LUMIX DC-S5をRAWのみで撮ると拡大再生時の画面がもやっとする件
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仕事の都合上、画質モードはほとんどRAW+JPEGにしているのだが、そのせいでちょっとした落とし穴の存在に気づかずにいた。
まあ、たいした問題ではないし、回避するのも簡単なこともあって騒ぎ立てるつもりは毛頭ない。
ワタシが気づいたのはパナソニックDC-S5だけの話であって、ほかのパナソニック機がどうなのかははっきりとしない。
が、ほかのメーカーのカメラでも似たような問題は隠れているかもしれないし、中には落とし穴にハマっていることに気づいていないままの人もいるかもしれない。
とも考えたので記事にしておくことにした次第である。
RAWのみの画像を拡大表示すると盛大にもやっとするのだ
さっきも書いたが、ほとんどの撮影は画質モードをRAW+JPEGで行なっている。
レビュー系の仕事はいわゆる撮って出しのJPEGを見せるのが基本だし、あれこれいじって仕上げたいとき用にRAWも残したい。
テスト的に動きものを撮るようなときにはJPEGのみにすることもあるが、RAWのみというのはまずない。
そのせいでずっと気づかなかったのだけれども、あるとき、なにを思いついたんだかDC-S5でRAWのみにして撮ったのを再生して拡大したところで「あれ?」と思った。
シャッターを切る前にちゃんとピントが合っているのを拡大表示でたしかめたはずなのに、
なんだかピントを合わせそこねたみたいにもやっとしている。
しかも、拡大倍率はいつもなら16倍まで上げられるはずが、なぜか8倍までになっている。
JPEGのみで撮ったものは8倍拡大でもちゃんとくっきりしているし、後ダイヤルを回せば16倍まで拡大できる。
なんだよこれは、と思って使用説明書を見てみると、
「[写真画質]を[RAW]で撮影した写真は16倍で拡大表示できません」
と書いてある。
そういう注意書きがない機種もあるが、現行機種の半分以上は8倍までしか拡大できない旨の記述があった。
とは言え、ピントがねらいどおりの位置に合っているかどうか、微妙にブレたりしていないかどうか、そういうのをチェックしたい、目で見てたしかめて安心したいから拡大しているのに、モニターに表示される画面はもやっとしている。
撮る前にも確認したんだからピントはOKなはずだし、三脚に載せて電子シャッターを使っているんだからブレの可能性はかなり低い、というのが頭にはある。
けれども、目で見てたしかめるまでは不安は残るし、そういう状態で置き去りにされるのはかなわないと思う。
埋め込みプレビュー画像の画素数が少ないのが原因か?
RAWのみで撮ったのを拡大再生すると画面がもやっとしてしまうのは、たぶんだけれど、RAW画像に埋め込まれているプレビュー画像の解像度が低いのが理由ではないかとにらんでいる。
ご存知のとおり、RAW画像はなにがしかの画像処理をしてからでないと表示できない。
それだと不便なので、撮影時の設定で現像したJPEG画像を「プレビュー」として埋め込んでいる。
再生するたびにRAW画像をいちいち現像して表示するのは時間がかかるしバッテリーも食う。
ので、その代わりにプレビュー画像を表示するようにして時短と省エネをやっているわけだ。
ただし、メーカーにもよるのだが、埋め込みプレビュー画像のサイズがいわゆるフル画素のものと、小さめなものとがある。
手もとにあるいろいろなカメラのRAW画像の埋め込みプレビュー画像のサイズを調べてみたところ、キヤノン、シグマ、ソニーα1とα7S III、ニコン、ペンタックスはフル画素だった。
一方、プレビュー画像が小さめサイズなのがこちら。
オリンパス 3200×1600ピクセル
ソニー 1616×1080ピクセル(α1、α7S III以外)
パナソニック 1920×1440ピクセル(m4/3)
パナソニック 1920×1280ピクセル(Sシリーズ)
フジフイルム 4416×2944ピクセル(2600万画素機)
フジフイルム 1920×1280ピクセル(2400万画素機)
現行の全機種をチェックできているのではないので、漏れているものもあるかもしれないが、そこはご了承いただきたい。
パナソニックはマイクロフォーサーズとフルサイズでアスペクト比が違う関係で埋め込みプレビュー画像も2種類ある。
DC-S5のモニターのスペックは画像と同じ3:2比率の184万ドット。3ドットで1ピクセルなので、画素数としては61万画素。そこから計算すると、たぶん960×640ピクセルぐらいになるはずだ。
