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2023.04.16 LaLiga第29節 カディスvsレアル・マドリー

・はじめに

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
レビュー書くのが遅すぎて、CLベスト8チェルシーとの2戦を終えてしまいました。
さて、そんな2戦の間に挟まれたカディスとの試合を振り返ります。

以下、スタメン。

両チームのスターティングメンバー

ヴィニシウスとクロースが欠場することが事前から知らされていた中で、ロドリゴとセバージョスがその位置を埋める。
リーガではここまで出場機会が限られていたアセンシオとバスケスが3試合連続でスタメン。
アラバやカマヴィンガといったCLでも鍵になってきそうなメンバーは休ませつつ、今の最適解を並べた印象。
対するカディスは4-4-2。
前回対戦時には途中出場で脅威となっていたボンゴンダがスタートからピッチに立つ。

・試合内容

・カディスの中央締め守備に対する前進アプローチ

カディスの守備から。
4-4-2の陣形のまま、2トップはマドリーの2CBにそれぞれが出て行って牽制を行う。
そして特徴的なのが、SHの初期位置が比較的内側寄りなこと。
マドリーのSBに対応するよりもバルベルデ、セバージョスの両IHを抑えて中央を締めることにも意識を向けておきたいという意図に見えた。

カディスの守備とマドリービルドアップ局面概略図

こうなると空いてくるのはマドリーの両サイド。
右サイドはバスケスがアイソレーション構図になることが多く、サイドチェンジの的になることも含め、アセンシオとバルベルデを中央に送り込む分の大外レーンを引き受ける。
左サイドは低めの位置ではナチョがボールを預かる。
そして高めの位置ではロドリゴが受けたり、移動してきたベンゼマが基準点になったり。

さらに、上記の守備に甘いところがもうひとつ。
それはマドリーがビルドアップ隊に選手を+1したときのカディスのプレス隊の対応力の低さ
チュアメニやセバージョスが最終ラインに降りて2CBの形を崩すと、途端にカディスの1stプレス隊が戸惑う様が見えた。

浮くSBを経由して外回りでボールを循環させる、後ろの人数を増やしてカディスの守備基準をズラす等、中央を志向する相手の守備の穴を突きつつ、前に届けること/前進することには成功していた印象。

しかし、この中央寄り傾向はカディスのオフェンス局面にも1つの意図が。
前半11分、序盤にピンチを迎えたシーン。
右サイドのスローインから内側にポジショニングしたソブリーノが中央で受け、左サイドを駆け上がったエスピーノがフリーでシュート。
ポストに助けられたが、相手の中央志向に誘導されたままスライド/右WGのカバーが間に合わないタイミングを利用された危ないシーンであった。
おそらくこれはカディスが狙っていた形の1つだと推察。


・呼応する壁と止まらないヒダリゴ

上述のカディスのプレス隊を越え、ファイナルサードまでボールを侵入させることができたら次に直面するのは大事な大事なフィニッシュ局面。
この試合で特に目立ったのがコンビネーションプレーでの打開。
そして、この有機的に選手同士が作用し合う攻撃を引っ張っていたのが、相手の基準をズラしつつ目線を集め、中心で壁となってボールを動かすベンゼマ。

前半17分、マドリーはU字循環からベンゼマとアセンシオでチャンスを創出。

前半17分のマドリーのチャンスシーン

左サイドから右サイドへ展開し、浮いていたバスケスが高い位置でバルベルデからボールを預かり中継点に。
その後パスアンドゴーで前進したバルベルデが前向きでボールを受け、引いてきた中央のベンゼマへ。
ベンゼマとアセンシオの近い距離感でのパス交換の連打でDFライン裏にベンゼマが抜けてシュートを放つもGKに阻まれてしまった。

元々連携が上手い印象のあったアセンシオが積極的にベンゼマと絡むことで、効果的なコンビネーションプレーが生まれていたことは今後に向けても好材料。
(果たして契約は延長されるのかどうか。)

そして、忘れてはいけないのが(忘れられないのが)左WGを務めたロドリゴの傑出した出来。
CLチェルシー戦を見据え、マドリーの攻撃の核となるヴィニシウスに休息を与えたこの試合。
今季のパフォーマンスには目を見張るものがある彼はこの試合でも魅せる魅せる。

