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明るい貧乏がした3つの事

貧乏と聞いてイメージするものがある
古臭いアパートに住んで、ヨレヨレに古びた服に、色味がなく寂しげなご飯、そして暗く疲れている雰囲気。

少し前まで私は、多分このイメージにあてはまるぐらいの貧乏だった。

ただ、違ったのは、明るい貧乏だった。
色々な理由が重なり、貧乏から抜け出せない数年があった。
ただ、誰も気づかないぐらい健全な生活だった。

貧乏だからといって子どもに不憫な思いはさせたくない。

ものすごく限りある資金源の中での、お金の使い方、物々交換の技、教育の仕方などをひたすら考えた。
きっとその時に考えて行動した全てが良い方向にいった

第一に考えたのが、自分と家族の健康。
食の質は必ず良いものにする。

そこで、縁があった有機農家さんで働いた。家にある野菜は全て有機野菜だった。従業員は野菜をもらえたのだ。
お金はないが、冷蔵庫にある野菜は有機野菜。家族の健康のために、考えて見つけた仕事先だった。そしてその仕事が物凄く好きだった。沢山ある仕事の中から、子どものために一番良い仕事を見つけて、仕事も好きで、身体も心も健康になっていった。

人が健康でいるためには、身体と心、両方の健康が大切だ。

そして、仕事はそこで得る知識や人間関係から沢山の有益な情報が集まる。ましてや、同じ価値観の人たちに囲まれた好きな仕事。

あらゆる情報が手に入った。情報社会とは本当だと実感した。オーガニック、無添加、全て値段が高いとイメージしていた。そんなことなかった。近所の人しか知らないおばあちゃんが育てる無農薬のいちご、おじちゃんが作っている無農薬オレンジやブルーベリー、庭の枇杷に梅、栗、近所の人で作っている無添加無農薬こんにゃく、抗生物質ゼロで放牧で餌にこだわり育ている豚の切り落とし、朝釣った新鮮な魚、手作りの味噌、醤油や豆板醤、柚子胡椒、ポン酢などの調味料、趣味で作っている無農薬無添加お菓子などなど、あげたらキリがないほど、素敵な食材に出会えた。

そして、その全てが、スーパーにある大量生産のものよりも安く手に入る。スーパーの特売のような値段で手に入るのだ。

かなり食費を切り詰めないといけない時でも、冷蔵庫に入っていたものは、無農薬無添加のものだらけだった。
そして何より自分で野菜を作れるようになった。子どもたちが大好きなきゅうりは毎日食べ放題できるほどできた。スーパーで3本で198円のきゅうりは、種代400円だけで、一夏ずっと食べ放題だ。

冷蔵庫の中が充実していたおかげで、かなり不安な生活がいくらか安心できた。

ただどうしてもお金がなく買えないものがあった。お菓子だ。お菓子は誰かから貰うまで、うちにはなかった。子どもはお菓子が大好きだ。食事の無添加にこだわってはいたが、友だちと食べるお菓子の楽しさなどは経験させたかったし、その経験を私のこだわりで奪いはしないと決めていた。そこで、仲良くなってきた近所のおばちゃんたちに密かに願いを託した。田舎のおばちゃんたちは、お菓子が大好きだ。そして子どもが好きだ。子どもに回覧板やゴミ捨てのお手伝いを積極にさせた。仕事場でもらう有機野菜野菜や疲れ切った時に貰う鱗と内臓付きの魚なども料理上手なおばちゃんのとこに持って行った。ご褒美にお菓子を沢山くれる。回覧板を持って行っただけで、ポッキーにジュース2個、飴などをゲット。ゴミ捨てを手伝ったらクッキーやチョコなどなど、週に2回何かすれば、子どもが1週間お菓子を食べる分は手に入る。

お手伝いの経験をさせながら、お菓子ももらえる。一石三鳥以上の収益だ。

その中で貰う、食べることがないカップラーメンやお酒は、物々交換の技を磨くきっかけになった。カップラーメンは、それが好きな友だちにあげる。お礼に、仕事でもらったけと使わないからとすみっコぐらしのファイルをもらう。関わる人の嗜好を知る事で、物々交換がお互い楽しくできる。お礼を期待してあげるわけではないが、嗜好や好きなものを分かってくれている人には、好意を持つ。その関係がストレスがない人間関係を築く。欲しい人のとこに自分がいらないものをあげる。そして必要なものを貰う。

