に関する法律(以下、投信法という)により規制されています。

・発行開示


発行開示とは、発行された有価証券を投資家が取得しようとする際に行われるディスクロージャーです。


【金融商品取引法上の発行開示】

公募投資信託を募集・販売する際
→ 発行者である委託会社が内閣総理大臣に有価証券届出書を届出る(公衆縦覧に供される)
投資信託を取得してもらう際
→ 投資信託説明書(交付目論見書)をあらかじめ又は同時に交付
  投資信託説明書(請求目論見書)の請求があった場合は直ちに交付


【投信法上の発行開示】

投資信託契約を締結する場合
→ 委託会社は、内閣総理大臣(金融庁長官)に投資信託約款届出
投資信託を取得しようとする者に対して
→ 投資信託約款の内容を記載した書面を交付しなければならない
  ※投資信託説明書(交付目論見書)に約款の内容が記載されていれば、この限りでない。

・継続開示


継続開示とは、有価証券の発行後、一定期間ごとに求められる情報開示で、当該ファンドを所有している投資家に判断材料を提供する制度です。


【金融商品取引法上の継続開示】

→ 委託会社は、投資信託(ファンド)の決算期ごとに有価証券報告書を決算経過後3ヶ月以内に提出
  (計算期間が6ヵ月に満たないファンドは6ヵ月ごと)
→ 決算期間が1年であるファンドは、半期ごとに半期報告書を提出
→ 報告書に含まれる財務諸表は、発行者と特別の利害関係のない公認会計士又は監査法人による
  監査証明を受ける義務がある

【投信法上の継続開示】

→ 委託会社は、決算期末ごとに遅滞なく運用報告書を作成し、受益者に交付しなければならない
(例外:以下の場合は交付の対象外)
・適格機関投資家私募のファンドで、投資信託約款に運用報告書を交付しないと定めている場合
・受益者の同居者が確実に運用報告書の交付を受けると見込まれる場合で、受益者が交付を受けないことに同意している場合
・MRF及び金融商品取引所に上場されているファンド


・交付運用報告書


交付運用報告書の主な記載項目は次の通りです。

1)運用経過の説明
 基準価額等の推移
 基準価格の主な変動要因
 当期中の1万口当たりの費用明細
 最近5年間の基準価格等の推移
 投資環境
 ポートフォリオ(運用方針をもとに当期中の運用の経過及び結果を説明)
2)今後の運用方針
3)お知らせ
 当期中の投資約款変更・運用体制等の変更のうち重要と判断されるもの
4)ファンドの概要
 商品分類、信託期間、運用方針、主要投資対象
5)代表的な資産クラスとの騰落率の比較
6)投資信託のデータ
 投資上位銘柄、資産別・国別・通貨別配分など


本日は以上です。
投資信託については以上となっております。
いかがだったでしょうか?
次回以降は「税金」について記載していきます。
よかったら参考にしてください

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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