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2024/2 バンコク旅行記 ep6:バンコクのいちばん長い日

前回までのあらすじ

夏に間に合うように 春先から取り掛かって 味に納得いくまで何度もやりなおして 本日 2月9日 うちの連載でもとうとうバンコクに着きました

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本編

不当に安いチップ

いよいよバンコクに足を踏み入れた筆者一行。荷物を預けようとホテルに行ったところ、運良く部屋の準備が済んでいた。部屋へ荷物を置く。

この際、チップ文化がよくわからず適当に案内してくれた人と荷物を運んでくれた人に20バーツを渡したのだが、どうもこういうホテルの相場は100パーツらしい。どんだけケチだと思われたんだろう。いや、ケチだけどさ。

このチップという制度はどうにかならないか。心付け的なものなので、あくまでもそのときの状況に応じて払うべき(あるいは払わない)ものであるはずだ。それに「相場」なんてものがあるのがおかしい。それを必死に調べる自分もおかしい。まったく馬鹿らしい。

クーラーの効いた屋内で英気を養い、まずはワット・ポーへ。地下鉄「MRT」の駅へ歩く、歩く。タワマンあり、セブンも日本に負けず劣らずのペースである。バンコクはセブンがかなり蔓延っており、ローソンが追っかけているようだ。ローソンもあった。

日本では半年味わっていない熱気。道路を大水圧のホースで豪快に洗い流し、その後を清掃隊が綺麗にしながら歩いていく。屋外をこのように洗うのは初めて見た。打ち水的な意味合いもあるのだろうか。

ワットポーへ

20分ほど歩き、スクンビット駅に到着。ここからサナームチャイ駅へと1本で行く。運良く座れた。路線の妙なのか、平日朝ではあるがそこまで混雑していない。観光客と思しき人ばかり。しばらく乗って降りる。1本だからわかりやすい。サナームチャイ駅の構内はなんかいい感じだった。建築や仏教知識がなく語彙力がひどいのはお許しください。

駅はこんな感じ

地上へ上がりワットポーへ。先ほどまでの都会な空気は一片もなく、一気に田舎に来た感じの空気だ。ところどころに前国王や現国王の肖像があり、当たり前だが文化の違いを感じる。

こんな感じの景色がずっと続く

ややわかりにくい入り口を見つけてワットポーに入る。入ると野良猫がいきなり目の前で糞をしてきて面食らった。まずまずの出だしだ。よくわからないまま建築を見て歩く。とにかく猫がいる。

排便中の猫
とにかく猫がいる

わからないなりにこういう観光施設でいつも思うのは、このような建築を遥か昔の人が、どのように素材を集めてどのように組み立てたのかということ。全く信じられない精巧さでありギラついたカラーリングである。

壮観ではある

ワットポーは敷地内にマッサージ場もある。めちゃくちゃ並んでいる。興味はあるが並ぶのは嫌だ。子どもたちが元気に駆けていく。仏教学校的なものも併設しているようで、授業を受けている子どもたちを外から眺めた。この子どもたちはめちゃくちゃに発展する自国と信仰のバランスを今後どうとっていくのか、という要らぬ心配などをする。

馬鹿でかい横たわっている大仏や、マッサージの歴史なども見る。うーん、わからん。わからんけど寺院の空気は味わったぞ。と自分に言い聞かせて退散。とにかくでかいものを見るとなんか満足感がある。飯を食らいにいざ。

川っぺりで昼飯

これまた歩いて20分ほど。サヴォイレストランなるところへ。京都の鴨川沿いのように川を見下ろすテラス席なのだが、ありえないほどに川が汚い。そして向かいっ側にはボコボコとビルを建設中だ。風情もへったくれもない。それがいい。

とにかく暑い。喉が渇く。ビールを、といいたいところだがタイはアルコールを提供する時間が決まっている。ジュースを飲んだ。それとパイナップルをくり抜いた中に入っているチャーハン、プーパッポンカレー、豚ネックの焼き。

プーパッポン

出色はプーパッポン。うまいと聞いてはいたが食感がモコモコとしたカレーで、カニの身もしっかり入っている。それでいて辛くないのでうれしい。蟹の殻がついているかどうかで値段が跳ね上がるので「映え」に興味がない人は殻なしを強く推奨する。

パイナップルチャーハン

プーパッポンは単体でもイケるし、チャーハンと一緒に食うといくらでも食える。チャーハンに乗っている謎のワタみたいな物質も美味い。鰹節みたいな見てくれで食べると甘みがあって旨みもある。これは「ムーヨン」といい、豚を乾燥させて繊維状にしたものらしい。日本のでんぶに近い。豚ネックはやや冷めだったのでまあ普通。