そして、貴重なものが手に入りやすかった。貴重な民芸品なども仕事の関係で頂けたりした。それは、もう着ないから貰ってと、とても高価な服に代ったりした。着るものも素敵なものが増えた。

まさに、循環。

そして、頭を悩ませたのが教育だ。習い事などはとてもじゃないがさせてあげられない。貧乏と金持ちの間で一番差があるのが経験や体験の機会だというのは有名な話だ。その差が成長するに連れて自己肯定感や価値観、クリエイティビティ、想像力とあらゆる所に影響するという。
親が貧乏だからといって経験や体験が取られてしまう事は避けたかった。

せっかく田舎に住んでいるのだから、自然体験は、沢山できる場所を作りたかった。好きに出入り出来る山や畑が何個もある。全て土地の持ち主とのコミュニケーションを大事に、互いに助け合いながら支えあう関係を築いて、出入りできるようになった。4歳で竹藪にスコップを持って1人で入り、筍を取ってきた。自然の中で遊ぶ方法を沢山経験できている。

固定観念がない小さい時に他文化に触れさせたかった。それは、割と近くにあった米軍基地の近くのマクドナルドなどに行った。そこはキッズエリアがあって、アメリカ人の子どもたちがよく遊んでいた。100円のコーヒー一杯で3時間ほど、子どもはホンモノのリアルな英会話体験ができる。行ける時間を見つけて行った。子どもたちは、お互いの言語が分からなくても鬼ごっこや大人にはよく分からない子どものルールで楽しく遊ぶことができる。
あとは、近所のテーマパークの年パスをどんなに厳しい状況でも買っていた。そこは、世界中からプロのアーティストたちが生で音楽を演奏したり、歌ったり、演技したり、とにかくホンモノの表現が目の前で行われる。ミュージカルやコンサートなどを観に行くのは、どんなに安い席でも親子でいけば10000円はかかる。また、小さな子どもたちがずっと観ていられるとも限らない。自由に席を外せるテーマパークのホンモノの演目は、これ以上ない経験だと思った。
年パスで、子どもが学校が終わってから、夕方、習い事のように、週5回ほど行く時もあった。この割合で行くと一回にかかるお金は80円ぐらいだ。そこに行くガソリン代を計算しても、150円ほどだ。
手が届きそうなぐらい近い目の前で生の楽器の演奏を観る、リズムを取る、表現力を見る、どれをとっても素晴らしい経験だ。

ただ、この年パスな一括でしか買えなかった。分割ができないのだ。毎年更新時本当に苦しかった。

この年パスを買う事で、家族からは本当に生活が大変な時も一切支援をしてもらえなかった。そんなお金があるのに、なぜ支援をしなきゃいけないのかと断られた。

その時は必死すぎで、上手く言語化が出来なかったが、子どもたちからホンモノの経験や体験を取る事は何よりもしてはいけないと信じていた。そしてテーマパークだからいろんな国の人が来る。子どもは色々な文化にほんの少しかもしれないが触れるチャンスがある。小さな積み重ねをする事で世界が広がる信じている。

年パスのお金を捻出するために、自分にかかる食費に関してはギリギリまで切り詰めた。絶食だ。16時間絶食が流行っていた。朝と昼を食べなくした。
空腹がもたらす健康を知って、喜んで食費を節約した。
一夏で8キロ痩せた。

周りからは、テーマパークに良く行き、ダイエットに成功し、好きな仕事をしている母ちゃんに見られていた。

どれもこれもお金がないという状況の中で、いかに子どもを健全に育てていくかを考え抜いた行動だった。

今でも決して裕福ではない。でも、多分、日常生活に余裕がある家族に見られていると思う。
あの時は、必死で余裕はなかったが、貧乏の経験を経て今ではなんとかなるという余裕ができ、大変な時を乗り越えかなり貫禄がついたようだ。

もう貧乏は経験したくないが、経験してよかったと思う。子どもには、貧乏で不憫な思いをさせないと意地になったおかげで、ある意味いかにホンモノを身近に触れさせる体験ができるかを考え行動できたからだ。
このおかげで、私自身が一番ホンモノに囲まれる生活ができた。人によってホンモノの基準は違うかもしれないが、今身近にあるホンモノはどれも私たち家族の生活を豊かにしてくれて、心地が良い。


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