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体力と元気の帰りが遅い。

ぐったりしている。

今日はあまり元気の出ない日だ。朝起きてから、なんとなく気だるかった。いくらか仕事を終わらせてからゲームをしても長く集中できない。ミスはするし、結果負ける。30分もしないうちに、ゲームの電源を落とした。

家にずっといるせいか、あまり運動もしないので、日に日に体力が落ちているような気もする。リングフィットアドベンチャーでもやろうかと思ってはいるのだが、すぐそばにあるのに全く手が伸びない。

一応、仕事をしてみると手は動く。ただ、きちんと全部できているか自信がない。「なにかあったら、ご連絡ください」と、ダメ出しを待つようなコメントを付けてメールを送る。

いかん、今日は本当にダメな日だ。そんな気持ちでツイッターを見ていると、モンスターハンターでムフェトジーヴァが復活しているらしいと知った。未だに装備をきちんと作れていなかったので、この機会に一式揃えたい。しかし、このモンスターは一人で倒すのは流石に無謀だ。一応、できる人はいるらしいのだが、プレイ動画を拝見したところもはやどうやって操作しているのかわからない挙動でモンスターを殺戮していた。

なかなかそういうことは無理なので、やはり友達に手伝ってもらう他ない。真っ昼間で多分仕事をしている時間だが「夜、遊ぼう」というメッセージを送った。

その後も、ゲームをつけては消し、スマホを開いてはTwitterを流し見する時間が流れる。そして夕方になると、またぐったりとしてしまう。そして、少し横になるとテレビの音とか、色々なものが気になった。目を瞑る。寝ているところと起きているところの間を行き来するような状態で一時間ほど過ごした。

「夜は、無理かもしれん。すまん」

昼間にウキウキで連絡していたのに、夜にはこの有様だ。何度か眠っても、やはり浅い睡眠が続いた。心も体もきちんと回復しないまま、好きなこともできなくなっていくのが辛い。



信頼とは、約束し、それを守ることで生まれる。それは、何も人とのやりとりだけではなくて、自分との信頼もそうして作られるそうだ。私は「夜にゲームをする」と約束したのに、それを守れそうにない。

もう好きなことが少しもできないと思ったら、ここからゆっくり自分が崩れてしまいそうな気がした。少しだけ、5分でも、10分でも、ゲームをしておきたい。

体を起こす。やはり気だるい。寝起き、というだけではない疲労感だ。友人たちは、先に始めているらしい。私は自室の椅子に座り、プレイステーションの電源を入れた。

「寝たんじゃなかったの?」と、友人が言う。

「少しだけな。日をまたぐ前には寝るよ」

話していると段々元気になってきて、結局1時を回る頃までモンスターを倒していた。

「流石にもう寝るわ」

「おやすみ」

それぞれまた、明日仕事がある。私も通話を切った。

楽しかった。

まだ、このゲームは楽しめる。

ふぅ、と息を吐くとズン、と体が重くなった。心の体のエネルギーが削れているとき、心を先に立て直そうとすると体がヘタってしまう。しかし、仕事もこなさなくてはいけない。明日は、まだ朝から仕事だ。

自分との約束は、まだ残っている。

「ご飯、食べないとだめだよ」

恋人が心配そうに見に来た。

「でも、お腹空いてない」

よっこらしょ、と立ち上がって寝室へ向かう。すると途中で恋人が私をリビングに座らせた。

「お味噌汁のおじやを作るから、食べて」

そう言ってすぐに、お粥くらいの柔らかさのお米が味噌汁ベースのスープに浸した料理を作った。私はそれを少しずつ食べる。

そして布団に潜って、目を閉じた。横になっているのに、目が冴えてしまう。

パッと気がつくと、5時になっていた。まだ、起きるには早い時間だ。次に気がつくと6時。頭が痛い。立ち上がって、体温を計る。平熱だ。しかし、だるい。

普段と調子が違うときは、とりあえず上司へ連絡を入れる。

「体調が良くないです。熱はないのです出社を目指します」

あと2時間は眠れる。翌日は休みだし、なんとかなるだろう。しかし、頭痛は段々とひどくなり、結局その日、上司が私のヘルプに入ることになった。私は布団に横になり、また、3時間ごとに目を覚ましては、体が楽になっていくのを感じた。


友達とゲームをする、会社にも行く。どちらもこなしたかったのに、ゲームしかできなかった。そして今はまた、好きなことにも手が伸びない。心と、体をうまく休めなかったことは、どうして深めの傷になってからわかるのだろう。


私は、友達との時間が、大切で、仕事も、大切で、今週は全然、うまく休めないまま、一週間を過ごしてしまった。回復がうまく行かないと、こうして、エネルギーが尽きてしまう。そして、どちらか片方にすがると、もう片方がこぼれ落ちる。


そしてまた、ぐったりしている。一つうまく行かないと、なんにもうまく行かないような気分だ。上司に手間をかけてしまって申し訳ない。そして、約束を守れなかったことが不甲斐ない。

「こんな日もありますよ」

と、上司は言う。


しかし、今日もまたあまり元気が出ない日だ。ゲームをつけて、まだ消す。動画を見て、まだ消す。そして眠って、まだ起きて、体は少しずつ起き上がってきたけれど、今度は気持ちがズンと沈む。


そしてまた、ぐったりしている。今日も、元気が出ない日だ。

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