向こうの席には日本人3人グループがいる。バンコク旅行中は至る所で日本人が多くどこにいるのかわからないことが多かった。まあでもやっぱり安心するよね。日本語が聞こえると。

ワット・プラケオ&王宮

お次はワットプラケオと王宮へ。とにかく暑い。颯爽とかけてゆくトゥクトゥクが羨ましい。地理がわからんので歩いても歩いても近づいている実感がないのも辛い。やっとついてもチケット売り場で行列。チケット買っても入るまで行列。

ようやっとワットプラケオに入れた。ぐるりと外周に壁画が続いている。これまた何が何だかわからないが猿の顔をした猿人間と人間が抗争をしているっぽい。意味がわからなくても見ていて飽きない。日本の昔の絵みたいなタッチで、どこもこんなもんなのかと感じる。

バンコク猿軍団

ウーム、ここも結局意味がわからん。とりあえずすげえ建造物だなと眺めて歩く。敷地内には、巨大な建造物がいくつか。猿人が一生懸命に建造物を持ち上げているオブジェが印象に残った。欧米風のソロ旅行者に写真撮影も頼まれた。まずはスマホを縦にして撮り、ちょっと色々なパターンを撮ろうかとスマホを横にしたら「No!」みたいなことを言われてしょげた。全然関係ないけど、生まれて初めてバイトしたイタ飯チェーンで、スモークサーモンを通常の横並びではなく花のように盛りつけて出そうとしたら店長に怒られたことを思い出した。

というか暑すぎていち早く屋内に逃げ込みたい。そういう邪心がもたげて早く出たいと思う。そもそも筆者にこういう高尚な観光地は向いていないのかもしれない。王宮も外からサッと眺めて避暑地へと急ぐ。

こいつのフィギュアが欲しかったのにどこにも売っておらず

どげんかせんといかんマンゴー

避暑地に選ばれたのは綾鷹、ではなく「メイク・ミー・マンゴー」なる店。行列している。日本人ばかり並んでいる。ここは原宿か。しかもキッチンではマンゴーをミキサーに入れた後、がっつりとシロップみたいなのをハンドソープみたいなディスペンサーで数プッシュしていて嫌な予感がする。

15分ほど待っただろうか。おしゃれなデザイナーハウスのような吹き抜け階段を上がり、中3階みたいな席につく。注文したのは、マンゴーヨーグルトスムージーと、いろいろ入ったセット。スムージーは、うん、普通。セットも普通。マンゴーともち米を一緒に食らうマンゴーライスは、やっぱり筆者は受け付けない。一番うまいのはマンゴープリンという始末で、総じてウーンという感じ。雰囲気やスタッフの活気はよろしいが、いっくら店が汚くて店員がナメた態度でも味本位を貫く筆者的にはイマイチ。ハッキリ言ってどげんかせんといかんと感じた。

中央下のプリンが一番うまい

とはいえうだる暑さの中を歩いたあとのクーラーが効いた店内、冷たい飲み物で元気を回復。再びMRTサナームチャイ駅から、ワットマ○コ○駅へ。ヤワラート・チャイナタウンが見たかったのである。

しかしながら飛行機内の睡眠不足や暑さなどで先ほど養った体力は一瞬で消失。ゾンビのようにさまよった。「いかにも」な日本街って思いつかないのだが、チャイナタウンってどこも「いかにも」な感じに落ち着く不思議。そしてどこも妙にレトロ。本国中心部はハイテク化が進んでいると思うのだが、どこも一向に近代化する気配がないのはなぜだろうか。

腹も満たされているので屋台飯も食わず、覚えているのは春節を前にイベントの大掛かりな準備をしていること、それとワットマ○コ○駅に「地下鉄内ドリアン持ち込み禁止」の張り紙があったこと。禁止ということはかつてやらかした奴がいるのだろう。ああ、あとタイのセブンで初買いもの。といっても水だが。

かなり極限状態で持病の腰痛も激しく痛むが、まだまだバンコクのいちばん長い日は終わらない。夕食でお目当ての店があり、まだ腹も減っていないしホテルに帰ったら確実に真っ白な灰になるので、スクンビットへ戻ってぶらぶら。

かなりの郷愁を誘う

むげん堂より安い!

