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友人の「あの件」を心配してたら杞憂でヅカオタ沼にずぶずぶしていた
先に結論産業
1. 汝、劇場で宝塚を見よ。あれを見ないで死ぬのはあまりにもったいない。
2. けちけちせずに最初は高い席を取れ、S席にしろ。
3. もつべきものはその道のガチオタの友達。
じゃあこっからはいつものたぬきで。
好きです、顔のいい女
聡明なる読者諸兄等は『人間顔が九割』という言葉を聞いたことがあるだろうか?
事実人間は顔だ。顔がよければよい。よければよいほどよい。私の母もこう言っている。
「学生の頃に顔のいい人ばかり選んで友達になったから年を取っても幸せだわ」
そういうわけで私は顔のきれいな女性がめちゃくちゃ好きなのだが、あまりに公言しすぎてついに魔の手が伸びてきた。またしてもわんこだ。
わんこ「じゃあたぬき宝塚好きでしょ」
たぬき「実は天海祐希好きなの」
わ「お、いけるな?」
た「やだ絶対ハマっちゃうから怖い」
わ「鑑賞会するぞ」
た「ふええ」
そういうわけで数度のAmazon Prime Video宝塚鑑賞会を経て、こう思うまでに至った。
「生でみてぇ」
しかし今までマンガアニメゲームASMRで顔と声のいい女のケツばっかり追いかけてた私にはややハードルが高い。あーどこかにFPSでキャリーしてくれるつよつよプレイヤー的な存在がいねーかなー(他力本願寺)
あ、おったわ!
高校の同級生Oさん現る
数年前のことである。幼なじみから「元カレからよりを戻さないかと言われた、どうしよう?」なんていう相談を持ちかけられたとき、同席していた高校の同級生Oさん(全く本名に関係ない、ただ私が好きなアルファベットを当てた)がこんな話をしていた。
「恥ずかしいからあまり人に言ってないんだけど、実は宝塚好きなの」
マンガアニメゲームASMRで女のケツばっかり追いかけている私よりうんと健全な趣味だ。しかしながらOさんは高校時代よりスポーツに打ち込んでいた清く正しい非オタの民、初めてドハマリするものができて困惑しているのだろう。ふふ、ういやつめ。
どれだけ宝塚が好きなのかわからないけど、今でも好きなのなら何かアドバイスがもらえるかもしれない。そんな軽い気持ちでLINEを送ってみた。
結果、すげー勢いで布教が始まった。まさにこの状態。
藪をつついて蛇を出してしまった気がした。覚悟が足りなかった。しかし、おかげで生で見れる最短ルートを踏んだ。
Oさんは私が尻込みする前にチケットを取る算段をつけはじめた。すごい、チケットを取るためのやり方が嵐のコンサートのチケットを絶対とろうとする人のそれだ。これは信頼できる。
そういうわけで私もえいやと乗りかかった船に飛び乗り、最初はいいとこで見てぇの精神でめちゃくちゃなオーダーをしてみた。
「高い席でみたい!」
そして、Oさんはそれをご用意してくれたのだった。いやすげーわ……
疑惑
私からOさんに対するイメージは高潔な人だ。彼女は高校生の頃失恋をこじらせて死んでいた私に
「好きな人が幸せならそれでいいって思えない?」
と至極真っ当なことを言ってのけた経歴がある。とてつもなく美しい心の持ち主だ。
しかし数年前に「浮気」「不倫」といった言葉に過剰に反応していた時期があった。当時は聞いたらあかんやろなと触れずにいたのだが、数年経つと気がかりになる。
未だにその件で傷ついてはいないだろうか? 私は寄り添えるときに寄り添わなかったのではないだろうか?
