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小数点以下の感情(0.999…)甲


ひらひらと赤い鱗を揺らす金魚はショーガール。

北極星を光の点だなんて言う君の心はプラスチック。

夕日を瞬間冷凍してバッグの中に入れて持ち歩く。

窓から明かりが漏れているだけなのにその先にある幸福を描いてしまう。

真冬でもたっぷりと水分を含んだ猫草は室内飼い。

知らない人に愛おしさを抱くことは罪悪感を伴う。

いつかすべてを赦すために過去を語っている。

ウールの毛布に包まりながら貪る惰眠ほど尊いものはない。

街を抜けるたびに雨が傷跡のように伸びている。

常識にとらわれてはいけないという人から真面目にしなさいと言われた。

ギャンブルはしないのに会計額が777円になると血が沸点をさす。

冬が家出して春を間近に感じる瞬間は細く長い。

ザァーっと音を鳴らすのは雨ではなくて地面だと知る。

本棚から溢れる言葉を窓ガラスへ息を吹きかけて貼り付ける。

マグカップの底に溜まった濃度の高い孤独な水溜りに反射するわたし。

黄色い花弁が透明な雨に汚されていく。

空気がずっと震えているから暖かさを縫い付けた。

句点の先にあるものに希望を見出す。

雨が降る瞬間よりも上がる瞬間が死に近い。

花の旬は花弁が枯れて種を地面に撒き散らす瞬間。

キラキラと光る脳細胞の波長は13Hz。

暗闇を呑み込んでお腹が膨れる。


そんな、小数点以下の感情に埋れながら生きている、わたし。







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