見出し画像

2023.01.23 LaLiga第18節 アスレティック・ビルバオvsレアル・マドリー

・はじめに

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
不調続きの中、直近のコパではレモンターダ。
そんな中で行われたこの試合の相手は、奇しくも去年のコパで敗北を喫したビルバオ。
今回はサン・マメスでの試合を振り返る。

以下、スタメンやあ。

両チームのスターティングメンバー

離脱者続出の右SBには直近のコパと同様ナチョが入る。
そして、特徴的なのがモドリッチとクロースといった重鎮をベンチに置き、バルベルデ、カマヴィンガ、セバージョスで組む中盤
この日1番Twitter上のホットな話題であったカマヴィンガはピボーテの位置に。
一方のビルバオはウィリアムズ兄弟が前線に名を連ね、最後尾にはラ・ロハのゴールマウスも守るウナイ・シモンが構える。

・試合内容

ビルバオの攻撃は右SHのニコが切り込み隊長
彼の仕掛けから、或いは彼が目線を集めた後味方に預けたところからのクロスが特徴的な攻撃。
マドリーもこの要注意人物に対して、“対人能力の高いメンディで縦+セバージョス(バルベルデ)で中央カットインコースは塞ぐ“といったダブルチームで対応。
放り込まれるクロスに対してはリュディガー、ミリトン、カマヴィンガを中心に跳ね返し、最悪ヘディングシュートが飛んできてもクルトワが凌ぐ。(特にニアへのクロスを弾き続けるリュディガーが印象的)
その他のビルバオの攻撃は、サイドアタッカーとしてもプレー可能なユーティリティ性を有するイニャキがサイドに流れる形、サラガが3列目からの飛び出しでアクセントを加える形等も併用。

アラバやチュアメニがいないことも影響しているのか、最近はローブロックで待ち構えるよりもマドリーのDFラインまで圧をかけるハイプレスを志向するチームが多い。
例に漏れず、ビルバオの前線もCBやGKのクルトワまでプレスを敢行。
その結果、クルトワからのロングボールを誘発。
特に彼の利き足である左足を切ることも意識していた印象。

この試合のマドリー保持局面で良かったと思うのが、ミドルゾーンを越えたところでのボール循環。
この良ボール循環に寄与する要素は2つあると考える。
「①カマヴィンガがピボーテ、セバージョスが左IHに入ったことと其々の利き足」
「②アセンシオとバルベルデの関係性」

の2つの要素が大きく関わっていると考える。
①カマヴィンガとセバージョスが低い位置でボールを引き取り、ロングボールを交えながら左右に大きく展開する発射台2台体制。
この発射台がそれぞれ右利きと左利きであったことで、ボールのアングルに差異が生まれ、偏りのない両サイドへの展開を可能にしていた。
②アセンシオが内側トップ下気味の位置、時には更に低い位置まで引いてきて中央のボールの出口として機能。
空いた右サイドにはバルベルデが流れる、ナチョが低めの位置アイソレーションで預けどころになる等、各々が活きる場所でプレー出来るような設計。
そして、上記の2つに加え、クロース不在による保持局面でのヒエラルキーの解消が、逆に出所に偏りがないボール循環の良さに寄与したのではないかと推察される。

マドリー保持局面の概略図

この保持の特徴が発現しているのが前半18分、ナチョのロークロスからベンゼマがシュートを放ったシーン。
降りてきたアセンシオとカマヴィンガ、セバージョスで中央〜左サイドエリアでの保持→セバージョスが右サイドのナチョに大きく展開という流れから上記のシュートに繋ぐことができていた。

そして、ここ最近の試合の中では比較的早めの時間にマドリーに先制点が生まれる。
前半23分、ベンゼマがゴラッソをぶち込む。

マドリーの1点目

右サイドで空いたナチョへセバージョスが大きく展開。
ナチョが上手くトラップでプレスを剥がした後、中央のバルベルデとアセンシオを経由し、セバージョスに再びボールが戻る。
セバージョスからバルベルデに再度ボールが渡り、ストレート気味で滞空時間の長いボールを対角のアセンシオへ送り込む。
高いボールに懸命に体を伸ばしたアセンシオがバックヘッドで残し、反応したベンゼマが後ろに戻りながら体を捻ってボレーシュートをねじ込んだ。
セバージョスを中心に左右にボールを展開し続けDFラインの押し込みと目線を振ることにより、認知負荷をかける。
これにより、飛び出してきたアセンシオや、バックヘッドのこぼれ球に反応することが難しくなる。
こうして生まれたカピタンのゴール。(トンデモ技術だと思うけど)

前半で気になったポイントを強いて言うなら前プレの連動性はそこまでだったこと。
前線が散発的にプレスをかけるも、中盤以降はミドルゾーンあたりでブロックを組みたい感が表れており、無駄走りになっているシーンがちらほら。
それでも守備は中盤の強度やサイドに追い込みながらの複数人対応で抑え、クロスも弾く。
保持ではセバージョスやカマヴィンガを中心に振り分ける形を継続し、1点リードで前半が終了。