まず、Samadhaという店でタイパンツを見る。高円寺のむげん堂よりさすがに安い。寝巻とお土産用にいくつか買い込む。お次はエムスフィアとかいう商業施設。2023年12月にオープンしたようで、活気にあふれている。1Fはしゃれた現地スーパーといくつかテークアウト店。2階から上はレストランや雑貨店、車の展示やIKEAなどがある。

日本のチェーンもちらほらと

上層階を歩いていると、文字通り黄色い歓声が聞こえたのでなんだなんだと行ってみたら、化粧品店で多分タイのアイドル男みたいなのがポーズをとっていた。たぶんbecause of you i shineとかいうグループの一員。歩くだけで、ものすごい歓声を浴びている。タイにもアイドル文化があるのか、そして黄色い歓声というものは万国共通なのかと感動した。しかしなぜ「黄色」なのか。諸説あるらしいがここでは措く。いつまでたっても断続的に猛烈に黄色い歓声が聞こえてくるので面白かった。

待望のシンハー

さて、この日の夕飯はタリンプリンという現地のレストランチェーンを選んだ。この店の立地が絶妙に悪く、MRTと双璧をなすバンコクの鉄道「BTS」最寄駅からも歩いて10分ほどかかるので、腰痛を押して歩きに歩いた。バンコクには日本食の店も多い。寿司の食べ放題なんてのもあった。

磯丸水産のダミーを発見

30分ほどの行進を経て到着したのはsukhumvit34店。予約していなかったものの、運よく滑り込めた。どうやら結構な人気店らしい。そして例のごとく日本人が多い。明らかに駐在ファミリーみたいなのがいる。そして鼻につく会話をしている。

注文したのはマッサマン、トムヤムクン、パッタイ、焼き鳥。そして待望のビール・シンハー。精魂尽き果てた身に染み入るシンハー。何より軽い。手垢の付いた表現だが水のように飲める。調子に乗って1杯飲んだ後、ピッチャー入りで1リットルも頼んだ。

ピッチャー入りのビールなんて大学生のとき以来かも?

まず来たのはマッサマン。世界一うまい食べ物と評されたことがあるらしい。確かにうまいけど世界一か? 一緒についてきたナン的な物体が気に入った。「パラタ」というらしい。固めのナンという感じでカレーをディップするもよし、単体でもうまい。

パッタイもエビが大きくて文句なし。焼き鳥ももちろんうまい。焼き鳥に付け合わせとして出てきた、たぶん「ソムタム」という青パパイヤのサラダもうまかった。噛み締めるたびに鰹節のような風味が広がってモリモリくった。しかしアホみたいに辛い食べ物だったようだ。時間差で猛烈な辛さが襲ってきた。犬のように口を開けて呼吸してもビールを飲んでも全く消えない。これには参った。

トムヤム君と和解

辛いといえばトムヤムクンもまあまあ辛かった。筆者はトムヤムクンと因縁がある。数年前に何かの拍子でタイ料理店へ足を運び、トムヤムクンラーメンを注文した。辛いのは承知で頼んだのだが、食べているとなんだか鉄の味がする。丼ぶりが鉄製だったので「あれ、これ鉄が溶けてるんじゃないのか?」と思いつつも食べ残しだけは許されない。猛烈に辛く、そして鉄の味を感じながら何とか完食した。量はともかく味で食べ残しがチラついたのは、短い人生ながらこのときが最初で最後である。

トムヤム君と仲直り

調べてみると、どうやらパクチーというものが悪さしているらしい。それからというものの、辛く鉄の味がするタイ料理は敬遠してきた。しかし、当時から著しい老化を経て味覚が鈍ったのか、今般のトムヤムクンはうまかった。辛いが、うまかった。

疲れ果てた上にアホみたいに食べて飲んだので、歩いて帰る気はしない。タクシーで帰ることにした。もうぼったくられたくないので配車アプリのGrabを使った。旅行中、このGrabともうひとつのBoltを使ったが、後者は一度も車が捕まらなかった。

まあ結局配車手数料とかがあるのでちょい割高なのだが、アプリ上で決済もできて目的地も指定できる。その利便性から旅行中、Grabでタクシーに乗りまくった。

祝ってくれて……ありがとう!!!

無事にホテル前へ着き、部屋へ戻るとびっくり。結婚記念の旅行と妻が予約時に書いていたようで、ベッドの上が盛大にデコレーションされていた。祝いのケーキと手紙、ゾウのぬいぐるみまである。相場の5分の1というケチケチしたチップを渡したのにもかかわらずこんなことをしてもらって気が引ける。しかも腹いっぱいでケーキなんか食えない。それでも食った。

帰ってきたらこれ。びっくりした
造花じゃなく本当の花びら
この後おいしくいただきました(本当に)

飛んで歩いて食べて飲んで、1日目からだいぶハードではあったが無事に旅程を消化した我々は早々に寝た。たぶん、のび太とタメを張れる入眠速度だったろう。本日はここまで。今回も駄文をお読みいただき、ありがとうございました。

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