しやぼん
直線がいつ爛れたか夜の梅
春炬燵の仲で手櫛がとほらない
啓蟄の肘うす昏く脱衣かな
夜の先を隘路と告げて春の雨
ジェラートの溶けぬ小窓を鳥帰る
三月のあくびが曲がる船着場
アレッポのしやぼんで春の耳を洗ふ
微笑みは苺ミルクか鮮血か
おぼろづき父の父の名を知らない
石の冷え握る三月十一日
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先月(2021年2月)にTwitterを始めた。
せっかくなので(?)、一日一句をツイートすることにした。
初めはnoteに掲載した句に写真を添えてツイートしていたが、だんだん日々作った俳句を載せるようになった。
以前作った句をツイートすればいいや、と思っていたけれど、やってみるとTwitterの即時性というかスピード感は即吟の感覚に近く、旧作を思い起こしてツイートするのはそぐわないような気がした。
私自身が、自分の詠んだ句をあまり覚えていないこともあるが。
そんなわけで、最近Twitterに上げた句の中から十句まとめた。
アレッポの石鹸は、まだあまり減らずに残っている。
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