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2022.11.08 LaLiga第13節 ラージョvsレアル・マドリー

・はじめに

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
W杯を戦う各国代表選手が続々と発表され、お祭りムードが漂う楽しい日々ですが、この試合のマドリーの結果は全く楽しくなく。
アウェーバジェカスに乗り込んだ一戦を振り返ろう。

以下、スタメン…。

両チームのスターティングメンバー

前節で退場処分を受けたクロースが出場停止、中盤はバルベルデ、チュアメニ、モドリッチという構成。
CLセルティック戦で素晴らしい活躍を見せたアセンシオがこの日もスタメンに抜擢される。
そして、アンチェロッティが中央寄りのポジションで大成させるビジョンを明かしたロドリゴがその位置に。
ホームのラージョは4-2-3-1のフォーメーション。
注目は左ラテラルに入るフラン・ガルシア
マドリー下部組織出身の攻撃的ラテラルが牙を剥く。

・試合内容

ロドリゴがドリブルで突っ掛けるキックオフパターンでスタートしたこの試合でまず感じたことは、ピッチが若干狭いこと。
サポーター的には嬉しい、地域に根差した所謂街クラブのスタジアムである。

前半4分、早々に失点。ラージョの背番号6番サンティの得点。おい。

ラージョの1点目

トレホがミリトンを背負いながらボールをプロテクトする自陣方向ドリブル。
ミリトンが深追いをやめたタイミングで再度トレホは前を向く。
ここで鍵となったのがCFカメージョの動き。
上記のタイミングで、一瞬カルバハル側へダイアゴナルランで裏抜けする素振りを見せる。
これにより、「裏抜けのケア」と「アルバロ・ガルシアのマーク」の認知負荷を押し付ける。
その結果、浮いたアルバロ・ガルシアがボールを受け、爆速で迷いなく外側をオーバーラップしてきたフラン・ガルシアへ完璧なタイミングでスルーパスを供給。
マイナス方向スペースへのクロスに合わせたサンティがゴール。
この時何故かチュアメニは緩いランニングで帰陣しており、クロスの道筋に蓋が全くできていなかった。
サンティに気づいたモドリッチも時すでに遅し。
スペース管理が少し甘かった失点。
(カゼミロタスクを“当たり前“にやるのも難しいですが…)
最近のマドリーの十八番パターンを再現された。

この日のラージョの守備で特筆すべきは1stディフェンスの強度と勤勉性。
ボールホルダーに対して必ず1枚は圧をかけてくる。
1stで時間を創っている間の2ndディフェンス及びカバー準備も万端であった。
バルベルデが横断したりしてもマークを受け渡しながら行う徹底ぶり。
この戦い方の動機には、
①クロースの不在が分かっていたこと
②前述のホームグラウンドの狭さを活かすこと

が大きく作用していたのだと思う。
理にかなっており、まさにしっかりした“対策“。

前半7分のマドリー自陣左サイドでのプレス隊形を見る。
ボールホルダーのメンディは勿論、近くのアラバ、チュアメニにも1枚ずつマークがついており、ヘルプに行くモドリッチにもオスカルがついて行っていた。
これは、嵌めるところでの出力も抜群であった象徴的シーン。

このような1stディフェンスに後手を踏み、自陣でのパスミスからピンチを招くシーンもしばしば。
チームとしての焦りは伝播し、前半13分にはクルトワ→ミリトンのパスがずれたところからあわやというシーンも。
クロースがいないこの日、保持局面の要となるべきモドリッチとチュアメニが低調気味。
特にモドリッチはここ最近でワーストの出来なんじゃないかと思わされるほど。
供給元を断たれ、左WGヴィニシウスもタイトなマークを前にこの日は違いを見せられない。

このままだと突き放される危険性も大いにあり得るぞ…、と思っていた前半36分、PKをモドリッチが沈めて同点。
このPKに至るまでの流れを。

アセンシオのPK奪取シーン

左サイドから右サイドへ展開。
そして、右ユニットの3人の立ち位置とボールの出し入れで相手をずらす。
アセンシオは大外の立ち位置とポケット侵入を狙い、カルバハルが後方でサポート。
バルベルデはHSに立ちながらアセンシオに合わせてポジションを微調整
バルベルデとのワンツーでポケット突撃したアセンシオがボックス内で倒される。
一度は流されるもののVARでPKとなった。

試合を振り出しに戻して安心する最中、後半41分には逆転弾が生まれる。
GKから繋いだビルドアップで左サイド→右サイドへ展開。
カルバハルのクロスからコーナーキックを奪取。
アセンシオが蹴ったコーナーキックをミリトンが体勢を崩しながらゴールに“ねじ込んだ“。
ミリトン、多分上半身の力が滅茶苦茶に強いんだと思う。特に首。(Mを両手で作るゴールパフォーマンス、単純でかわいい)

この日のラージョの前線で最も輝きを放っていたと思う選手は個人的に右WGのイシ。
低身長を活かした懐の低い抜群のキープ力で右サイドの基準点になる。
内側に入ってくる感覚も良く、対面のメンディにずっと後手を取らせ続けていた。
前半30分に見せた無回転ミドルでゴールを強襲するシーンのようにパンチのある左足も装備した良逆足WGプレイヤー。
前半43分、そのイシが関与した得点でラージョにすぐさま追いつかれる。

