2023.05.28 LaLiga第37節 セビージャvsレアル・マドリー
・はじめに
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
現地ではとんでもない雨が降りしきり、夏を前にしてマドリー周辺の噂話も五月雨式に飛び交う今日この頃。
LaLigaも残り2試合となる中、EL決勝を控えたセビージャとの一戦を振り返り。
以下、スタメン。
FW登録がロドリゴ、アルバロ、アザールの3枚とかいう正直ドン引きレベルの前線の薄さ。
流石にアルバロもスタートから使われるのではないかという期待の中、選ばれたのはセバージョスの左WGでした。
雨のピッチの中でテクニックに優れたMFを並べておきたいといった意図ももしかするとあったのかもしれない。
対するセビージャは4-2-3-1のフォーメーション。
前節のエルチェ戦から8名を入れ替え、EL決勝も見据えたマネージメント意識が感じられた。
最後尾にはW杯でモロッコの躍進を支えたボノ。
右SBにはW杯で決勝PKを沈めたモンティエル。
何かとW杯で印象的なメンツが揃っていたりする。
・試合内容
・セーブ期待値に反比例するボックス内の抵抗力の脆さ
この試合は開始3分でラファ・ミルにゴールを許す惨劇からスタート。
食らったシュートは今季のマドリーの脆い部分を象徴するような失点。
サイドでブライアン・ヒルがボールを持って時間と溜めを作り、バスケスの内側からラインブレイクしてきたアクーニャへ浮き球のパスが通る。
サイド深部からクロスが入るが、アクーニャのスピードに反してチュアメニの帰陣が遅れていたため、ニアで構えて壁になれる選手がおらず、中央付近までクロスが流れる。
戻ってきたクロースがスライディングでカットするが、そのこぼれ球をヒルに拾われてシュート→ミリトンに当たったリバウンドボールをラファ・ミルに叩き込まれて失点。
今季のマドリーの守備の脆さは“ボックス内からボールを弾き出せない“部分にあると個人的に感じている。
守備時には撤退気味にブロックを組むシーンも少なくはなく、自陣ボックス付近まで侵攻される機会自体は意外と(?)多くなる中で、いざボールをボックス内までクロスやドリブル、ポケット突撃などを駆使して運ばれ、人海戦術を敢行されると途端にばたつく傾向が見られた。(ex.第26節バルセロナ戦でセルジ・ロベルトに決められたシーンなど。)
世界最高GKクルトワを擁するが故に、相手のシュートの1発目を彼に止めてもらえる期待値自体はかなり高い。
そのため、こぼれ球に対する周囲の選手が反応感度が向上し、クリアなりフリーの味方に繋ぐなりの判断をより素早く実行できれば良いのだが、ここに危機感がそこまで伺えないのはかなり勿体無いように思えるのは私だけでしょうか。
改善に期待。
・インナーレーン志向MFによる左WG
アザールやアルバロを押し除け(?)、左WGとしてスタメン出場することになったセバージョス。
実際、今季も何度か左WGとして試合をこなすシーンはあったものの、やはりヴィニシウスとの途中交代で試合をクローズさせる場面など限定的な起用でしかなかった。
そんなセバージョスがこの試合で課されたタスクを紐解く。
基本的には左サイド寄りのハーフレーン付近を始点にして、時にはボールサイドに寄ってみるなど、フリーマン的にピッチを漂う。
逆にロドリゴやモドリッチが集まり、左サイドでオーバーロードを作る形も。
セバージョスが内側でプレーする時間が多い中、大外は基本的にメンディが担当(というかメンディは復帰後に大外タスク課されてるとこばっか見てる気がする)。
前半13分にそんなセバージョスが起点となったチャンスシーンを振り返る。
左サイドの内側レーンでボールを受け、右サイドへ向かって横断しながら時間を創りつつパスコースを探す。
バスケスが胸を合わせてバックドアでボールを引き出し、完璧なタイミングでセバージョスが通したスルーパスからダイレクトでグラウンダークロス。
飛び込んだロドリゴがフリーの状況ではあったものの、惜しくもボールは枠外へ。(もったいねぇ...)
