コラム:茶を点てるポイント

茶を知ること

昔は抹茶を購入するには、茶壺を茶師に預け注文した葉茶を詰めて届けてもらうものでした。今では細かく挽かれたお茶が缶に詰められ、ネットで手軽に求められまして、産地も京都は宇治、九州、静岡と茶園は様々ありまして、いろいろ試みることができます。抹茶に親しみがないと、お茶の味がただ苦いと勘違いしている方もいると思いますが、お茶の味には、苦みの中に甘さがあり、爽やかさが感じられ、香り豊かなものであります。それは土地、気候、詰めにより微妙な差があるのです。その違いを知ることによって自分好みの美味しいお茶を知ることになります。自分好みのお茶ですから自信を持って進められるはずです。


水を知ること


昔も今も、水にこだわりを持つ人々は多くいます。古くから茶人は水にこだわり、これを珍重しました。当時は井戸水で、丑三つ時を越えた明け方に水を汲み不純物を濾して使います。さらに、名水と聞けば遠方であろうと足を運び、客に振る舞うほどでした。確かに染井・縣井・醒井といった京都三大名水、名水百選にある水を使えばお茶の味は膨らみ話も膨らみます。現代では科学的にお茶は軟水が合うと言われますが、これらの名水は軟水が多く、古来は日常からそれを知ることができたのです。確かにヨーロッパの水など硬水ではお茶の味を鈍らせます。やはり日本のお茶には、日本の水なのでしょう。今はペットボトル等により、手軽にお茶に合う美味しい水を知ることができますが、山から出る湧き水、雪解け水、神社の由緒ある水を汲みにいく気持ちは詰められていません。本当のおいしさはそこにあるはずです。


心を知ること


客の前でお茶を点てる時、一番大切なことは、姿勢です。姿勢をただしお茶を点てますと手と茶筅が直線につながり茶筅が振りやすくなりお茶がきれいに点てられます。その姿を見ている客も気持ちよくいただけます。そして、姿勢をただすことには、もう一つあります。心の姿勢をただすことです。お茶を美味しく点てようという気持ちを持つことにより、心の姿勢はただされます。先の茶・水の二点は味覚に関することで、ただお茶を飲むことに重点が置かれている用に感じるでしょうが、お茶を選び、水を用意することには、美味しいお茶を点てようという心が既にあるのです。お茶は数を重ねるごとに自然と美味しく点てられますが、そこまでに幾つもの心を重ねていること忘れないでください。心を込めたお茶が美味しいお茶なのです。

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