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2023.05.25 LaLiga第36節 レアル・マドリーvsラージョ

・はじめに

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
リーガも残り3試合、怒涛のミッドウィーク開催の試合は今季初黒星を喫したラージョをホームに迎えたリベンジマッチ。
来季からのマドリー加入がほぼ確定しているフラン・ガルシア擁する好チームと対峙した注目の試合を振り返る。

以下、スタメン。

両チームのスターティングメンバー

リュディガーを左SBに配置し、ナチョ・アラバの珍しいCBコンビを採用したDFラインが目を引くマドリーのスタメン。
個人的にナチョはCBで見たいと常々思っているため、この並びは割と賛成。
中盤アンカーをやらせてもらえたカマヴィンガ、そしてベンゼマのCFと組むヒダリゴにも注目。
対するラージョは前回対戦時からトップ下がトレホ→ウナイ・ロペスに変わっただけのほぼ同じ陣容
フラン・ガルシアが試合に出まくっているみたいな情報をこの前観測したのだが、おそらくラージョはそもそもスタメンあんまいじらないチームなのかもしれない。知らんけど。

・試合内容

・管轄広めのハイプレス

この日マドリーは守備時にクロースとモドリッチを2人とも高めの位置まで前進させ、相手のドブレピボーテにそれぞれ当てはめに行くハイプレスでラージョのビルドアップから自由を奪うアプローチ。(実際DAZNのフォメ表記が4-3-3じゃなくて4-1-4-1だったのもこの影響が大きいのでは。)

マドリー守備局面概略図

相手のCBに対するチェック意識も比較的高めで、バルベルデを内側に寄せてCBにぶつけるパターンと、モドリッチをもう一列上げて対応させるパターンを併用。
前者の場合にはカルバハルもより高い位置に上がっていくシーンもあり、あくまでも前からプレスを嵌め込みたいという意図が見て取れた。

こうなってくると空いてくるのが中盤とディフェンスラインの間、アンカー脇のスペース。
カマヴィンガがいくらモビリティがある選手と言えど限界はあり、やはりこのエリアを利用されて前進されるシーンも散見。

バジェカスを本拠地に持つラージョの面々は、そのピッチの狭さゆえにホームでは一人一人のプレーエリアの管轄が広めに設定されている印象を持っていたが、ベルナベウでの今日の試合も似たようなプレーエリア管理で臨んできたことが個人的には意外に感じた。
しかし、バジェカスほどの圧力は感じなかったため、ここはやはりホームの利。
ラージョのハイプレスに対しては慌てず焦らずプレス回避ができていた印象。

両チーム共に選手間が広がりがちな試合展開の中、どちらが先に息切れするか、どこかでプランを変更するのかといった部分はこの試合のファクターでもあった。


・右肩上がりのバックラインに隠された意図とキーマン

スタメン紹介で触れたが、この日のマドリーが見せたバックラインはリュディガーを左SB、ナチョを右CBに置くという特徴的な布陣を敷いていた。

マドリーの右肩上がり可変概略図

この守備配置を採用したマドリーは、結果的にバックラインを右肩上がり可変にする傾向が強く発現。
その事象を紐解くと2つの意図が浮かび上がる。

①「カルバハルの押し上げによるラージョのストロングポイント牽制」
左サイドで組むフラン・ガルシアとアルバロ・ガルシアの縦ラインはラージョの明確なストロングポイントである。
まずはそこに嫌がらせを敢行。
カルバハルを高い位置に前進させ、バルベルデもインナー寄りに配置。
これによりアルバロ・ガルシアの初期位置を下げさせ、シンプルなオフェンス牽制とサイドでの起点作り位置を低めにさせることで左サイドを詰まらせる。
そして、バルベルデの立ち位置でフラン・ガルシアを大外レーンから離れさせる。
これらの効果は主に相手の攻撃力を削ぐ守備的な観点から見たもの。
一方でマドリーのオフェンス局面的な視点から見ても、クロースが右サイドを覗いて放つサイドチェンジ→その的になるカルバハルの構図は再現性の高いプレーであり、ピッチを大きく使って陣地を押し込む上で重要な役割を果たしていた