もしそこで不義理を働いていたにも関わらずチケットの用意から一緒に観劇に行ってくれるところまで世話してもらっていたら申し訳ない、とうじうじしながらちょっと眠れない観劇前夜を過ごした。
結果バチクソ早起きをした。
観劇のお作法
なにごとにもお作法というものは大切だ。特に女性ファンの多いジャンルでお作法を破るとクソ長スクショ4枚ツイートで晒されるのが世の常。女性を敵に回してはならない。
じゃけんマナーを覚えていきましょうねというわけで、観劇中は以下のことに要注意。
・基本的な映画を見るときと同じ振る舞い(しゃべらない、携帯電源落とせ、など)
・座っている椅子から前屈みにならない
・飲食しない
どうも前屈みになってしまうと後ろの人が見えなくなるらしい。だから背もたれに身を預ける必要があったんですね。
飲食に関しては、飴の包み紙を開ける音すら雑音になるレベルの静寂だったためガチでやめた方がいい。のど飴が欲しい者は始まる前に口に放り込んでおけ(0敗)
ちなみに、当然だけど今はコロナ対策で休憩時間中の会話と飲食もなるべく控えるのがベストだ。
いざ鎌倉と夢の世界
今回の演目は前半が演劇の「桜乱記」、後半がショーの「Dream Chaser」という二部構成。桜乱記は時代劇ということもあっておそらくシリアスだろう。
場所は東京宝塚劇場。もう入口がなんかすごかった、映画に出てくる高級ホテルの入口ってこうだったよねみたいな入口だ。中は異世界なのかもしれない。ちゃんと観劇用に服を買っておいてよかった。今日の私は完璧よ。
中に入れば祝福されたふかふか赤絨毯に自動演奏ピアノと螺旋階段。ここはもうチケットを持っていないと入れない選ばれし者の空間。Oさんがいてよかった、一人だったらちびってる。
Oさんの計らいのおかげで前の方の席をいただけたのだが、すげー近い、こんな前でいいのかってくらい近い。やはり高い席は正義。みんなけちるな、最初はいい思いをしろ。ついでにOさんはオペラグラスも貸してくれた。至れり尽くせりだ。
前の方の席だったらいらなくね? と思わないわけでもないが、実際かなり役に立ったのであるに越したことはないと思った。出演者の顔が見えるのは強いぞ。
演目の詳しい内容は割愛する。気になる人は円盤を買え。桜乱記はめちゃくちゃ泣いたしDream Chaserは無限に見れるぞ。
観劇して感激した感想
激うまギャグ。
まず、これからの内容は好意的な意味にとってもらいたい。人によっては悪い意味に思われるかもしれないけど私はいい意味で使っているつもりなんだ。
「実に規格化されていて徹底的に計算されている」
宝塚の歴史は深い。その歴史で積み重ねてきた「どうしたら美しく見えるか」を全力で見せられているのでどの角度から見ても美しい。
当然出演者も規格化されている。正直顔の違いが初見ではわからない。アイドルの個性で売っていく形態とは真逆の、演劇中においては徹底的に個性を排しているように見える。その上で、個性を構築している。
例えるなら建造物だ。地面を均して基礎をつくりその上に建てていく。固定資産税のかかりそうなくらいの技術と精神だ。ここまでくるのに眠れない夜も何度もあっただろうと想像に易い。おびただしいまでの努力と教育の積み重ねだ。
製品として完璧に仕上げられたものを見ているので当然満足できる。当たり前のように感動させてくれる。指先の動き一つとっても、長時間の演劇、ダンスを続けていれば一つ二つおざなりになってしまう動きがあってもおかしくないのに全くない。それをさも当然のように全員がやる。当たり前なんだろうけど当たり前にそれをやるのがすごい。
と、いうあたまでっかちなことは今さっき考えたことで、実際は
「うわみんなかおがいい」
「あ、めっちゃきれい」
「うたうっま」
「かおがいい」
「まえのみちまででてくんのやばいあがる」
「かおがいい」
「かおがいい」
を延々と脳内で繰り返してました。観劇中の私のIQは2よ。
難しく考える余裕なんてなかった。ただただすごいので見に行け、行くしかない。
次回と解決
かくして私の初観劇は終わった。終わったあとは感想を同行者とするもの。Oさんはビギナーな私のガバガバな認識も全部ひろって話を聞いてくれたし、名ありの役をしていた出演者が以前どの演目に出ていたとかいう話をスマホで調べもせずにすらすら口にしていた。歩くWikipediaか?
おまけにご贔屓(宝塚界における推しのこと)の出ているDVDを貸してくれた、二つも。おいおいおいアフターケアもばっちりか?
これは、あれだな、沼に至る道を整備してくれているやつだ、熟練のオタクがするやつだ。あの「恥ずかしいから」とか言っていたOさんはここまで来ていた。立派なガチオタである。
ごらんになって、あの沼から出ている手首を。近づいたら足首掴まれるぞ。
わかっているんだけど、いかんせんかおがよかったし、そもそも演劇好きだし、舞台とか見るの面白かったし、劇場内の異世界感もよかったし、も、もういっかいくらい、見ても、いい、かな?
Oさん「次シティハンター行こうね!」
たぬき「いく!!!!!!!!!!」
ま、まあ腰くらいまでなら大丈夫やろ!!
そういえば、例の疑惑について確認しておかないといけない。でないと安心して寝れない。
「あのさ、Oさん以前さ、浮気とか不倫とかそういう言葉に過剰に反応してた時期があったけど、もう大丈夫になった?」
「それ私じゃないよ? なにもないない、確かにちょっと元彼のこと引きずってたけど、その時期かな? なにもないよ。誰かと間違えてるんじゃない?」
「よかったああああああああああああああ……枕を高い高いして寝れる……」
なんだ、たぬきの記憶力はガバガバだな。ガハハ
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