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「道産子太郎と花子のジジババ放談」

「一億総白痴化現象」

太郎:さてー、2回目の「ジジババ放談」ですけどもね、なんか今年が始ま  
   ってすぐに能登で地震が起こってしまってねー、もう大変な始まり方
   だったよねー。
花子:いやー、もうホントにねー、被災地の方たちにはなんて言っていいか
   わからないですけど……、お見舞い申し上げます。としか言えなく  
   て、何にもしてあげられないものねー。
太郎:北陸地方もしっかり雪降るところだからねー。国全体としてさ、何と
   か手を尽くして欲しいよね。
花子:そだよねー。なんか他人事に聞こえるかもしれないけど、そんなこと
   しか言えないものね。
太郎:やっぱね、いろんな報道見てると感じるのはさ、政府としてもっと 
   ね、早く厚く対策取るって言ってあげられないかなって。「最善の努
   力をします」って言ってる間にすぐ動けないもんかねー。
花子:あのね、場所が場所だけにね、半島だしさ、道が寸断されてるみたい
   でしょ。それで海からとか空からでないと行けないとこもたくさんあ
   るらしいですよー。そう簡単にはいかないんでしょうよ
太郎:そうだと思うけどよ、なんかその理由自体がさ、言い訳に聞こえてし
   まってならないんだよね。
花子:いやいや、そんなことないんじゃないの。だってねー、中継見てた
   ら、ひどい状態だもの。
太郎:うんそれも良くわかるけどさ、なんつったってよ、リーダーたちが
   さ、国会議員の人たちね、例の「裏金疑惑」でさ、そっちのことばっ   
   かりで動こうとしてないんじゃねえのかな!そう思わないかってこと
   よ。個人で現地に行ってなんかしようって人のことは批判ばっかして 
   るけどね、自分たちは何なの? ってことよ。
花子:そうね。そのことも新年早々気になってしょうがないことのひとつだ
   よね!

太郎:もう一つ気になることがあるんだよね。
花子:そうね、あんたは何でも文句言いたい人だからね。黙ってると腹膨れ
   て「王様の耳」状態になってしまうらしいから、まあ聞いてあげる
   よ。どうぞ。

太郎:ニュースだとか情報を伝える手段のことを「メディア」っていうけど
   ね、例えばそれを代表としてテレビで考えるとさ、どうしても視聴率
   だとか人気だとかだけを意識してさ、「ウケ」だとか「話題性」ばっ
   かり追っかけすぎだと思うんだよね!
花子:あらま、そんなこと今に始まったことじゃなくて前々からだよー!何 
   を今更って感じでしょう。だって、テレビ局なんかいくつもあるんだ
   から、面白くなきゃ見てくれないでしょ!ウケナイ番組創ってもスポ
   ンサー付かないわけだし、当たり前っしょ!
太郎:そこそこ、そこなんですよ!
花子:なにがそこなのさ?
太郎:「ウケればいい」「面白ければいい」ってことがさ、見てる側にどう
   伝わるのかってことさ。
花子:はぁー! どゆこと?
太郎:その、「はぁー!」ってのやめなよ。聞いてる方は腹立つだろ?ま
   あ、それもテレビの影響だろうけどさ、会話を険悪にさせるだろ?
花子:そう?
太郎:それなんだよ!「一億総白痴化現象」って言葉聞いたことあるだろ? 
   この言葉はさ、俺が生まれた頃にね、評論家の大宅壮一という人がね
   「テレビは非常に低俗なものでテレビばかり見ていると人間の想像力
   や思考力を低下させてしまう」というような意味で使った言葉で、も
   っと強烈な言い方にするとさ、「テレビばっかり見てると日本人はみ
   んな馬鹿になってしまう」という意味さ。
花子:「白痴」ってほんと強烈な言い方。今そんなこと言ったら大バッシン
   グだろうね!
太郎:当時だってかなりインパクトあったんでないかい。なんつったって、
   テレビ放送が始まった頃だからね。でもそれだけにさ、日本全国同じ
   番組を見てて「面白ければいい」「ウケればいい」だけでしかない番
   組に危機感を覚えたんだろうね。だって、面白さはどんどんマンネリ
   化してく訳だから、さらにどんどん過激な内容になるし、「バカなこ
   と」やりだすに決まってるんだからさ。今ならもっとだろ!
花子:そうねー、何が馬鹿なことかわかんなくなってるかもしれないよね
   ー。
太郎:それこそ「総白痴化」でしょ!
花子:でもそんなこと誰も感じてないよ・
太郎:だから、まずいんだべさ。
花子:あら、珍しくもモロ北海道弁で!
太郎:いやあのね、やっぱさ「メディア」全体をテレビで代表させて言うけ
   どね、やり方間違ってるよ。独自性も工夫もなんもかんも手抜きで
   さ、どっかの「ウケタ!!」と言われてるものシラーっとパクッテる
   ものばっかりなんだから。
花子:あら、あんたも「パクッテる」なんて言葉使うの? 爺さんっぽくな
   いからやめなって。そういう言い方。薄っぺらい人にしか見られなく
   なるよー!
太郎:はいはい、わざとそんな言い方してみたんだけどさ、同じようにテレ
   ビの番組作りも薄っぺらいと思わないのかい?どの番組見てもさ、お
   笑い芸人って言われるタイプの人とかタレントばっかり使ってさ、ト
   ーク番組だとかさ、ニュース番組だとかさ、コメンテーターだとか、
   ドラマだとか、みんなお笑いやジャリタレって呼ばれてた人ばっかり
   なんだわ。なんで……? 
花子:ジャニタレでしょ? ジャリタレって言い方じゃ失礼すぎるっしょ!
   まあ、どっちにしたって使われるのはその人たちが人気あるからでし
   ょ? その人使えば視聴率あがるんだから。しょうがないでしょ!
太郎:そこだよね。人気があるから、視聴率が上がるから、ウケるから。
   で、ニュース番組?コメンテーター?ドラマの俳優? テレビ作る側
   としてはさ、それで……いったいどうしたいの? 棒読みで活舌悪い
   のに、あえて俳優として使いたいわけ? 専門的な知識なんかまった
   くないのに時事問題や国際問題のコメントをしゃべらせたいわけ? 
   で、別な番組ではその人が馬鹿なトークで盛り上がってるわけなんだ
   よね。それ見てる視聴者はどうなるのかなってこと考えない? 
花子:そんなこと言うなら見なきゃいいでしょうに!
太郎:そう、見なきゃいいんだよね。でもね、日本全体を考えたらさ、それ
   でいいのかってことさ。何が本物なんだかわかんなくなってしまわな
   いかい?良いものと悪いものの区別がつかなくなんないかいってこと
   さ。アイドルで人気があるからって、まったく似つかわしくないドラ
   マの主人公になっちゃったタレントをほめ散らすテレビやメディアの
   白々しさを黙って見てていいのかってことさ。日本をダメにすること
   だよ! それこそ「一億総白痴化現象」だよ。何にも違和感覚えもし
   ない、考えもしない人間を作ることになってるんじゃないのかってこ
   とよ。だって誰が見ても下手なものは下手。中学の学校祭の劇以下だ
   よ!それを何で褒めなきゃなんないわけ?

