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【連載小説〜トイが繋ぐ物語〜この子が、いたからじゃ、ないので

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【完結済み】23話完結、連載小説『この子が、いたからじゃ、ないので』です。
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記事一覧

【連載小説】 〜トイが繋ぐ物語〜 1話 この子が、いたからじゃ、ないので

 ふわふわ浮いている小さなぬいぐるみ。  第一印象はそんなかんじ。子供の頃によく遊んだス…

ぺん
7か月前
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【連載小説】この子が、いたからじゃ、ないので 2話

 彩矢は少し寂しさを胸に抱えつつ、ガラス製の自動ドアへ向かっていた。  今日は、彩矢達6…

ぺん
7か月前
2

【連載小説】この子が、いたからじゃ、ないので 3話

「えー、それでは、これから本年度6月後半の成人式を始めたいと思います。私、本日の進行役を…

ぺん
7か月前
3

【連載小説】この子が、いたからじゃ、ないので 4話

 未だざわめきがさめやらぬ室内で、彩矢はぼうっと座りながら膝の上にひろげた両掌に座るトイ…

ぺん
7か月前
4

【連載小説】この子が、いたからじゃ、ないので 5話

「はぁ……」  まだ一日が始まったばかりだというのに、彩矢は憂鬱そうな溜息を溢す。  そ…

ぺん
7か月前
4

【連載小説】この子が、いたからじゃ、ないので 6話

 友里恵にトイの対応について聞き、彩矢がふと時計を確認すると後15分程で2限目が始まる時…

ぺん
7か月前
7

【連載小説】この子が、いたからじゃ、ないので 7話

 トイが街中に溢れている様子を見て疲れ、キャンパス内でも自由にあちらこちらへ行く様子を見てはまた疲れた月曜の夜。彩矢は部屋でぐったりと倒れ伏して、風呂上がりの濡れた髪を乾かしていた。彩矢を散々やきもきさせたトイはというと、棚に置かれた彩矢のお気に入りである小さなクマのぬいぐるみにちょっかいを出してきゃっきゃしている。  楽しそうだねぇ……いやまあ、ご機嫌でいてくれるなら楽なんだけどさ。  友里恵はある程度放っておく事、なんて言っていたけれど、どうしても何をしているかが気になっ

【連載小説】8話目 この子が、いたからじゃ、ないので

 スッ……と音もなく閉じられた店へと通じる扉、しかしそのあとに彩矢達が着替えるのに使用し…

ぺん
6か月前
8

【連載小説】9話 この子が、いたからじゃ、ないので

「彩矢ちゃーん、そろそろ出てこない?」  どれほど時間がたったのか、裏、つまり、バックヤ…

ぺん
6か月前
2

【連載小説】10話 この子が、いたからじゃ、ないので

 彩矢は真剣な面持ちでゴクリと唾を飲み、身に着けたエプロンのリボンをぎゅっと握って結ぶ。…

ぺん
6か月前
4

【連載小説】11話 この子が、いたからじゃ、ないので

 日曜の12時。  彩矢はこれまでにないほどに緊張した状態で、喫茶ひといきのドアの前に立…

ぺん
6か月前
7

【連載小説】12話 この子が、いたからじゃ、ないので

 週が明けた火曜日、この日も優斗はランチにやってきた。いつも通りの時間に軽やかなドアベル…

ぺん
6か月前
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【連載小説】13話 この子が、いたからじゃ、ないので

 彩矢の普段の予定としては、日曜はいつも何も無いので、部屋でダラダラしたり好きな事が出来…

ぺん
6か月前
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【連載小説】14話 この子が、いたからじゃ、ないので

 手をつないだ事に気を取られすぎて、気もそぞろに水槽が並ぶエリアを通り過ぎた二人は、館内アナウンスも聞き逃してしまったけれど、周囲の人やトイが減ったことで何かがありそうだと気が付いた。  マップと一緒に貰った一日の予定にはおよそ10分後にイルカショーが始まると書いてある。 「まだ間に合うね、行こう。」 と優斗が言うや否や、繋いだままの彩矢の手を引き、屋外にあるショーエリアへと急いだ。  いくつも順路を飛ばしながら着いた観覧席は既に大分埋まっている。  少し息を弾ませながら