上記のシーンのように雨のピッチを駆け回りながらボールを扱う技術と必殺のスルーパスは流石。
スタミナも落ちず、守備での貢献度も高かった。
しかし、セバージョス“個人“でのパフォーマンスは良いのだが、やはり周囲の選手との兼ね合いや関わり方の部分で少し物足りなさは個人的に感じる。
基本的に内側でボールエリアに関与するように指示を受けているもしくは自発的にそう動いているのだが、ユニットとして見た時大外をメンディだけに任せる機会が増えるのはどうなのか。
同じく動いて味方をサポート、そして低い位置でのフィルターも兼ねつつディープラインプレーメーカーの役割ができるチュアメニがいるタイミングで低い位置まで引いてくる必要があるのか。
など、まだまだ整備しておきたいことは山ほどある。
契約延長してくれる可能性が高まってきている中、来季の彼がどのような立ち位置にいるのかは1つ注目である。
・凪を乗り越えてチームを救うはあの男
前半早々に失点し、前半29分にロドリゴのFKで追いついて振り出しに戻したはいいものの、その後の試合展開は割と“凪“。
アウェイでEL決勝を見据えたセビージャのリアリスティックな守備を、シーズンに対してモチベーションが無い状態かつ前線の駒が著しく少なくなっているマドリーが崩すイメージは少々見えづらかった。
(なんならサイド中心に攻め込まれてたりしていた)
そんな中でチームを救ったのはまたもロドリゴであった。
セビージャのFKをカットし、自陣からのカウンター始動。
クロースからミドルスルーパスを受けたロドリゴがボックス内で踊るように相手DFを翻弄し、省モーションのシュートを文字通り“流し込んだ“。
今季のロドリゴの成長、いやポテンシャルは元々あっただけに“活かし方“を1つ見つけられたことは最大のポジティブ要素だったかもしれない。
4-2-3-1という新基軸の中、中央トップ下位置で燦然と輝くロドリゴはイマイチ達成感の無い今季のマドリーの期待の星であった。
また、その起用ポジションの柔軟性と戦術理解度、献身性でチームを支える役割も。
右WGとして出場した際にも周囲との連携に強みを見せ、持ち前の技術でサイドを制圧することは勿論、CLで見せたような守備的な観点でも期待以上の働きをしてくれた。
CFが抜けがちなマドリーにおいて、この試合のように最前線でチームを引っ張ってくれた背中は頼もしかった。
来季はより与えられる期待が大きくなり、求められるものも多くなってくるはずなので、更なる飛躍を願って本項を終えよう。
・まとめ
開始早々に今季の課題とも言える弱点を突かれて失点。
「前線の火の車状態+大雨でコンディションの悪いピッチ」という状況の中で、多めに並べた中盤勢と最前線のロドリゴで攻略したいという意図は危なげない結果ではあったがなんとか実ったと言ってもいいのかもしれない。
この日特殊な起用方法を受けたセバージョスが試行錯誤しながらチームに一定の効果をもたらし、来季にむけての改善点も見えてきたことは良いことだと思う。
まぁ今後左WGで使われるかは置いといて...。
2得点を奪ったロドリゴは言わずもがな。
今季キッカーが軒並み微妙だった直接FKを沈めることができたのも、持ち味の技術で簡単そうにゴールを決めてしまうことができたのも素晴らしかった。
やはり今後もこの男の実力を信じ続ける価値があると確信に近いものすら突きつけてくる傑出度。
結果としては2-1。
勝利を1つ積み上げて最終節へ。
・おわりに
さて、残りはあと1つ。
稚拙な文章、お読みいただき誠にありがとうございます。
よければ拡散等していただけますと幸いです。今のところLaLiga全試合レビューできそうです。
それでは!
※画像はTACTICALista様、レアル・マドリー公式様を使用しております。