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あんきも

深海魚を釣り上げると、口から内臓が飛び出るらしい。大きな水圧がかかっているのが普通だから、圧が下がると出やすいところから出てくるそうだ。

さて、子どもはなぜ暴れるのか。
パワーが有り余っているからか。それならば疲れさせてエネルギーを発散させれば良い、という意見はわたしが子供の頃から聞いていた。ついでにテレビゲームのせいで外遊びしなくなったからとも言われたのを思い出す。

果たしてそうだろうか。

じっと黙って動かずに待っていることと、自由に動き回っている状態の、どちらがエネルギーを使っているのだろうか。

じっとしているのが好きな性分の者に走り回って来いと言う時、あるいは飛び回りたくて仕方のない性分の者に正座をして黙っていろという時、自己のコントロールにどれだけの労力を払うのだろうか。

こうあるべきという規範は環境によって違う。こうあってほしいという周りの者の意見も多様であろう。
しかし、本人がどうしたくてそうしているのか、聞かないことには話が始まらないと思う。
聞かないで断定するのは、話を終わらせるには適している。
ただ、人間は複雑なものなので、AすればBになるわけでもない。さまざまな要因が複雑に絡み合って「そうなって」いるのかもしれない。他の人から見たら、「そうなって」いないと解釈するかもしれない。

対話を続けることでしか、今生きている他者、たとえ目の前にいる存在でさえ、理解するというとおこがましいくらいの、自分で最善のベストを尽くして「理解した気になってる」あたりにまでも到達することは困難なのだと思う。

あんきもは肝臓だそうだ。天然ものでも人間が手をかけたフォアグラと並び評されるが、深海は栄養たっぷりの環境なのかもしれない。

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