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サイドアームにはまる

寝ても覚めても、89式のことが頭から離れなかった。40年前は新宿やアメ横にあったガンショップに行かなければ見ることのできなかったものが、今はネットで簡単に見られる時代だ。東京マルイの89式小銃にはガスブローバックと電動式があり、通な人々は「ガスブロ」と呼んでいることを知ったのもこの頃である。もっとも、エアガンそのものを初めて買うのにいきなり長物は厳しいんじゃないかともうひとりの自分が言う。そんなある日、ふらふらっと入ってしまったアキバ界隈の某店で、店員の勧めるままに購入したのが、これだった。

店頭にずらりと並んだエアガンを見て少し気持ちが高揚していたのもあったのだろう、隣にあった

コレと持ち比べてグリップが握りやすい方がいいだろうと(かつて実銃を撃った経験から判断して)E2の方に決め、後は「初心者なので、ひととおり必要なものを」とお願いして、必要なものをひととおり買って30分後には店近くのシューティングレンジにいた。スタッフに「全くの初心者なので、お作法から教えてください」とお願いし、言われるがままにマガジンにBB弾とガスを充填。「ではあのターゲットを撃ってください」と言われ、撃った....

「お客さんスゴいですね!3発撃って3発とも命中しているじゃないですか!」と少しうわずった声で話しかけてくるスタッフの声をとても心地よく聞いたのは言うまでもない。誰だって当たらないより当たる方がうれしいに決まってる。30年前、アメリカ某所でアホみたいに撃ちまくった時の感触が蘇ってきた。ああついに、実銃を経験した以上触ることはないと思っていた「弾の出るおもちゃ」に手を染めてしまった。その後の様子は、もし誰かに見られていたらと思うととても恥ずかしい振る舞いを毎日のように繰り返していた。連日連夜、そのレンジに通い詰めたのだ。しかし一週間ほどして、この銃にあっさりと別れを告げた。買った人なら誰でも知っていることなのだが、この銃にはファイアリングピンがなく、シューティングそのものは快適だが、刻印や部品形状など、銃としてのディテール(そもそもおもちゃに対してそんなことを思う時点ですでにオカシイのだが)が全くつまらない銃であることに気付いてしまったからだ。そこでさっさとこの銃を売り飛ばし

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やはり自衛隊ならこの銃だろうと、タナカワークスからリリースされていたP220 IC(9mmけん銃・陸上自衛隊仕様)を買った。モデルガン蒐集の頃からタナカワークスの銃を好んで集めていたこともあり、購入してから

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こんなところや

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こんなところを眺めて一人でニマニマしていた。それだけでやめておけばよかったのだが、ちょうどKSCから久しぶりにP226が再版されるというニュースを見て、お店に行ったらたまたま「最後の一丁です」という品に出会ってしまい

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買ってしまった。「同じSIGだし、マルイのアレよりもリアリティあるし」と自分に言い聞かせて。幸いにも独り者なので「似たようなものばかり買ってバッカじゃないの!」と角を立てる人がいないのが幸いだが、まだ初任給ももらっていないのに制服をテーラーメイドで仕立てて母を激怒させた父の血は、自分にも確実に流れていることをこのとき悟ったのであった。

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