見出し画像

面白いゲームとは何か。ゲーム作り論。ゲーム作りの参考になれば。

はじめに

対話要素をメインにしたゲームという話で、ゲームの面白さとは何か論を再び考えたので、ゲームの面白さを構築する要素について1から考えて語ります。ゲーム制作の参考にでもなれば。



そもそも面白い(心地よい、快)という感情とは

ゲームの面白さはそもそも人間の面白い、心地よい、快楽という感情の上にあるので、大前提の人間の面白さから触れる。


頭の面白さ(知的好奇心、初体験、獲得報酬、自己肯定、自己実現)

何か知りたい、興味があることを知りたい、知れた。初めてのことを知る高揚。賢くなれた。成長した喜び。すごくなった自分すごい。自分の工夫で手に入れることができた。自分だから手に入った。自分の手で手に入れた。という黒太字()内の感情が入り混じった頭で感じる面白さ。ゲーム的に言えば、キャラやゲームを通じての自分の成長、戦略や戦術を考える。戦略を試してその成果を得る。相手と競う。勝つ。過去の自分の記録を超す等。


体の面白さ (5感が感じる心地よさ。リラックス、悦楽快楽)

音楽や絵画を鑑賞した時の気持ち、食事、エロ、キレのあるダンス、朝の布団でのゴロゴロ。人間の言語化しがたい五感そのものを刺激する面白さで心地よさ、快楽。美意識、開放感、感で語られるような心地よさ。ゲーム的に言えば、雰囲気に合った盛り上げる音楽効果音やビジュアル。スピード感あるリズム。


心の面白さ(同一化、感情移入、共感、カタルシス、相互理解)

感情の面白さ。心で感じる面白さ。物語に夢中になったり(同一化・感情移入)、アイドルを応援したり、自分の心を理解できる誰かと語り合ったり。心、知性、感情の充足。物語論によく通じる部分。




面白いの3本柱

1、複雑性を制御する戦略、知的遊戯(将棋等)

2.著しい身体操作能力、技術(eゲーム、スポーツ)

3、音楽、絵画等、美の追求探求

4、共感、感情移入、同一化、応援。

5、ゆらぎ


頭と体と心の面白さは混ざり合うものの、世の中で面白い!はまる!夢中になる!というケースはそう多くはならない。本質的には、3つのパターンにまとまる。1つ目は、道を究めんとする探求心と道を進む達成感、向上心。2つ目は、同一化、感情移入等の物語論的な感情を揺さぶられる力。そして、3つ目の最後はゆらぎである。頭を使うわけでもない、体を使うわけでもない、でもパチンコに人ははまる。ギャンブルに人ははまる。人は結果がわかることにははまらない。どうなるかわからないからハラハラし、結果に一喜一憂し、集中して今を楽しむのである。ん、こう書くと・・・、失敗しないように着々とする仕事が楽しくないのも当たり前かもしれない。仕事を究めようという心があるか、究める余地がある仕事かどうかが仕事を面白くする秘訣かもしれない。




ゲームにおける面白さの構成要素

ゲームに話を戻して、作り上げる側の視点でゲームの面白さによく関わる構成要素を整理する。


・戦略性

・技術性

・運、乱数、確認できないパラメータ、ランダム性、

・プレイ時間

・逆転可能性、難易度。

・即時性

・攻守概念、攻守優位、攻守の一体度密接度、公平平等

・ゆらぎ


以上の通り。まず頭で戦略戦術を考える。そして、それを技術で実行する。チェスやらのように考えたところに駒を置くことは100%実現できるものもあれば、テニスのラリーのように完璧にはコントロールできないものもある。次は運。マリオカートのアイテムのように、運や乱数、結果をばらつかせ、要素を足すのか。あとは人間の集中や時間資源が限られているので、ある程度短い1試合のプレイ時間が望ましい。そして、人は勝てる見込みがないとあきらめてしまうので、逆転の可能性勝てる見込みを残す方が望ましい。難易度ともいえる。後は人は自分の行動の結果をすぐ知りたいので、タイムリーに反応する即時性も重要(アナログには若干難しい)。公平性ともいうが攻守のどちらかやある戦法だけが特別にすぐれていないか。1つの行動で攻撃と守備が一体である方が、判断が複雑化して望ましい。最後はゆらぎ。これは詳細を後述する。



こんなゲームが作りたい、こんな基礎案ができたとなったら、それをブラッシュアップしていくチェックリストとして、上記の構成要素を使ってもいいし、以下の面白さからみたゲーム項目を利用してほしい。

