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ニップレスはいいぞ

仁藤りささんのグラビア写真集が出たので買った。

最近は電子書籍にも対応した写真が多い。というのも、これまで本は見開きで読むことを前提としていたため横向きやiPadであれば自然と見られる構成がスマホでは1ページ、2ページと分断されてしまう。その点、この「仁藤りさえちえちLOOKBOOK ちょっぴり過激な彼女と過ごす 寒い冬のえちえち計画♡」では基本的に縦1枚に収まっているので見やすい。ところでこのタイトル、どうにも私の知っている言葉が多く若干オタク向けに思える。少し前にオタク界隈の人々が「えちえちな本」とか「えっちBOOKS」という呼び方でR18の本を呼んでおりまだ「同人誌」と呼んでいた頃の恥じらいを脱ぎ捨てて開き直っている様が散見される。故に「えちえちLOOKBOOK」と言われても、なんの疑問もなく受け入れている自分もいるためなんとも不思議な気分である。

さて、そのエッチBOOKSを読んでいると妻が来た。そして、私の見ている画面を凝視してから私をちらっと見てクスクスと笑い始めた。

「これは、どういう気持ちで見てるの?」

「え? いいなぁ、って感じよ」

「だって、この服、どうなの」

私の今見ている服はティンカーベルが着ていそうなシースルーのワンピースにハートのシールで胸を隠している服だった。

「これに興奮するわけ? 大変だよ、この服」

「いや、聞いてくださいよ。確かに、道端でこんな人いたらそりゃ大変よ? でもさ、例えば仮面ライダーのスーツとかだって、普段着ないじゃん。でも、めっちゃかっこいいわけ。そういう感じ」

「あー、なるほどね。この胸のやつは? 痒くならないの?」

「こちらはニップレスと申しまして、グラビアの撮影の時は皆さん着用されるとされています。今回は、隠すだけではなくて見栄えの良いものです。見せる用ですね。最近は時々見かけます。肌が痒くなるかについてはやはり個人差があるかと思います」

「……これ、興奮するの?」

「するね」

しかし、よくよく思い返してみれば仮面ライダーだって頭からオレンジをかぶったりベルトが歌いだしたりするのだ。第一話では「いや、これは流石に……」と思うこともあるが、一年後には慣れている。慣れとは恐ろしいものだ。

「そういうもん」と、思わされてしまえば本来疑問を挟む余地のあるところは全て無視して「エロい!」とか「かっけぇ!」と、外見を完全に無視してシチュエーションに飲み込まれる。実際、ほぼ隠せていないランジェリーで胸にシールが張ってある状態の女性とは「写真」という距離があいているから成立するのであって、身近な誰かにそういう格好をしてほしいわけではない。

ただ、私がたまに仮面ライダーモチーフの腕時計が欲しくなるように、また、妻が「この刀剣男士のアイシャドー知りたい」と熱心に研究するのと同じように、肌の都合などとはまた別の趣味としてニップレスを貼っている人がいるのかも知れないが、別に見たいわけではないのだ。そんなの「え? ライダー見てんの? 変身ポーズしてよ」と言われるようなものである。趣味は趣味だが人に見せるものではない。

もちろん、変身動画を出している人やでっかいおっぱいを武器にピアノを引きまくる動画を出しているお姉さんもいるので、こうしたものに関しては「見せたい人に、見せたい場所で、見せる」というのが最適解になるであろう。

グラビア写真集はグラビア写真集に乗せるための場所、人、設備が揃った上でここで見せるから良いのである。衣装は思惑通りに感情を引き出し、日々ボディメンテナンスをしているであろう体や、ポージングの引き出しはプロを感じさせる。

また、この写真を撮影している黒澤奨平さんとはとても趣味が合う。写真の衣装はもちろんだが、ふと見せるクシャッと笑う笑顔の写真が1枚はある。キメ顔も好きだが、そうしたふと緊張感の抜けた写真を見るとなんだか安心するのだ。

そういうわけで「これは仮面ライダーみたいなものだからね」と妻には伝えている。しかしその一方「ベルト欲しいなぁ」という話もしている。いずれ「間を取って自分用のニップレスでも買うか」という明後日の思考に行く可能性さえある。

一言断りを入れておくと、肌から乳首が透けないようにという理由の他に、運動時に衣擦れする方が着用されることがある。薄手の服を着る方や、運動の衣擦れにお困りの方はぜひ一度調べてみていただきたい。ハートのニップレスよりも、肌色で目立たないもののほうがよく目に入るだろう。

ただ、肌荒れにだけはご注意を。

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