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Virtual俳句週刊誌『歌想句感』Vol.1 木・金曜号「きつネつき、俳句と出会ふ」

 コンコンちゃ〜!
 俳句系千年狐Vtuberきつネつきです(🤘🏻・ω・)🤘🏻

 Virtual俳句週刊誌『歌想句感』 木・金曜号は、俳句にまつわる内容ということで、今回は僕が俳句と出会ったお話をば。



1.先生のもとで

 僕には「先生」と呼ぶ人間が二人いました。
 一人目は、僕に人間の知識や言葉の読み書きを教えてくれた先生。実際のところ、僕はこの方を常に名前で呼び、 「先生」と呼ぶことはありませんでしたが、人間として生きていくと決めた僕にとって、なくてはならない存在でした。
 二人目は、僕の覚えた人間の知識や言葉を、近代のものへとアップデートしてくれた先生。一人目の先生とは違い、僕は彼を常に「先生」と呼び、名前で呼ぶことはありませんでした。某小説を読んだとき、「僕と同じだな」と感じたものです。
 この二人目の先生こそ、俳句を詠まれる人だったのです。僕がこれまでの長い生涯で、初めて俳句というものに出会った瞬間でした。しかし僕は、ここで大きな過ちを犯してしまいます。そう、なんと当時の僕は、俳句に興味を示さなかったのです。(ここでSEとしてバッハの『トッカータとフーガ』を流しましょうか。)人間に紛れて生きていくため、日夜勉強に追われていた当時の僕は、それどころではなかった……と言い訳しておきましょう。ともかく、僕と俳句との出会いはすれ違いという、とても切ないものだったのです。
 先生が当時どんな俳句を詠んでいたのか、それはまた別の機会にお話ししましょう。


2.プレバト!!を観るようになって

 さて、俳句との甘酸っぱい(?)すれ違いはかなり前の話。そこから俳句を「面白い」と感じるようになったのが、今から十年近く前になりましょうか。皆様よくご存知の『プレバト!!』です。観始めた当時の番組名はまだ『使える芸能人は誰だ!?プレッシャーバトル』 。『プレバト』はその略称で、当時は漢字の書き順を正しく書けるか?など、今では見られない査定も多くありました。
 その後、今の『才能査定ランキング』方式が始まり、俳句査定が始まりました。言わずとしれた「組長」こと、夏井いつき先生の登場です。芸能人たちの俳句を、歯に衣着せぬ物言いでズバズバと添削していく組長。そして劇的に生まれ変わっていく俳句たち。――――面白い!昔から、人間として生きていくために学んだ日本語、その面白さに改めて気付かされた瞬間でした。添削中、「あなたならどんな言葉を入れますか?」とCMに入るお決まりの流れ。気付けば真剣に言葉を探している自分がいました。いつしかプレバト!!を「やってたら観る」から「録画して観る」に切り替わっていたのです。
 そして2020年4月1日、本当に興味本位で俳句を始めてみたのでした。


3.コロナ禍になって

 俳句を始めてみた2020年4月1日、まさにその当日、大きな転機が訪れます。

 「緊急事態宣言 発令」

 新型コロナウイルスの流行でした。友達と遊びに行くのは憚られる。ご飯に行くのは以ての外。カラオケに行くなんて言語道断。いつもの楽しみを軒並み奪われていった日々に、手を差し伸べてくれたのが「俳句」でした。

 俳句「娯楽が欲しいんだろ?僕を使えよ」

 俳句があれば、喜怒哀楽すべてが一句になる。一句にすれば、その想いが消化(昇華)されるような気がしました。

 かくして、気付けば句歴4年となった僕の俳句ライフが、幕を開けたのでした。


今週のプレバト!!俳句 感想 ※ネタバレあり

 兼題「スニーカー」 ※季語ではない
――――――――――
川崎麻世 最下位・才能ナシ
◇運がつき裏を覗けば散る桜

 これは……www「運がつき」はご想像の通り、ウ◯コのこと。ウ◯コ踏んじゃって靴底見たら、散った桜の花びらがついてた……って、光景としては分からなくもないんだけど、それが果たして詩になるのか?ってのがやっぱり、ねぇ……。

夏井先生の添削後
◇靴底に糞か桜の散りしきる

 「靴底に糞か」と「桜の散りしきる」と光景を二分して、つながりがあるような、ないような、絶妙な距離感にする。取り合わせの妙技!
――――――――――
石山アンジュ 4位・凡人
◇厚底や挫く心と青い空

 「挫く心」は表現が独り善がりだなぁ。
 「挫く足首」って書いたほうが良きかな?

