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私と妻と刀剣乱舞

私の話より私の妻の話のほうがウケる。

由々しき事態だ。

スキの数。コメントされる率。話題にされる率。おすすめされる率。全部、全部妻のことを書いたエッセイが自分の話のエッセイより人気である。複雑な気分だ。

なにせ私は妻とのエピソードが溢れている。いつかは「妻とのエピソードばかり書いて、妻がコンテンツになってしまったらどうしよう」などと憂いていた。しかし、今や「なってしまえ」と思う。私にしてきたことをそのままインターネット上に書き連ねるという好意に対してスルーを決め込んでくれる人はそういない。


さて、近ごろの妻だが、私が深夜までゲームをしているとほぼ必ず私の部屋にやってくる。そっと扉を開け、そっと近づいてきてから、そっと私のソファに座る。そっとやれば何をしてもいいと思っているのかもしれない。そっと近づいてきて、そっと顔を寄せてくることもある。

そして寝室へ行くと、激しめに顔を寄せてくる。

グリグリグリ。グイグイグイ。

肩にアゴを乗せると丁度いいらしく、そのあたりにくっついてくる。

「寝かしつけてくれぇー」

要望の多い妻である。しかも、私が近くに寄っていくとスゥスゥと寝息を立てて寝た。私は音を小さくしながら麻雀に勤しむ。

妻は私のすることにあまり興味がないように見えてよく見ている。麻雀などやったことがないはずなのに、何戦か取り組んでいると私の画面をちらりと見て「……負けてるね」と言う。実際、点数では負けているし勝てることも少ない。

勝てば勝つほど周囲のレベルも上がっていくのだ。妻はゲームのルールを理解するのは苦手だが、優劣や今の状況を感覚で掴む能力には長けている。しかも、厄介なことにたまに数字をきちんと覚えているのだ。

「今、4局目だから、それで最後にしな」

実際、4局目というのは例外を除いて最後である。しかし、その辺のルールを覚えキリのいいタイミングを見計らって「ご飯食べねぃ!」と言う。このあたりは、本当に私についてよく理解している。一体何がそこまで妻を動かすのかは分からないが、妻はとても良く私を理解しているのだ。そして、許容範囲がとても広い。

これはおそらく互いに言えることだが、相手について許せるとか気にしないとか、あー、またなんかやってるな、と思う程度で自分の時間へと戻れる機会は結構ある。

先日も妻が「聞いてほしい」と言ってやってきたかと思うと、グッズの受注販売に出遅れたとこのとだった。私はふんふん、と聞いてからゲームへと戻る。妻はその後、何度も「〇〇くんに相談していれば……『買っちゃいなよ』と背中を押してくれただろうに……」と憂いていた。どうにも、ミュージカル刀剣乱舞のペンライトらしい。

今我が家には5本のペンライトがある。妻の影響を受けて、Blu-rayのライブを何度も再生してはペンライトを振った。我が家には刀剣乱舞のBlu-rayがいくつもある。DVDもある。見比べてみると画質の違いに驚いたものだ。

また、妻が懺悔するように「実はその奥にある、舞台刀剣乱舞は買ったんだけど見てない」との告白を受けた。私は特に気にしていないが、ミュージカルやライブビューイングを見るとだんだん見たくなってきた。

ミュージカルでの盛り上げるポイントを徐々に掴んできた分、それを封じられたと言っても過言ではない状態で劇としてどのように作り上げたのかが気になる。

買ったもののまだ手を付けていないものがある、という点に関しては私も本がほとんどそういう状態なのでそれに関しては「そういうこともあるよね」と思っている。そういう相性の良さが我々にある。

先程寝かしつけを所望していた妻は、今はぐっすり眠っている。私も眠りに誘われて、時期に眠るだろう。

明日は舞台を二人で見たい。そんな思惑を抱えつつ、今日はひとまずまぶたを閉じる。

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