スマホの中身が溢れそう

起きる。

スマホで音楽のアプリを開き、鳴らす。すると不思議とスマホを見なくなり体が動く。ポケットの中にスマホを入れて、懐から聞こえる音楽を口ずさみながら出かける準備をする。

これが現在、一番効率の良い目覚め方である。スマホの充電は必須だし、間違えてXやGoogleを開いたら即終了だ。かなり綱渡りな起き方ではあるが、今週はこれで成功している。

昔は自分で歌っていた。朝起きたら一曲歌うのだ。そして、歌いながら準備をする。その中でもバンプ・オブ・チキンのハンマーソングと痛みの塔やHAPPYが好きでよく歌っていた。

その当時の曲は時を経てスマホに移行し、現在でも私を鼓舞しつづけている。

すごすぎる。何年前の曲だ。それが未だに私に響く。当時の自分を思い出すのか、それとも自分の中にある不変的な核となる部分を歌っているのか。わからないがとにかく、朝は音楽を聞く。ボーカロイドも聴くし、両親が持っていたCDから当時ウォークマンに入れていた曲も全部スマホに入っている。

そのスマホなのだが、現在空き容量が257MBしかない。中身まで中学当時のUSBメモリくらいの容量になってしまった。SDカードの容量を大きくして買い足すとか、するべきなのだがサボっている。このご時世、クラウドサービスなどもあるのだが先日、Googleドライブから100GB、iCloudから50GB、Microsoft OneDriveから100GBとクラウドストレージ多重債務者になってしまったため、一旦iCloudに絞って容量を整理した。その結果として、500GBもいらないけど、スマホから漏れ出しそうなリソースが発生しつつあり、表面張力でなんとか耐えているのが今の私のスマホである。

SDカードにせよ、クラウドストレージにせよ発生するのはデータの移行でありそれを思うと面倒くさいと感じてしまう。今はAndroidのスマホを使っているのだがAndroidって結局どのクラウドストレージが良いのか分からない。i phoneならiCloud一択である。しかし、Androidともなると、とりあえずGoogleドライブにしてみるのは良いものの、パソコンとの連携を考えたらOneDriveのほうが良いんじゃないかと思い、2つ試してみようと思って2つ試したら、両方に同じ写真がひたすらアップロードされ続けスマホ側に残った写真を削除して良いのか残したほうが良いのかわからなくなった。消そうとすると「削除すると本体からも削除されます」と表示される。

何のためのクラウドストレージなんだ、本体と連携するにしても本体のデータを消したらクラウドのデータも消えるんじゃあ結局、スマホにデータは残り続ける。ひとまずデータ全部ぶっこんどけ倉庫にはならない。

なので、一テラバイトのSSDを買った。もうヤケクソである。どのみち、クラウドストレージを解約するにあたって、一旦アップロードしたデータたちを保管しておく場所が必要だったというのもあるが「結局物理的に保管しとくのが楽でいいよね」という身も蓋も無い結論に至った。

クラウドストレージを全然使わない問題はこうして一時的に解決されたが、この令和の世の中データが毎日送信されてくる。さらに、一回ダウンロードしたPDFがどこかに行ってしまい、スマホの中を探すのもめんどくさいので元サイトから再ダウンロードすることも多い。なので、私のスマホには仮面ライダーの変身ベルトに関する説明書が2,3個同じ内容のものが保存されている。

例えばバンダイの変身ベルトであれば説明書のファイル名もベルトから追加アイテムまで「manual」で統一されている。なので「manual（1）」「manual（2）」などが追加されていき更に、探しているのと全く関係ない説明書などにも「manual」の文言が含まれたりして、検索をかけても結構奥の方まで探さないといけなくなったり、シューッとスクロールして「無いな」と思ったら、またサイトからダウンロードする。

しかし流石に容量を圧迫するので、スマホの中身を確認してみる。

一番スマホの容量を食っていたのは、ダウンロードしたアプリだった。PDFでも、写真でも、音楽でもなく、LINEとかfacebookとかInstagram……は、やってないが、いわゆるそういったアプリ軍がスマホを圧迫していたのである。

じゃあSDカードに移すか、と思いスマホからSDカードを取り出して見る。

16GBと書いてあった。

目が飛び出るかと思った。

16！？　今や32GBや64GBでは少ないと言われ、メジャーどころは126GBくらいで、更に必要な人は256GBとか512GBとか1TBなど、ストレージのインフレが加速する昨今、16GB！？

何が保存できるっていうんだ。記憶にある限り半分以上はウォークマンから移行してきた音楽だ。すると残りは8GBほどになる。

15年前のスペックじゃねぇか。

Windows Vistaの時代である。

なお、調べたところ私のスマホではアプリをSDカードに移動できないそうだ。そのスマホの全体の容量も64GBと表示されていた。

終わりだ。

さっき、「64GBじゃ少ない」と言ったそばからこれである。

もう買い替えだ。アプリケーションの必要とする容量にスマホが追いついていない。

しかし、すぐに買い替えようと思わないのは、本当に容量を食うアプリ、いわゆるソシャゲの類は全てiPadとパソコンでやっているからだ。ソシャゲは新しい要素があるたびに大きいデータをダウンロードさせてくる。iPadやパソコンはそれに耐えうるスペックをしているため、ゲーム機としては全く困っていない。

なので、完全に時代に取り残されたスマホもまだ使えると言えば使えるのだ。

新しく買い替えたら「うわっ、アプリ起動早っ」と思うのだろう。毎回買い替えるたびに思っている。

私のスマホは本体料金の支払いを三年に設定しているので、まだもう少しの間、それを理由に買い替えることはなさそうだ。

アプリの起動が遅く、充電も半日くらいでなくなるスマホは朝、充電器に刺されている。

そして、私は目が覚めてから、アプリを開いて音楽を鳴らす。

体をのっそりと起こして、音のなるスマホを充電器から引き抜いてポケットに入れ、時には音楽に合わせて踊りながら、出かける支度をする。

取り敢えず今日は体が動きそうだ。

いざ、お仕事へ。