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2023.05.03 LaLiga第33節 レアル・ソシエダvsレアル・マドリー

・はじめに

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
ミッドウィークも絡めたコパ決勝前怒涛のLaLiga4連戦の最後となる試合。
前回スコアレスドローに終わったラ・レアルを圧倒したい...のは山々でしたが。

以下、スタメン。

両チームのスターティングメンバー

マリアーノがスタメン、これに尽きる。
ベンゼマとヴィニシウスを欠く中で、ロドリゴを左に回し、CFには今夏での放出が噂される背番号24が鎮座する。
ちなみにベンチメンバーにはアルバロ、アリーバス、ニコ・パズ、ドトールなどなど、カンテラーノ達が複数名メンバー入りしていたのがワクワク要素
一方のラ・レアルは4-1-4-1のフォーメーション。
GKレミーロと2CBを中心とした固い守備、そして中盤より前には技術とコンビネーションに優れた選手達が並ぶ手強い陣容。
前回対戦時に欠場していたダビド・シルバがスタメン出場。
歴戦の名選手がマドリーに牙を剥く。

・試合内容

・足りない信頼関係と噛み合わない選手の感性

この日大きな話題となったのが、マリアーノのボールタッチ数。
マリアーノはこの試合で約59分間ピッチに立っていたのだが、ボールタッチ数はトータルたったの13回。
ボールプレーへの関与率が圧倒的に低かったのである。
まずはこの絶望感の根源を紐解いていく。

1つ目はシンプルにチームメイトに信頼されてなかったこと。
それが伺えたのが前半27分、サイドでボールを受けたロドリゴがボックス前まで運んでシュートを放つシーン。
一見するとロドリゴの推進力でチャンスを創ったように見えるが、個人的にはこの一連の流れに勿体なさを感じた。
ロドリゴが中央へドリブルで運んでいる際、左側にいたマリアーノ。
一瞬並走するように裏抜け仕草を見せたものの、途中でDFラインを越えるためのランニングをやめてしまった。
コンビネーションプレーが得意で味方と連携することを志向するロドリゴなら、おそらく近くにいる選手(この場合のマリアーノ)を“使いながら“ゴールへ向かっている様は容易に想像がつく。
しかし、ここでマリアーノを使わなかったのはそもそもロドリゴが彼を使う気がなかったのではないか。
それ以前にラインブレイクを中止してしまうマリアーノも勿体無いのだが。
その結果、可能性が低い遠目の位置からのシュートに帰結。

そして前半39分のシーン。
ロドリゴに呼応するのは右サイドから左サイドへマリアーノを飛び越して移動して来たアセンシオのみ。
DFラインを二人称のみで崩すのは難しい。
マリアーノが3人目として関わることができれば、若しくはアセンシオを3人目にする関わり方ができれば...。

ロドリゴ、アセンシオの両翼は大外というより中央寄りのポジションで輝く選手たち。
その2人の間に挟まれる選手がコンビネーションプレーに関与しない/できないとなると破壊力は半減どころの騒ぎではなくなる。
せめてボールプレーではなくとも積極的な裏への飛び出し、クロスへ飛び込む動き出しなど、怖さを見せて視線を惹きつけたり奥行きを創ったりといったプレーがあれば良かったのだが、前述のシーンのように全てのアクションにリアリティがないため、ラ・レアルのDF陣からしても予想外の動きが無く守りやすかったのではないか。


・勇猛果敢なハイプレスと勘所を抑えたラ・レアルの狙い

この試合のラ・レアルはかなり高い位置からの積極的なプレスを敢行。
ボールホルダーに対して1枚必ず前進して嵌め込むプレス、時にはGKのクルトワまで追いかけるシーンも。

レアル・ソシエダのハイプレス概略図

ここ最近改めて注目されているミリトンのフィード。
意外と彼を積極的に抑えようとするチームは今まで多くなく、背番号3を中心に自陣での保持を安定させる、特に対角を覗いた時に見えるヴィニシウスの快足に届けるボールはマドリーのホットラインとなっていた。
ラ・レアルが偉かったのはこの出所を抑える意識が高かったこと。
特に前スライドしたときにかち合うのが左IHを務めていたダビド・シルバであり、37歳の彼がこの重要で負荷の高いプレーを続けていたのは圧巻であった。

実際にこのボールホルダーへの積極的なハイプレスでミリトンからエラーを誘発し、1点目を奪ってみせた。(このプレスをかけたのはセルロート)
本気で奪いに来ようとするリアリティのあるプレスを序盤から続けられるのは、画面越しに観ている自分達では計り知れない心理的プレッシャーが選手のしかかるのであろう。
世界最高CBのミスから失点してしまった。

このハイプレスを90分間維持し続ける胆力とスタミナも圧巻で、CL圏獲得を狙うラ・テラルの本気度は、ここ最近の不甲斐ないマドリーを見ている自分には眩しかった。


・悪循環の中の自滅

後半開始早々に久保に自分たちのミスから得点を決められ、暗雲立ち込める中、更なる悲劇がマドリーを襲う。
後半53分に抗議でイエローカードを貰ったカルバハルがその8分後の後半61分に2枚目のイエローカードを貰って退場となってしまった。
特に2枚目はチュアメニの安易なパスをリカバリーしに行ったプレーで相手を削ってしまったもの。
チュアメニはたまにこのような愛とメッセージ性が無いボールを味方につける悪癖がある。

退場後、試合途中にも関わらずInstagramのストーリーを更新するなど判定にフラストレーションが溜まるものではあったものの、明らかにチームとして上手く行ってない雰囲気が伝播した結果がもたらした自滅。

10人になったマドリーに対して、そもそもポゼッションの上手さに定評のあるラ・レアルは一方的な展開を強いる。
後半85分にはマドリーの右サイドからバレネチェアにニアを抜かれる見事なシュートを被弾し2失点目。
終戦ムードが漂う中、カスティージャのアルバロやアリーバスを投入するなど、手を打ってはみた。
しかし、状況は打破できず2点差を跳ね返すこともできずに試合は終了。
前々節のジローナと同じく、ラ・レアル相手にもシーズンで一勝もできず、リベンジの機会を失ってしまった。

・まとめ

ベンゼマ、ヴィニシウス抜きの飛車角落ち感は否めず、代わりに出た選手達も噛み合わないまま相手の策略と技術、戦術理解度に圧倒された試合。
CFの位置で代わりに出てくる選手のクオリティに関して、圧倒的に他ポジションより厳しいものがあることを突きつけられた。
ベンゼマとはまた違った良さを見せられる可能性があることにはあるマリアーノ。
しかし、プレーに関与できないのであればその可能性を発揮する機会すらも掴み取れない。

この日の苦しい試合の中でもロドリゴはやはり希望に見えるし、その疑いの余地は無いのだが、彼をフォローしてあげる選手がいて欲しいとも痛感させられた。

世界最高CBを攻守両面で機能不全に陥らせたラ・レアルのプランは見事で、日本人の久保に決められたのも嬉しいような悔しいような。

如何せん、4位以内のフィニッシュを全力で狙いに来ていた強敵ラ・レアル相手にも10人になっている時点で既に厳しい。
自分たちで試合を終わらせてしまったことは重く受け止めるべきである。

・おわりに

覇気がなかったなぁ...。
そりゃ足元掬われるよなぁ...。

稚拙な文章、お読みいただき誠にありがとうございます。
よければ拡散等していただけますと幸いです。今のところLaLiga全試合レビューするつもりではいます。多分。

それでは!

※画像はTACTICALista様、レアル・マドリー公式様を使用しております。

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