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SMAP『オレンジ』~「僕」が「君」との間に「。」を打った理由~
最近この曲を聴くと、涙が溢れそうになる。
小さな肩に背負い込んだ僕らの未来は
ちょうど今日の夕日のように揺れてたのかなぁ。
「まだ何者でもない僕ら」が自分の未来を思い描いたり、夢を持ったり。「無敵」とも感じられる時間がある人もきっといたんじゃないかと思います。でも、この歌詞ではその時間を通りすぎて「大人になること」を少し意識せざるを得ないところに来ているのかな。夕日が揺れている様子と不安定な未来が重なりました。
イタズラな天気雨がバスを追い越して
オレンジの粒が街に輝いている
「イタズラな天気雨」が追い越したのは本当にバスだけなのか。無邪気だった時代が過ぎ去った名残が「オレンジの粒」なのかなと思いました。
遠回りをした自転車の帰り道
背中にあたたかな鼓動を感じていた
「背中にあたたかな鼓動を感じていた」は自転車の2人乗り。僕らがお互いの気持ちを確認したり、確信しあっていたかは分からないけれど。これは2番に続くのかな。
『さよなら。』と言えば君の傷も少しは癒えるだろう?
『あいたいよ…。』と泣いた声が今も胸に響いている
サビ。物理的な別れなのか、気持ち的な別れなのか。1番の最初に戻ると、未来を不安に感じていた僕らが出した答えのような気がします。
不器用すぎる二人も季節を越えれば
まだ見ぬ幸せな日々に巡り逢うかなぁ。
1番で別れを選んだのは、二人の関係を進める一歩を踏み出せなかったから。主人公の「僕」がどこか俯瞰して考えているように伝わってきます。
なんとなく距離を保てずにはにかんでは
歯がゆい旅の途中寝転んだね
そうか、お互いの気持ちに確信を持てていたわけではなかったのか。2人乗りをして一緒に寝転んでいたのに。歌詞だからなのか、客観的に見てしまう(読んでしまう)からなのか2人が一歩を踏み出せなかったことが本当にもったいないし惜しく感じてしまいました。
『さよなら。』と言えば君の傷も少しは癒えるだろう?
『あいたいよ…。』と泣いた声が今も胸に響いている
「君の傷」を癒すために『さよなら』と言うのか。自分が踏み出せなかったことへのけじめなのか。少なくとも「君」は『あいたいよ…』と泣いているのに。1番のサビで「物理的な別れなのか、気持ち的な別れなのか」と書きましたが、「僕」の気持ちにけじめをつけるための別れだったのかもしれません。
人波の中でいつの日か偶然に
出会えることがあるのならその日まで…
また違った形で出会えたら、2人は一歩を踏み出せるのかな。
『さよなら。』僕を今日まで支え続けてくれた人
『さよなら。』今でも誰よりたいせつだと想える人
そして
何より二人がここで共に過ごしたこの日々を
となりに居てくれたことを僕は忘れはしないだろう
「僕」だけ先に進んで行ってしまうような気がしてしまうのは、私だけでしょうか。「君」に感情移入してしまっているのか、「僕」においていかれてしまったような取り残されてしまったような。「僕」にとっての「君」がどれほど大切な人であるかは伝わってきました。
『さよなら。』
消えないように…
ずっと色褪せぬように…
『ありがとう。』
「僕」はきっと「君」との思い出や「君」への想いを忘れずに生きていくのでしょう。サビの部分の『さよなら。』と最後の『ありがとう。』には全て「。」がついています。忘れないけれど、きちんと「。」はピリオドは打っている。ここには強い気持ちを感じました。同時に(この歌詞とは直接関係はありませんが)以前、中居くんが
『SMAPは「。」が打てなかったから。「、」で終わってしまったから。ちゃんと「。」を打たないと』
と言ったような内容のことを確かタッキーに話していたのを思い出しました。それくらい「。」を打つと言うのは強い意思を感じました。
「僕」がけじめをつけるために。
長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。