この画面に1920×1280ピクセルの埋め込みプレビュー画像を表示すると、画像全体が表示される状態で50%縮小、2倍に拡大してピクセル等倍になる。
4倍拡大なら200%で、これぐらいならちょっとアマく感じるぐらい。まだそこそこ見られるんじゃないかと思う。
が、8倍拡大となると400%。画像の1ピクセルがモニターの4×4ピクセルになっちゃうわけで、かなり粗さが目立つことになるはずだ。
とまあこんなふうに、プレビュー画像の画素数が少ないものだから、8倍に拡大するともやっとなってしまう。つまりはそういうことなのだろうと思う。
RAW+JPEGにして撮れば問題は解消する
この問題を解決する方法は、単純にJPEGも記録すること。
ようするにRAW+JPEGで撮ればいいんである。
いらないJPEG画像を記録するのはメモリーカード容量の無駄遣いにはなるが、今どきは大容量のカードもかなりお安くなっている。多少の無駄より効率のよさを優先したほうが利口というものだ。
容量を節約したいならJPEGの画質を低いものにしておけばいいし、用が済んだら消す、と割り切るのがいいと思う。
パソコンに取り込むときにJPEGがくっついてくるのがうざいという向きには、デュアルスロットの振り分け記録機能を使うのがおすすめ。
振り分け記録は、2枚のカードのそれぞれに保存する画像の種類を選べるもの。RAWはスロット1、JPEGはスロット2というふうに分別して記録できる。
再生するのをJPEG画像が保存されているスロットに設定しておけば、拡大時の解像度不足問題は回避できるし、パソコンにはRAW画像が保存されているカードだけ取り込めば余計なJPEG画像にわずらわされることもない。
ただし、動画などのあつかいがちょっと面倒なことになる。
DC-S5の場合は動画や4K/6Kフォトの保存先を個別に選べるようになっているが、これらをスロット1のカードに指定すると再生時にスロットを切り換えないといけなくなるし、スロット2のカードに指定すればJPEGもくっついてくることになる。
考えるだけで面倒くさい。
ので、そういう場合はあきらめてシングルスロットと同じ対応をする。
ようは、パソコンに取り込んでからJPEGだけ捨てちゃいましょう、である。
カードの側でファイルサイズ順に並べて大きいほうからだーっと選択してコピーという手もあるが、見落としが出ないともかぎらないので、いったんは丸々コピーしてしまうのが確実だ。
で、拡張子の「.JPG」で検索。JPEG画像だけに絞り込んだ状態で全選択してゴミ箱にポイッとすれば間違いがない。
多少手間はかかるが、再生時の拡大表示での見え具合、ピントやブレがきちんとチェックできる安心感が手に入ることのほうがはるかに大きいと思う。
まとめ
ちなみに、DC-S5のJPEG画像は6000×4000ピクセル。なので、184万ドットのモニターなら6.25倍拡大でピクセル等倍表示になる。
8倍拡大だと少し拡大しすぎなぐらいなので解像感としては悪くないはずだし、ピントやブレのチェックには十分使えるだろう。
むしろ、16倍拡大だと256%表示になる。実際、細かい部分を見ると逆にアマく感じられたりもするので、8倍拡大のほうがチェック用には適していると思う。
とまあ、そういうようなこともあれこれ調べて計算してみて初めてわかったわけで、ワタシ的には発見だった。
おもしろいのはソニー機で、手もとにあるのがα6300なので現行機種でどうなのかははっきりとは言えないが、RAWのみの画像を拡大再生してみたところ、最大倍率まで拡大しても少しアマく見えるぐらいだった。
埋め込みプレビュー画像のサイズは1616×1080ピクセルしかないので、それを拡大しているとは考えにくい。が、JPEGのと見比べると違いが見える。というのも合わせて考えると、どうやら簡易的に現像しているのだろう。
あとはフジフイルムの2400万画素機(埋め込みプレビュー画像サイズ:1920×1280ピクセル)がどうなのかは気になるところだが、現行機種はすべて2600万画素機(同4416×2944ピクセル)に置き換わっているので、もしかしたらチェックする機会はもうないかもしれない。
オマケの話はさておき、もしパナソニック機をRAWのみで使っている人がおられたら、再生時の拡大表示のためにRAW+JPEGに移行することをおすすめする。というのが今回の結論だ。
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