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17.視界がマクロ

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 ずっと不思議に思っていたことがあります。なんで家電店に並んでいるテレビはこんなに大きいのかと。そんなに大きいと、だいぶ遠くから見ないと見えないじゃないかと。
 しかし、60型でも10畳くらいの部屋で見られるといいます。どういうことなんだろうと思っていました。

 映画のスクリーンもそうです。大きなスクリーンは広すぎて、どこを見たらいいかわかりません。自分の見てとれる範囲は狭いので、見たいものの全体像がわからないこともあります。なので、シネコンの一番小さいスクリーンでも、小さい劇場でも不満に思ったり困ったことはありません。むしろ小さめのスクリーンの方が疲れず見られます。

 最近知ったことは、大きな画面を全体的に見ることができる人がいるということです。なんとなく眺めている、でも十分鑑賞できるそうです。
 いつでも焦点を絞って見ている自分からしたら寝耳に水でした。それならば、近い距離で大画面テレビがあっても困ることはないのでしょう。

 見える範囲が狭いのは、自分のワーキングメモリの弱さなのではないだろうかと思います。それだけ広範囲のものを処理しきれないのかもしれません。集中することはできるから、限定された範囲内は鮮明な画像として取り入れられるのでしょう。動きが早い映像の認識が苦手なのも、多分近い理由なのだと思います。

 そうすると、私の見えている視界はマクロレンズで撮った写真と似ているかもしれません。焦点は被写体にバッチリあっていて、手前と奥の背景は全部ボケている、そんな視界です。全体を見ようとすると、全部ぼやけます。

 と、思うに至ったのは、ADHDの薬を飲み始めてしばらくして、映画に行った時アクションシーンの動きが以前に比べてよく見えたからです。
 パソコンのディスプレイで予告編を見た時は「なんか動いてるけどよくわからない」と思っていたものが、かなり大きなスクリーンで見た時には「動きの前後関係がなんとなく追える」状態になっていて驚きました。

 しかし、そこまではっきり見え方の違いを感じたのはその時だけでした。薬を飲んでいる状態にだんだん慣れてきて、「普段」が変わってきたのかもしれません。

つづく



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