夏井先生の添削後
◇我が青き春厚底に挫く足

 我が青き春、と壮大に始めておいて、厚底靴に足を挫く展開。青き、というのが春の美しい描写でもあり、未熟さを象徴するような働きもしていて面白い!
――――――――――
金子恵美 3位・凡人
◇入社式一人馴染まぬコンバース

 「馴染まぬ」いらない!……けど添削例は浮かばない
 =おっちゃんの「急に言われても」現象

夏井先生の添削後
◇入社式一人は白きコンバース

 助詞「は」は特定させる効果がある。一人「は」とすることで、他の人は違うけど、という対比がうまれる。
 たった一音で意味が変わるんだから、日本語は難しい。それでいて面白い。
※「白靴」とすると夏の季語になるから要注意。
――――――――――
村山輝星 2位・才能アリ
◇われ反抗期春夕焼の海岸へ
 なぜ13歳でここまで情感を込めて映像描写が出来るのか……。いや、やはり年齢なんて関係ないんだろう。
 上五字余りで、中七・下五でリズムを取り戻すのも手慣れてる。この子どんどん良くなるぞ……!(何様なんだ)

夏井先生の添削例
◇われ反抗期春夕焼の砂を行く
◇われ反抗期春夕焼の波見つむ

 具体的な動作を描写することでオリジナリティをアップさせるだけでなく、想像の幅も広がる。
――――――――――
ヒデ 1位・才能アリ
◇春落葉片方だけのスニーカー
 
季語とその他のフレーズの取り合わせ。
 この二つのパーツでちゃんと詩になってるし、季語もちゃんと主役に立ってる。片方だけのスニーカーで、色んなドラマが想像できるのがイイ!
 やはり俳句は型に始まるんだなぁ……。

夏井先生の添削なし

――――――――――
≪句集完成への道≫
横尾渉
 永世名人
◇風光るピボットの軸は逞し
 →掲載決定!
 無駄がない秀句!でも個人的には、句またがりじゃなくて五七五にしたい気持ちもある。思い浮かばないけど←

夏井先生の添削なし

――――――――――
≪締めの一句≫
梅沢富美男 特別永世名人
◇花衣運転席のスニーカー
 →お見事!
 花衣とスニーカーとの取り合わせは中々に斬新。
 だけど運転席が光景の接着剤になって、読み手にちゃんと必要なだけの情報と、想像の余白が残ってる。
 十七音だから出来ないこと、十七音だから出来ること。その器を理解してるところが、さすが特別永世名人!

夏井先生の添削なし



◆きつネつき 今週の一句

 春月の海には酒の満ちたるか
           きつネつき

【解説】
季語 : 春月(しゅんげつ) 三春
 春の月のこと。春の空気は水分が多いため、月も潤んで見える。

 月面の黒く見える部分を、月の海という。実際はクレーターで、水があるわけではない。
 「月の海の部分に酒が満ちているから、春の月はあんな風に見えるのかもしれない」という、少し漢詩のようなファンタジー要素のある句にしてみた。その雰囲気をより醸し出すために、あえて「春月」と音読みした。訓読みにして
 「その海は酒満ちたるか春の月」
とすることも出来るが、春の月という表現ではどうも内容と似合わない気がしたのである。
 まあ結局、自分自身が酒を飲んで酔っぱらって、月がぼんやりと見えただけかもしれないが……。



 今週はここまで!次回もお楽しみに!
 最後までお読み頂き、ありがとうございましたm(_ _)m



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