1、ゲームによる成長、ゲーム内キャラ等の成長、難易度変化度の度合 

2、新しい試みや経験をゲームで与えられるか。気づきがあるか。

3、ゲーム成功による報酬系(エロ、お金、名誉他)、なくてもいい。

4、ゲームでの競争、対決、勝利敗北の内容

5、美麗なイラストや音楽、視覚的聴覚的な美

6、物語性

7、ゲーム内外コミュニティ性 ゲーム対話、ゲームについての対話

8、ゆらがせかた




ゆらぎの詳細、大別

結果がばらつくことで、人は何度もしたくなる。楽しむとこれまで書いてきた。ではゲームにおけるゆらぎ、ゆらがせ方とはどういうものか書く。大別すれば以下の6通り。

1、初見、記憶力によるもの
昔のファミコンゲームでは、このパターンが多かったように思う。高橋名人の冒険島や、魔界村などなど、覚えゲーといえるような、ステージギミックや敵の出現位置などを覚える事で、失敗する結果(バラツキ)を乗り越えていく。俗に初見殺しというものも含む。ただ、この手法では、覚えているかいないかで失敗・成功にバラつき、それを乗り越えるには、とにかく経験をつむ(死にまくる)しかない。これでは、ワンパターンからくるあき、やり直しを要求するストレスによって、すぐにプレイ意欲はなくなる。


2、乱数によるもの (プレイヤー関係なしの乱数、運)
ゲーム空間は、敵の行動や、フィールド、自分の能力など、様々な要因で構成されるわけだが、それらの動きをランダム(複数パターンもたせるように)にしたり、条件などで変化させたりする。一般的にゲームでバラツキとなるとこの手法だろう。


3、ブラックボックス(隠匿、あるいは説明不足やノーヒント)によるもの
ゲームの変数や因果関係、ルールが不明瞭なことによるもの。例えば、当たり判定がよくわからないだったり、SLGにおいて、ある行動による効果が隠されている場合など。SLGで意図的に隠す場合もあれば、単純に作者のゲーム設定の甘さや説明不足によるものもあるだろう。


4、対人によるもの(相手プレイヤーとの駆け引き)
対戦ゲーム全般に言えるが、相手プレイヤーがいることで選択肢の読みあいや駆け引きが生まれ、ゲームの過程や結果にバラツキが生まれる。ある戦法だけが優れていれば、すぐに結果は収束するので飽きる。


5、人間の知覚(入力)限界によるもの
画面内のものの動きや速度などに、反応できるかどうか。6の出力とも関わるが、テトリスでいう落下スピードの増大、音ゲー系(ドラムマニアやらポップン)、シューテングゲーム系などがそれ。技術による向上が見込めるところなのか、慣れれば上達できる範囲なのか重要だが、限界に挑戦し、上達していく事で、上向きに結果がバラツク。


6、人間の操作(出力)限界によるもの
音ゲー系(ダンスダンスレボリューションや太鼓の達人)や、FPSの照準など、コマンドの入力速度や反射神経、正確性など、5の入力と同様に、慣れれば上達できる範囲なのかが重要だが、限界に挑戦し、上達していく事で、上向きに結果がバラツク。




一番シンプルなゆらぎは、4だろう。相手がいて双方が戦略や技術を注げるゲームならばそれで結果がばらつく。ゲームを作る側で一番シンプルなのは、1だろう。新障害物の1つでも製作すればそれで成功失敗でばらつく。一方で、5や6は非常に調整が難しいと思う。なぜなら、それはトレーニングや訓練、筋トレ、脳トレ以外のなにものでもないからである。簡単に上達するものでもない、やっている間は辛かったりさえする。一応、音ゲーは、トレーニング中も体を動かせる、リズムに乗れると気持ちいい等の高揚感が得られるので、トレーニング自体を面白くさせることで成立している珍しい部類だろう。5,6でやるならゲームという名のトレーニングタイムをどう面白くするのかストレスフリーにするのかが重要だろう。





最後に

基礎案ができた後のブラッシュアップの目線で見てもらえれば、なにか気づきがありそうな記事にはなったかと思います。では、冒頭で触れた対話要素のあるゲームについて最後に少し。ゲームとゲーミふぃけーしょんについて。ゲームにおける対話とは3次元あり、1次元、ゲームのプレイスタイル、立ち回り、技術というようなその人なりの人生スキルが、相手と相互作用をもたらす部分。そういうやり方あるんだという部分。2次元、ゲームそのものや戦術等について語りあう共通の興味関心部分、同じ趣味の人との交流部分。3次元、ゲーム内での選択(ADV)や、対話要素で個々人の価値観人生観をさらけ出し、相互理解をはかる部分。


対話を狙ってまで、ゲームという形でゲームの枠組みでやる必要があるのか。3次元目はワークショップと変わらなくなるようなということで、結局冒頭の問いには答えられませんでした。というか書いていて、アナログとデジタルの違いとその限界性とか、ゆらぎとアナログとか。カードゲームだけがブームになる理由とか、今回の基礎理論をベースに色々展開したくなりましたが、長くなってきたのでこの辺で。また機会があれば。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?