ある意識の苦悩ー3
前回は、白蛇のおなかの中で、人魚の身体を掛け合わせた人間を作り上げて、生み降ろし、食物を与えて大きく育てることを3回行ったのであった。
人間の進化と命あふれる世界の誕生
3回目に生み降ろし、育てられた人間は、99年経って両掌ぐらいの大きさにまで成長した。
白蛇はこれだけ大きく成れば、ドンドンと大きくなっていくだろうと思って、死んだ。
残された人間たちは、頼りにしていた白蛇がいなくなったので、悲しくなってすべて死んでしまった。
この姿を見ていた大龍・大蛇は、3回目に作った人間がそのまま育つと思ったのに、生んだ親である白蛇を慕って死んでしまった姿を見て悩んだ。 そして考えた。
そして、人間を作る時に決めた事を思い出した。
それは、心に自由を与えた事だった。 人間が自由に楽しく暮らす様子を見て共に楽しみたいと思って作った事だった。
ところが、自由の心を与えられた人間は、自分の意思で親を亡くした事を悲しみ、同じように死んでしまったのだった。
そこで、自分たちが人間を作ったように、男女を作り、子供を作る事をさせようと考えた。
そして、水・火・つなぐ・切る・突っ張る・引き出す・風・自由にめぐる力を使い、最初はつなぐ力に守られた虫を作った。
そこへ人間の魂を宿しこみ、虫として生活をさせることにした。
虫として子供を生み、虫としてものを食べて成長した。
ある程度大きくなった時、突っ張る力をどこかに使えないかと考えて、突っ張る力による固いからに守られた虫を作った。
そしてそこへ人間の魂を宿しこみ、新たな虫としての生活をさせた。
そしてある程度大きくなった人間を見た時、次の経験をさせることを思い立ち、鳥の姿に生まれさせて生活をさせた。
鳥の姿に生まれた人間も、子供を生み、鳥としてものを食べて成長した。
さらにある程度大きくなって、次には動物に生まれ変わらせた。 そして 同じように子供を産み、大きくなっていった。
この間、この人間が楽しく成長する世界を見て、羨ましく思うものたちがあり、その者たちは大龍と大蛇に頼んで、人間の後の虫や鳥や動物に生まれてさせてもらった。
これによって、始めは9億9万9千9百9十9人だけの世界が、ドンドンと命あふれる世界が誕生したのであった。
「つづく」