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ある意識の苦悩ー1

さて、どうなるか分かりませんが、ちょっと思うところを創作して見ます。

神の誕生

あるところに、ある存在がいた。その者には形もなく何もない。ただ意識だけがあった。

その意識は、周りを見渡した。ただ自分があるだけ。何をして良いのか、何をしたいのか良く分からず。ただただ日々を過ごしていた。

ある時ふと、何かを作ってみたいと思った。

そしてあたりを見渡すと、自分と同じような意識に出合った。

まずはその意識に相談した。

「ねぇ。何か面白い事は無いかなぁ。自分たちだけではつまらないよね。」

「そうねぇ。つまらないわね。」と返答が帰って来た。

「じゃぁ。一緒に何かを作らないか」

と持ちかけると、

「賛成。」と返事が帰って来た。

そして、その二つの意識は、何を作るか考えながらあたりを見渡した。

すると、今まで何もないと思っていたところに、人魚と白蛇が見えて来た。

それらを見ると共に同じような顔をしている。

肌は両方とも鱗は無くてすべすべしている。

そこで二つの意識は、この顔をした、この肌をしたものを作ろうと思いついた。

そしてこの人魚と白蛇に相談をした。

始めは嫌だと断られた。しかし、どうかそれが出来た時には、その者の数の年数が経ったならば、神様として拝むようにさせるからと言ったところ、引き受けてくれたのだった。

そして、作るについて何が必要だろうかと考えた。

そしてあたりを見渡すと、亀と鯱が目に付いた。

亀を見ていると、じっとしている。突いてもなかなか転ばない。肌を見るととても丈夫である。これは切っても切れない、つなぐ力を持っていた。

そして鯱は、とても勢いが良い。そしてすぐに腹を立てるほど突っ張る。どれだけでもへこたれない突っ張る力を持っていたのである。

そしてこの二つに、これから作りたいものがあるけど、手伝ってくれないだろうか。と相談をした。

ところがその二つは、そんなのは嫌だと断った。

そこで二つの意識は、分かったこれから作る者の数の年数が経ったら、神様として拝ませるから、どうか手伝って欲しいと頼んだ。

それを聞いた亀と鯱はそれならばと承知をした。

そこで、二つの意識はその亀と鯱を食べて、自分にそのつなぐ力・突っ張る力を得た。

さらに、何かないかと見渡すと、カレイとフグを見つけた。

カレイは薄っぺらくて、風を起こす力を持っていた。

そしてフグは鋭い歯と毒を持ち、切る力を持っていた。

この者たちにも、先の亀と鯱と同じように承知をしてもらい、二つの意識は食べて風を起こす力と切る力を得た。

さらに見わたすと、黒蛇と鰻が眼に入った。

黒蛇は、どれだけでも引っ張る力を持っていた。鰻はぬるぬるとつかみどころがなく何物にもとらわれない自由な力を持っていた。

そして、この者たちにも亀・鯱・カレイ・フグと同様に承知をしてもらい、二つの意識は食べて、引っ張る力と自由な力を得た。

そしてその二つの意識が自分たちを見た時、はじめの意識は水の力を持ち、大竜の姿をしていた。そしてもう一つの意識は火の力を持ち、12の頭を持つ大蛇の姿をしていたのであった。

この大龍と大蛇は、それぞれに、水の力と火の力に加えて、つなぐ・突っ張る・風を起こす・切る・引っ張る・自由に動ける力を得たのであった。

この力を得た龍と大蛇は、さらにどうしようかと考えた。

すると、沢山のドジョウが見えた。とても沢山ある。

呼ぶと真っすぐに寄ってくる。とても素直である。

よし、この性格をこれから作る者の中心・魂にしようと決めて、それらをすべて食べた。

これで、二つの大龍と大蛇の中には魂が作られた。

これで作りたい者のイメージとその中に入れる魂が出来た。

ではどのように作ろうかと考えた時、最初に引き寄せた「魚と白蛇」にそれぞれが入って、二つの良い所をかけ合わせることを思いついた。

そこで、白蛇には亀のつなぐ力を、魚には鯱の突っ張る力を与えて、魚から白蛇へ魂を入れることにして、魚には龍が、白蛇には大蛇が入り込んだ。

魚と白蛇は、つなぐ力と突っ張る力、風の力と切る力、引っ張る力と自由に動く力を得て、特に魚には突っ張る力を強くして男の役割。白蛇にはつなぐ力を強くして女の役割となった。

それまで無かった力を得た魚と白蛇の行動は、今の地球上の哺乳類が行う生殖行動そのもので、白蛇の中に魚の精子としてドジョウの魂が注ぎ込まれたのであった。

魚から注ぎ込まれた精子は、白蛇の中の細胞と結びつき、白蛇の腹の中で育った。

その数は9億9万9千9百9十9であった。

「続く」

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