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靴下を全部同じにしたらいいのだろうか

 私はストッキングが嫌いだ。タイツも嫌だ。腰から下全部、つま先までもが全部カバーされる圧迫感がたまらなくしんどい。

 毎日靴下を履いているならばこの問題は回避できるのだが、靴下だと、靴下によって、あるいは靴によっては格好がつかないこともある。
 そして私は靴にこだわりがある。足より靴下より靴の都合のほうが優先される。靴のために、ストッキングを、履かねばならない。

 というわけで、ストッキングの素材だがハイソックスの丈までしかないショートストッキングを愛用している。

 ところで、ストッキングを何かにひっかけると派手に破ける。「伝線」と呼ばれるこの現象は、少しひっかけただけでもかなりの距離、大ダメージが発生してしまう。
 これは「引っ掻き傷+破裂した跡」という感じのショッキングな見た目となる。そうなったのに気がつくと、とても恥ずかしくなる。気が付いたのがたとえ自分だけであったとしても、着替えたい・・・帰りたい・・・という後ろ向きな気持ちがすごく出てくるのだ。

 もちろん、ショートストッキングも同じ素材なので伝線する。
 ストッキングが伝線したら、捨てるしかない。片足だけ破けても一蓮托生だ。しかし、靴下の形をしているショートストッキングは、片足だけ破けたとき、もう片足どうしよう?と思うのだ。
 普通の靴下が片方だけ穴が空いたときは、仕方ないので両方とも処分するか、と思う。
 ショートストッキングの時、この判断が鈍るのは「もしかして、ずっと同じ色・形のものを買い続け使い続けるなら、片方破けてもローテーションが組めて、捨てなくてももうちょっといけるんじゃない?」という考えが脳裏をよぎるからだ。
 少なくとも、同じくらいに使い始めたもの同士だったら、ペアを組み直してもいいかなあと思うのだ。これまでも、同時に何足か洗濯したあと、違うペアになっていたかもしれないし。

 さらに、ストッキングは脛のあたりなどで広範囲に破けがちだが、ショートストッキングはストッキングに比べて全体の引っ張られる力が弱いから、どうしても破けるのは圧力のかかるつま先や踵で、うまくすればもう一回ぐらい履けるんじゃないかと思ってしまう。

 貧乏くさい話だ。
 しかし伝線はたくさん履いたから起こりやすくなる、というわけでもなく、おろしたての新品だが早速ひっかけた!などという事故もあるし、袋の開封途中でひっかけて破くなんて悲劇もある。ストッキングには「ひよこがたまごの殻を割れなくて死ぬ」みたいなことが起こるのである。

 めんどくさいから素足で履くか。
 果たしてストッキングで苦悩するのと、美しい生足を保つのとどっちがいいか、天秤にかけようとしたら天秤は向こう側に倒れた。

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