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「頑張らなくていい」を教えてくれた『虎に翼』

朝ドラ『虎に翼』が終わってしまう。これまでの朝ドラもなるべくリアルタイムで追っていたけれど、いよいよ本気でロスになりそうな予感がしているのが通称とらつば。伊藤沙莉ちゃん演じる主人公・寅子ちゃんが良すぎる。彼女の周囲をとりまく人たちもみんな、一癖ある人ない人たちが入り混じっていて、良い人たちで最高。

私がとくに救われて、これからも大事にお守りみたいに持っていたいと思った寅子のセリフがある。大学生にまで成長して、寄生虫の研究をしていた寅子の娘・優未が、将来のことを考えて途中で研究の道を諦め、大学院を辞めたい、と寅子たちに相談したシーンでのセリフ。

まず、優未の相談を聞いて、父であり寅子の夫である航一は猛反対。それに対し、まず寅子は「優未の道を閉ざそうとしないで」「どの道を、どの地獄を進むか諦めるかは優未の自由です」と言う。

すでに最高なんですが、この寅子の攻撃に対し航一は「じゃあ、寅子さんはこの9年近くの時間を無駄にしろとおっしゃるんですか?」と反撃。「寅子さんは現実を見ていない。甘すぎる。この年齢で何者でもない彼女に社会は優しくない」と。これはこれで、航一の気持ちもわかる。成人してなんの資格も実績もない"女性”に、社会が優しくないのは、当時も現代も一緒だと思いますので。

でも寅子は負けじとこう返す。「手にするものがなければ、これまで熱中して学んできたことは無駄になるの?」「私は、努力した末に何も手に入らなかったとしても、立派に生きている人たちを知っています」

これ!!!!

寅子は女性初の弁護士・裁判官になった人だし、途中で法律の道を諦めたり、決して褒められた妻や母ではない描写もたくさんある人物だけど、ちゃんと過ちから学んで自分の足で(ときには人の足も借りて)立ち上がってきた人。

そんな寅子に言われても、立派なあなたとは違うし〜〜って卑屈な自分が出てきそうにもなるけど、でもそれ以上に、かけてきた時間や労力が実を結ばなかったとしても、生きていていい、と太鼓判を押してもらえたような気がして、私はとっても心と肩が軽くなったのでした。

通常モードでも常に「頑張らないと」「努力しないと」となぜか思っている。私は、人生で。そしてそれはきっと、多くの人たちにとってもそうだと思う。努力しなければ認められない。努力してこそようやくスタートラインに立てる。頑張らない人間は怠惰で、価値がないとみなされる。

だからといって、明日から何も仕事をせず、頑張らずにダラダラ生きていくことができるか? って言われたら、そんな自信はないんだけど。でも、得られるものがなくても、立派な人間にならなくても、理想や目標が達成できなかったとしても、私は私だし、ちゃんと生きています、と胸を張れるかも、と少しだけ思えるようになった。

『虎に翼』本当に良いので、これからでも視聴することをお勧めします。子役時代がないから第一話から展開が早くて見やすいのも推しポイント。

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