後半開始。交代無し。
ベンゼマが足裏で横に流したボールを後ろからセバージョスが飛び出してくる新しいキックオフパターンで開始。(失敗してたっぽいし、上手くハマった感は微塵もないが)

後半もビルバオはニコを中心に攻撃を組み立て、イニャキのポストプレーやHS流れでの陣地回復などを絡めつつ前進。
これには前半同様、守備陣の集中力と中盤組の援護で落ち着いて対応していた。
ミリトンがリフティングしながら前進するブラジル魂を発揮、同じブラジル人のヴィニシウスも焦って仕掛けることはせず試合のペースをコントロール。

上手く試合をコントロールしつつ2点目を焦らず刺しに行きたいな〜と思っていた矢先、後半60分の被決定機をナチョが救う。
ベスガの縦パスからイニャキ→サンセ→ベレンゲルと中央で繋がれ、ベレンゲルのトラップの妙でミリトンが滑らされるも、戻ったナチョがカバーして事なきを得た。

ビルバオは後半66分にCFグルセタやDMFエレーラ、そして“ビルバオの象徴“ムニアインを投入。
中盤と前線に梃入れし、打開を図る。

そして、後半77分にはCKのこぼれ球からユーリが放ったミドルシュートを一度はクルトワが防ぐも、イニャキに詰められネットを揺らされる。
しかし、VARでオフサイド判定。
この試合かなりビルバオのCKが多かったが(ビルバオ12本、マドリー2本)、失点無しで抑えられたのは良かったと思う

終盤は左サイドでヴィニシウスが孤軍奮闘の陣地回復を担っていたことが印象的。
MAXスピードで上がるのではなく、上手くペース調整しながらファールも受けつつ自分達の時間を創出していた。
クロースモドリッチが不在の中、別の形のペースメーカーとしてヴィニシウスが活躍していたのは新たな発見。

そして、マドリーは終盤にヴィニシウス→ロドリゴ、セバージョス→クロースに代え、試合を締めにかかる。

そして迎えた後半89分、クロースもゴラッソをぶち込む。

マドリーの2点目

自陣低めの位置でモドリッチがボールを引き取り、1枚プレスを躱してロングフィード
回収しようとしたレクエの胸トラップが大きくなったところを背後からロドリゴが攫ってドリブル開始。
右サイドでバルベルデとパス交換し、再びボールを受けたロドリゴが仕掛けながらDFの目を集め、マイナス方向のクロースへパス。
少し足元に入ってしまったように見えたが、背番号8番が難しい体勢の中ボールを上手く抑えたビューティフルゴール。
(ちなみにgoal probabilityは14.4%だったらしい)

クロースが文字通り“トドメを刺し“、試合は2-0で終了。

・まとめ

保持局面では長短のパスを小気味良く左右に振り分け、良いボール循環を行いながら、ゴラッソ2発で最近の嫌なムードを振り払う好試合。
新鮮な中盤構成もかなり良い方向に作用。
上述の利き足の違う発射台2台体制でボールの出口と入口を絞らせない。
そして守備でも強度の高い集中した守備を継続。
SBの守備の援護に行き、常にダブルチームを作りに行く判断や、SHに並行サポートに来た中盤への監視等を高次元で続けたIH2人と、ピボーテの位置でクロスを跳ね返し、長い脚でボールを刈り取るカマヴィンガの中盤は文字通り“支配的“であった

最近は誰か1人は叩かれるような試合が続いていた中、ピッチに立っていた選手全員が押し並べて高パフォーマンスを見せていたことも印象的。

その中であえて特筆するならナチョ。
まず守備がクリーンかつ堅い。
サイドアタッカーが被ファールで陣地回復するという狙いはよくあると思うのだが、そこに縋ることも許さなかったのは素晴らしかった。
ベレンゲルが内側を締める傾向にあり、アセンシオも内側を志向する関係で浮きがちな右サイド。
ボールが集まりやすい中、基礎技術の高さを遺憾無く発揮し、安心して預けられるポイントになっていた。
実際に1点目シーンにはナチョのトラップが大きく関与していた。
無駄な色気を出さないのも好印象

サン・マメスで良い勝利を収めてコパ・デル・レイアトレティコ戦、好調のLaLigaラ・レアル戦の連戦に弾みをつけることができた。

・おわりに

最近どことなくネガティブな試合が多かったマドリー。
離脱者が続出し、金曜日にはアトレティコとの試合を控える中、上手くスカッドを構成しながら勝ち点3をもぎ取れたのはかなり大きかったのではないか。
今はコパ・デル・レイのマドリードダービーが楽しみです。

稚拙な文章、お読みいただき誠にありがとうございます。
よければ拡散等していただけますと幸いです。今のところLaLiga全試合レビューするつもりではいます。多分。

それでは!

※画像はTACTICALista様、レアル・マドリー公式様を使用しております。

この記事が参加している募集

#サッカーを語ろう

11,193件