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免疫学6 体液性免疫 ~B細胞・基本的特徴~

みなさんこんにちは、狐です。
今日はB細胞の基本的特徴についてお話しました。
動画もよければご覧ください。
https://youtu.be/iZyNCzbMDcs

図をどうぞ

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ではまとめです。

【B細胞】

B細胞は抗体というものを産生する細胞ですが、これらは生まれたときから「B細胞抗原認識受容体」というものを持ってます。B細胞レセプターとか、BCRとかいうやつですね。
で、すいません。前回BCRの日本語をB細胞抗原認識抗体とか言ってますが、B細胞抗原認識受容体が正しいです。

このBCRという受容体ですが、B細胞から発射されるといわゆる抗体と名前を変えます。
この抗体と結合できるものを「抗原」と言います。
なので抗原は細菌やウイルスだけでなく、花粉や食べ物に含まれるタンパク質などもなりえます。
自分のタンパク質も抗原になることがあり、いわゆる自己免疫疾患系の病気です。

抗体には色々と種類があります。
大きな枠組みでは5つのクラスに分けることができ、それぞれIgM、IgG、IgA、IgE、IgDです。
Igは「イムノグロブリン」の略です。
イムノグロブリンは英語で「抗体」という意味です。

B細胞は最初全部IgMという抗体を持っています。
そこから、環境や敵、状況に合わせて他のクラス、例えばIgGとかIgEとかに変化していきます。
変化することをクラススイッチと言いますが、この話はまた別の機会に詳しく話します。

1つのB細胞は1種類の抗体しか持っていません。
ここがすごいPOINTです。
さらにB細胞は生まれた時は全部IgMしか持ってません。
なのでIgMにはいろんな種類があり、IgMという言葉はあくまでクラスの名前でしかないってことです。

つまりどういうことかと言うと、例えばみなさんが高校生とか中学生だったときのことを思い出してください。
たとえば1組というクラスには、田中くんや鈴木くん佐藤さん松島さん、いろんな人がいたじゃないですか
それと同じなんです
IgMというクラスにはaという抗体を持つB細胞や、bという抗体を持つB細胞、いろんな人がいるんです。
例えば高校2年生くらいになったら理系クラスや文系クラスに分かれるじゃないですか。
B細胞も同じです。
環境や敵や状況に合わせて、じゃaという抗体を持つB細胞、キミはIgGクラスに行ってくれ、bという抗体を持つB細胞はIgAクラスに行ってくれ、って言う風にクラス替えが行われます。

なのでIgMというクラスはどのクラスにも行ける可能性の塊みたいなクラスなんですね。
さながら小学生や中学生、高校生です。彼らは何者にもなれる可能性の塊ですからね。
B細胞の場合は環境や敵に合わせてそれぞれのクラスに移っていきます。

そんな感じです。


【抗aIgM】

IgMにもいろんな抗体を持ついろんなB細胞がいるって話でしたが、ここで抗aIgMという言葉の説明です。
抗aIgMというのは、「抗原Aに対するIgM」という意味です。そのままですね
なのでaというIgMを持つB細胞、っていうのは抗aIgMを持つB細胞ってことです。

ただ、世の中には無数の抗原が存在します。
つまり少なくとも無数の抗原と同じ数の抗体が必要です。
抗体もタンパク質なので、無数の抗体を作ろうと思えばそれだけのDNA領域が必要です。けれどもそんな大量の情報を持てるほどDNA領域に余裕はありません。
しかもウイルスなどは頻繁に突然変異を起こします。
生物はそういったものにも対応しないといけません。
限られたDNA領域で無数の抗体を用意し、さらにウイルスの突然変異にも対応しないといけない。
ではどのように対応しているのかっていうのは、また改めてお話します。


【リンパ球のクローン選択説】

ちょっと脱線しましたが、IgMを持つB細胞は大量にストックされてます。
ある抗原Aが体内に侵入すると、その大量にあるB細胞のストックの中に抗a抗体を持つB細胞もいるわけです。
すると「この敵にはキミしかいないんだ!キミこそ救世主だ!」みたいなノリで、そのB細胞が選択的に選ばれるんですね。
するとこの救世主である抗a抗体を持つB細胞は「俺が救う!」みたいな感じで大量増殖します。つまり自分のコピーを大量生産するんですね。

抗a抗体を発射して、抗原Aに抗a抗体が結合、オプソニン化により好中球の貪食作用が爆増して、抗原Aを撲滅。そんな流れです。
最後の流れに関しては少しずつ詳細を説明していきますが、体液性免疫の骨となる流れです。

はい、という感じで今日の動画は以上です。
今日もお疲れ様でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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