前半34分、39分には立て続けにドリブル突破でゴールに迫る。
どちらも左大外〜HSエリアから仕掛けたもので、シュートまで繋がっているクリティカルなプレー。
この試合を通したロドリゴのキレは異常であり、実際この試合でロドリゴは14回のドリブルを敢行し、その内9回を成功させた。
(まぁ、シュートは悉く決まらなかったが...。)

しかし、上述した最初のベンゼマのチャンスで決め切れなかったことが序盤からGKダビド・ヒルをノせてしまったこと、ロドリゴがなんかシュート外しまくる日だったこと等が影響し、なかなか0-0の状況は変わらない。


・膠着を打破したカマヴィンガ投入とナチョの配置換え

ゴールには迫るが、得点は奪えない。
もどかしい展開の中で、アンチェロッティが動く。
後半66分、カマヴィンガをバスケスと交代させ、ナチョを右サイドに移してカマヴィンガを左SBの位置に入れる。
「カマヴィンガを入れることには賛成、でもナチョじゃなくてバスケス替えるの??」と言った具合に、筆者は当初この交代に懐疑的な視線を向けていた。
理由としては、押し込んだ後のコンビネーション打開を基軸に攻め込んでいた状況で、ナチョが無視される場面が散見され、彼が活きる展開ではないのかなと思っていたこと。
右サイドでアイソレーション状況の中奮闘し、押し込んだ後のボックス内突撃や大外レーン担保に奔走していたバスケスはこの後も必要なアクセントだと感じていたこと。

しかし、試合を通して再三打開できそうなビジョンが見えていた左サイドの攻勢を強めつつ、反対サイドにはナチョを置いたままバランスは取っておきたいという意図は理解ができるし実際効果的であった。
カマヴィンガが投入され、彼の推進力と中盤インサイドで保持を助ける良さが活かされ左サイドの迫力は倍増。

そんな中、待望の先制点を記録したのは背番号6番のバンディエラだった。
前半71分、ナチョが斜め左後ろからチュアメニのパスを受け、前を向くトラップから素早く放ったシュートは左のサイドネットを突き刺した。
右利きのナチョが無駄なノッキング無しでターン→シュートに移行できたと言う意味でも右サイドへの移動がバッチリハマったということでもある。

バックラインに怪我人が続出する最近、守備のマルチプレーヤーとしてチームを支え続けるナチョが大事な先制点という意味でも結果を残した大きな大きなゴールであった。

直後の後半75分にも、オープンな展開からチュアメニ→バルベルデ→アセンシオと繋いで2試合連続のゴール。
この2得点とクリーンシートで2-0勝利。
チェルシー戦に向けて弾みをつけた。

・まとめ

カディスのプレスの綻びを突きつつ前進し、ファイナルサードではこの日ボールプレーの感覚が良く、壁として効果的に機能するベンゼマを中心に3トップが有機的に絡んでゴールに迫り続けた試合展開。
しかし、中々ネットを揺らすことができず、使える交代カードも限られている中、最小リソースの使い方と配置替えで流れを増したまま得点を奪った選手とアンチェロッティの采配には脱帽。

圧巻だったロドリゴのパフォーマンス。
何度も成功させたドリブル突破は勿論、コンビネーションプレーの上手さはヴィニシウスにも勝る彼特有の良さ。
さらにこのロドリゴに引っ張られるようにアセンシオの連携も良くなっていたのも印象的。
もしかしたら味方の連携力にバフをかける隠れ性能もあるのかもしれない。

CLチェルシー戦を控えていた中で、ヴィニシウスやクロースと言った面々を休ませ、モドリッチも最低限のプレータイムに留めた試合。
さらにこの試合で良かったのはベンゼマのボールプレーのフィーリングの良さを確認できたこと
9番ポジションの層の薄さが叫ばれる中で、CLとリーガを戦い続けるためには彼の活躍は重要なファクターとなる。

得点遠いな〜と思っていたが、なんだかんだで2-0クリーンシート。
スコア面でもプレータイム管理面でも、上出来な試合をこなすことができたのかなと。

・おわりに

過密日程が続く中、リーガは既に調整気味に流しつつコアメンバーを休めてしっかりと勝利を収められた良い試合。
チームとしてのマネジメント能力が試され続けた今シーズンのLaLigaももう終盤。
あと少し、走り抜けるしかないのです。

稚拙な文章、お読みいただき誠にありがとうございます。
よければ拡散等していただけますと幸いです。今のところLaLiga全試合レビューするつもりではいます。多分。

それでは!

※画像はTACTICALista様、レアル・マドリー公式様を使用しております。
※データはSofascore様より引用しております。

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