花子:そんな大げさなこと言ってんのあんただけだよ!
太郎:そうだな、俺だけだからダメなんだよ。
花子:だっていいじゃない楽しけりゃ?
太郎:そうなんだよ、白痴化された人間は何にも考えなくていいから楽しい
   と感じるんだよね、なんでも。それがいいのか悪いのかわかんないん
   だからさ。それこそ、大宅壮一さんたちが恐れてたことなんじゃねえ
   の?!
花子:そうなの?
太郎:俺はそう思いますよ。
花子:なんか私たち二人に似合わない重いテーマになっちゃってますよ。
太郎:いやー、単純なんだ。ちゃんと良い番組創れよってえことさ! ウケ
   狙いのユーチューブと違わない番組創ってどうすんのさ!
花子:ユーチューブだってきちんとしたのあるんじゃないの?あんたもしょ
   っちゅう見てるじゃない。
太郎:もちろんそうさ。でもね、そうじゃないの多いだろ?テレビがそんな
   のと一緒でいいのかって?
花子:そうね。そういえばそうかなー。ユーチューバーがそのままテレビで
   幅聞かせてたりするものね。
太郎:困ったもんだろ?
花子:だったらどうすればいいと思う? 文句言うだけじゃなんも始まらな
   いっしょ?

太郎:あのね、芭蕉先生に関する話でね『不易流行』って言葉があるんだ。
花子:芭蕉先生好きだね!
太郎:このタイトル『笈の小文』だからね。で、その意味はね「変わらない
   ものと変えていくべきもの」みたいなことなのよ。日本の良いところ
   は変わるべきでなく、新しく変えていった方がいいものは積極的に変
   えていく。そんな考えで行かないとダメなんじゃないかな。古いもの
   はダメで新しいものに価値があるってことじゃないんだよ。また、古
   いから良いし、新しいからダメってことでもない。
花子:じゃ、何がいいんだかわからないじゃない?
太郎:そう、だからしっかりと考えて研究しながら進めなきゃなんないんだ
   けど、簡単にまねして終わりになっちゃうだろ。真似するにしても、
   何が良いのかしっかり突き止めて真似なきゃなんないのにさ、ただ形
   だけ飛びついちゃう。んで、なんだかわかんないけど放送しちゃう。
   結果ウケれば成功で、ウケなきゃ失敗で没になる。これじゃ進歩しな
   いし見せられる方は「バカ」になる。それが今のメディアの状況じゃ
   ないかい?
花子:ちゃんと考えて勉強しろって言いたいんだね。
太郎:そういうこと。
花子:なあんだ!
太郎:なにが?
花子:たいした小難しいことばっか言っても、結局は勉強不足ってことな訳
   ね。
太郎:全国民に対して伝えることなんだから、当然そうあるべきでしょう
   が!
花子:そうね。当たり前って言えば当たり前だよね。
太郎:そういうことをちゃんとやりましょうよ! ということで、今日は終
   わり。しゃべりつかれた。
花子:これじゃ、またいっぱいどっかからお叱り受けそうだけど、「ジジバ
   バ放談」だから、まあ良っか!!

   ああっ、そういえば思い出したぞ。「総白痴化現象」ってあんたがず
   いぶん昔に書いてた「ショートショート」だっけ? あの星新一真似
   して書いたやつ。あれに出てたっしょ?
太郎:あれー、よくそんな古いの覚えてたっしょ! まあ、初めて形にした
   作品だったな。『天使のスクリーン』って題名でさ。あのー、たしか
   「kindle」って電子書籍に載っけたはずだから、気になったら読んで
    みて!! 
         ⇒Amazon.co.jp: 天使のスクリーン eBook : 北 道生: 本


     今回はこれで本当におしまい。じゃまた今度!!

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