海のうたを鑑賞します
シャコは東京湾や伊勢湾、瀬戸内海などが産地で、北海道では石狩湾のみに生息する。 シャコといえば小樽だ。駅のそばの三角市場では名物としてよく並んでいるし、年末に帰ったときはスーパーでそれなりに安価に売られていた。 こどものときは、市場で買ったのか父が職場でもらってきたのか、何度か食卓にのぼっていた。味は覚えていない。 「シャコ」はエビに似ているがエビよりも遥かに虫っぽい。平べったくて茶色くて、脚のかたちも不気味だ。シャコは天気の悪い日に巣穴から出てきて、濁った海底でエサを獲るら
28日に小樽へ行った。母と食事をするため。 海岸線ぎりぎりを走るJRに比べて、バスは海からずっと離れた高台の高速道路を走る。いつもは進行方向に向かって右側の席に座り、海をゆっくり眺めるのだけれど、車内は小樽へ向かう観光客でほぼ満席。左側の席から首を伸ばして海を盗み見る。 冬晴れの空を映して、小樽の海は深く落ち着いた青色だった。 海を空がくるんでいるなんて考えたことはなかった。 「くるむ」という動詞でまず思い浮かぶのは、赤ちゃんのおくるみ。やわらかい、あたたかい、大事なものを
国道5号線を小樽から余市方面へ。蘭島の手前で曲り、長い坂をくだっていくと小さな漁港に辿り着く。忍路漁港だ。忍路は「オショロ」と読む。 切り立った崖に囲まれた小さな入り江に、漁船が静かに停泊している。 港内の海は深い青と緑のグラデーション。 わたしと車を運転してくれた友人のほかには、漁船をせっせと掃除している年輩の漁師がひとり。 夏の終わりを蟬がしきりに鳴いている。 忍路漁港はクロワッサン型というよりは小さなコッペパンを縦にしたようなかたち。フランスのマルセイユなんかはクロワ
ちょっと地図で愛媛県の「佐田岬」を見てみてほしい。 四国の西側からE.Tの指のように伸びている佐田岬。指の付け根のあたりに三崎港というところがあり、大分県大分市までフェリーが出ているのだが、その船が通るのが「豊予(ほうよ)海峡」……ここを古くから「速吸の瀬戸」と呼ぶのだそうだ。 いつだったか、松山を旅行中のわたしに「速吸の瀬戸」をわたって麻生さんが会いに来てくれたことがあった。 あのとき麻生さんにいただいたのはかぼすだったか、それとも「ざびえる」だったかしら……。シュークリ