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猟銃に関わる判例と教訓のまとめ 令和編

法律の専門家でもなんでもないのだが、猟銃に関わる判例を調べてみた。

猟銃の所持は厳しく法で規制されており、何か問題があればすぐに所持許可が取り消されてしまう。事件・判例からどんな教訓を得ることができるだろう。

調べる方法は以下の裁判所のオフィシャルサイトの判例検索を用いた。


では時系列で見ていこう。



令和4年 東京地裁 所持許可更新不許可の取消しを求めた裁判


概要:箱罠で捕獲したイノシシを他の場所に運び放獣し、猟犬の訓練をした男性、他の猟友会の会員とトラブルになるなどして、遵法精神の低さや粗暴な性格を猟友会から指摘され、所持許可の更新ができなかった。

この更新不許可の取消しを訴えた裁判

判決:放獣行為も一定の配慮がなされていてそこまで危険ではなく、トラブルも原告男性だけに原因があったわけではない、遵法精神は低そうだけど、粗暴な言動は一部の意見にとどまった。
以上から原告の男性が今後他人の生命等に対する危害を発生させる可能性があるとは言えないとして、処分の取消しを下した

教訓:猟友会とトラブルを起こすと後々やばい。危ないことはするもんじゃないし、自己中心的な行為はやめた方がよい。



令和3年 札幌地裁 所持許可取消しの取消しを求めた裁判



概要:これはニュースにもなった有名な裁判で、砂川でのヒグマ駆除に従事した男性が警察官や市の職員の前で発砲して無事駆除が終わったにも関わらず、その後所持許可の取消しという処分が下されたという謎なやつ。

判決:大筋は上記のニュースの通りだが、書かれていないこともある。

判決文ではDという原告と同じ駆除の隊員が出てくる。このDが駆除のあとに原告男性の撃った弾が跳弾して自身の銃床が破損したと文句をつけ金銭を要求したことからこの奇怪な事件は始まっている。

 Dはこの駆除でヒグマの止め刺しをしているのにも関わらず、駆除が終わったあとに銃床が壊れていることに気付いたらしい(すでにおかしい)。原告男性が支払いに応じないとこれを警察署に訴えた。警察は送検したが不起訴に終わる。だが北海道公安委員会が動き所持許可を取り消した。

 判決文ではDの証言を検証していて「疑問を差し挟むべき不自然な点が多々みられるもの」としている。

教訓:公安委員会もやばいが、このDというやつもやばい。
やばいやつと一緒に行動してはいけないのだ
これは想像だが、Dは原告男性に対して日頃から妬みや何か良くない感情を持っていたのだろう。駆除の後で銃床を損傷してしまって、それを腹いせに原告男性の所為にしたのではないか。それが飛び火してこんな事件になったのだろう(繰り返すがすべて想像である)。


令和元年 東京高裁 「鳥獣の捕獲若しくは駆除」の定義について



概要:千葉で駆除中に住宅の敷地内で猿に向けて発報したつもりが、老人の頭に散弾が当たり死亡させてしまう。
この死亡事件については業務上過失致死で起訴されたのだが、他に火薬類取締法や鳥獣保護管理法違反についても問われた。


判決文:原告の主張は、火薬類取締法における火薬類の無許可消費違反の除外事由の1つとされている「鳥獣の捕獲若しくは駆除」とは、鳥獣保護管理法の定める適法な鳥獣の捕獲若しくは駆除ではなく,あくまで事実行為とし ての鳥獣の捕獲若しくは駆除を指すものと解釈すべきであり、一審における同法違反の罪の成立は間違いとする。
判決は一審と同様、火薬類取締法や銃刀法における「鳥獣の捕獲若しくは駆除」とは適法でなければならないという。

教訓:猟銃と装弾は法によって厳格に制限されているし、各法は想像以上に連関している。それを忘れてはいけない。



以上で令和編は終わり。
次の平成編は少し長そう。

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