ラージョの2点目

カテーナのロングボールでマドリー左サイド大外バジウへ。
その間にイシはHSへ移動し、バジウとパス交換。
ここでポイントなのが、この時左HSに位置するイシへのチェックに行ったのがアンカーのチュアメニ
バジウがCBルジューンへボールを戻している間、イシを放っておいてアンカー位置にチュアメニが帰ろうとしていたタイミングで空いたイシにルジューンが鋭い縦パス。
その後サンティ→トレホのシュートへ繋がり、そのシュートブロックのこぼれ球をトレホ自身がヘディングで左サイドへ展開。
流れてきたボールをアルバロ・ガルシアが左足を迷いなく振り切り強烈なシュートがクルトワの手を弾いてゴールイン。
HSを狙ったイシとポジション交換の隙を突かれた悔しい失点

良いテンポで逆転を果たしたが、すぐさまラージョに追いつかれて前半が終了。

後半開始。交代は無し。

開始早々後半47分に左サイドのプレス回避からロドリゴのシュートに繋げるなど、逆転への期待感は高まる。
しかし、後半もラージョの圧力は健在。さっさとバテてくれないかな

後半55分のカルバハルが倒れ込んだシーン。めちゃくちゃ焦った。
W杯で「三笘薫vsカルバハル」観るのは全日本人マドリディスタの夢なんやぞ…。

そのままカルバハルはプレーを続けるも、彼の位置から失点に繋がるPKが誘発されてしまう。
後半63分、マドリーのコーナーキックのこぼれ球を拾ったフラン・ガルシアが対角のアルバロ・ガルシア目掛けたロングボールでカウンター発動。
カルバハルが一度クリアし損ね、五分五分となったボールに先に触ったアルバロ・ガルシアが蹴ったボールはカルバハルの手に当たる。
これによってハンドでPK判定となり、1度はクルトワがストップするも、蹴る前にカルバハルがペナ内入っていたことによる蹴り直し判定から2度目のPKを沈められる。
これで3-2に。マドリー1点ビハインド。
(自分の非ではなくカルバハルがペナ内入ってきたせいと言い放った試合後のクルトワインタビューが面白かった。)

逆転を喫したマドリーは、チュアメニ→カマヴィンガへ交代。
今日みたいなプレスをヒラヒラ躱すというプレーにストロングポイントがあると個人的に思っているカマヴィンガはもっと早く投入して後ろのグリップ力向上に寄与させてほしかったのが本音。

後半75分には、メンディの横パスカットからピンチを招き、その直後にはアセンシオが相手を躱してカウンターからクロスなど両者終盤の勝負をかける。
しかしスコアは動かない。

後半79分にモドリッチ→マリアーノという前線の数少ない選択肢を送り込むも、やはり効果的なソリューションにはならず。

後半85分には両ラテラルを交代させ、クロスに活路を見出そうとするも、そもそもクロスを余裕を持ってあげさせてもらえるシーンも少なく、上げたところで簡単に弾き返される。

そんな中、後半89分にアセンシオがDFラインとGKの間に絶妙なクロスを送り込み決定機を創出するが、ロドリゴが枠に決めきることができなかった。
この試合1人気を吐いていたアセンシオは印象的。

この試合でマドリーを苦しめているプレス強度も、時間経過とともに流石に落ちてくるだろうという希望的観測をしていたが、そんなことは全く無く。
最後の最後までマドリーの自由を奪い続けた。

8分とかいうクソデカアディショナルタイムでも追いつけず、そのまま3-2で試合終了。
今季LaLigaで初の敗北を喫する。

・まとめ

クロースがいない今日のマドリーの保持能力に付け入る隙があると見て、ホームスタジアムの利を活かしながら圧倒的な1stディフェンスの強度で圧殺という完璧なマドリー対策を講じられた試合。
勿論、簡単なタスクではないため、それを90分間完遂し続けたラージョの選手達は本当に凄まじかった。

ハイインテンシティの試合を落ち着かせるべき中盤の要達が復帰明けと絶不調であり、左の翼も黙らされてしまった。
そして今日の3トップの都合上、前からプレスに来る相手に対して、ロングボールで逃げるという策が使えなかったのもかなり痛かったように感じた。

マドリーのポジティブ要素は、右サイドユニットの関係性をアセンシオでも上手く創れるようになっていること。
カルバハル、バルベルデと相互補完関係を保ちつつ、突破口の1つとして機能。
この日も良いパフォーマンスでPK奪取とコーナーキックでアシストも記録したアセンシオは、そのPK奪取シーンのようにポケット侵入を怠ることなくチャレンジし、右大外の基準点から司令塔的なムーブもこなせる選手に。
終盤のロドリゴへのクロスなど、左足のキックは言わずもがな。
あとはブロック守備の質と感覚の向上、空中戦、対面がSBという快速相手になることが多い守備も頑張ろうねという感じか。
スペイン代表でも輝いてね。

MOMに選ばれたラージョのフラン・ガルシアは快速SBとしてマドリーを苦しめた。
1点目のアシストは見事であり、メンディとはまた違った良さだと思うのでさっさと帰ってきていただければ。
あと右WGのイシも面白い選手。
ホームベルナベウでリベンジしよう。

・おわりに

LaLiga無敗優勝の夢、潰える…。
誰かに責任押し付け続けるのも、別に大した解決にはならないと思うのでとりあえず信じて今季を観続けていきたいです。

稚拙な文章、お読みいただき誠にありがとうございます。
よければ拡散等していただけますと幸いです。今のところLaLiga全試合レビューするつもりではいます。多分。

それでは!

※画像はTACTICALista様、レアル・マドリー公式様を使用しております。

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