②「3バック形成による被カウンター対策」
クロースとモドリッチを両採用し、ハイプレス気味に前から嵌めに行く際に気になるのがネガティブトランジションの振る舞い。
被カウンターで晒された時、後ろを少数人数でストップ、もしくはディレイできる人材でリスクヘッジしておきたいという意味でも後ろにリュディガー-アラバ-ナチョの3バックを形成する理由が少なからずあったのではないか。
ここで大事なのはあくまでもインナーレーンを主戦場に攻守でプレーできる左SBを置くこと
SB的なムーブに重きを置いてしまうと可変時にかかる移動距離がかかり、3バック形成に時間もスタミナも浪費してしまう。
ナチョやアラバはどちらかというとSBチックな動きを“ちゃんとやる“タイプ。(いや、アラバは割と中盤も活き活きやるけど)
一方のリュディガーはインナーレーンを張り切って爆速できるHV要素が最も強い選手(実際チェルシーで3バックの左HVを担当)であり、この位置はお手のものである。
加えて相手の右SHを務めたイシも内側でのプレーを好むため、“ラージョのキーマンを中央で潰せたらより良いね“という隠れテーマも。

これらの意図から基本的には相手の良いところを消しつつ、上の項で述べた中盤の2人を高めに上げることへのリスクヘッジも意識した人選と配置に見えた。
フラン・ガルシア獲得が決定的でメンディ放出の噂が流れる中、来季リュディガーの左SBが採用される試合は増えてくるのかは楽しみなポイントである。


・またも突かれる“あの“エリア

前半のうちにFKから虚を突くクイックリスタートでベンゼマが先制点を挙げ、1-0でクローズもしくは追加点を狙って突き放す展開を望んでいたまま試合は進み、終盤の後半84分。
ラウール・デ・トマス(以下、RDTと呼称)に被弾した同点弾は前節と同じあのエリアの管理が甘くなったことが関係した失点であった。

ラージョ1点目のシーン

フラン・ガルシアがボールを持ったタイミングでチャバリヤが外側へダイアゴナルランでサイド深部スペースへボールを引き出す。
この際にサイド深部が空いていたのはRDTが外側でカルバハルの視線を集めていたせい。
裏に抜けたチャバリヤの対応のためにナチョが引っ張り出され、空いたスペースにチュアメニがカバーに入るも位置が少し低すぎた。
ボックス内に侵入してきたRDTへのチェックに行く選手が決まらず距離が遠い。
そのまま同点弾となるゴールを許してしまった。

今回はCBが引っ張り出されたスペースをアンカーが埋める形が少し上手くいかず失点を許した。
例えばミリトンだったら出張先で確実に潰し切ることができたというように、個人の能力に依拠した属人的な話でまとめてしまえば簡単ではあるが、やはり理想は選手が多少変わっても判断と連携を間違えない守備ができること。
今季終盤になってもこの辺りの課題は有耶無耶なまま終わってしまったなぁという少し残念な気持ちにはなった。

ちなみに試合としてはこの後ロドリゴがチームを救う2点目を決め、2-1で勝利。
(握った拳を掲げるゴールパフォーマンスがカッコよかった)
ヒリヒリさせながらもなんとか勝ち点3を得る結果に。

・まとめ

ラスト数試合の中でチャレンジ要素が見える面白い試合。
個人的にはナチョはCBで使いたいし、カルバハルを高めに上げることができ、左サイドの広大な守備範囲と難しいタスクを押し付けられながらも上手くリュディガーがこなせていたため、このシステムは好きな部類。
一方でリュディガーの逆サイドの右でお馴染みのようなポケット襲撃を喰らって見事に失点してしまった部分は改善するべきである。(というかそんなのずっと言われてたのでは?)

来季から加入するフラン・ガルシアに関しては、マドリーの意図が噛み合ったおかげかこの試合では少しおとなしめだった印象を受けた。
(逆に言えばマドリー失点シーンに見えたように後方支援から脇役にもなれそうな幅の広さもあると捉えられるかもしれない)
このあたりのサンプルを取れたことは来季に向けて良い判断材料になるのではないでしょうか。

守備陣は勿論、試合の序盤から足痛めながらなんだかんだで点を決めたベンゼマ、それをアシストしたバルベルデ、チームを救う2点目をあげたロドリゴなど比較的チーム全体としては悪くないプレー振りだった印象。

あと2試合、しっかり見届けよう。

・おわりに

ラージョにリベンジを果たすことができたのは良かった良かった。
次にベルナベウで観るフラン・ガルシアは白いユニフォームかなぁ。

稚拙な文章、お読みいただき誠にありがとうございます。
よければ拡散等していただけますと幸いです。今のところLaLiga全試合レビューするつもりではいます。多分。

それでは!

※画像はTACTICALista様、レアル・マドリー公式様を使用しております。

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