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松林図屏風

今年も、松林図屏風を見に東京国立博物館へいった。初めて長谷川等伯の絵を見たのは、20年くらい前の同美術館の国宝展で、予備校をさぼって行った。

夏だったのでクーラーが効いていて、ひんやりとした室内だった。空調の音が微かに聞こえた。(国立美術館で空調の音なんて聞こえるのか、今考えると疑問だが)当時は、自分が絵の世界に入って、霧の中を彷徨っているような感覚になったのを覚えている。それは、二十年くらい生きてきて、初めての感覚だった。屏風、長谷川等伯、自分の想像力、よくわからないが何かの力によって、そんな感覚に陥った。

今回は、当時のように絵の中には入れなかったが、20年数年前と何も変わらない作品をみて、安土桃山時代からこの作品が経てきた年月を改めて感じた。等伯が制作しながら感じたことや考えたであろう事を今の自分と照らし合わせてみた。それは、20数年前とは違う見方だ。今後、長谷川等伯の松林図屏風は、20年後、50年後、私がお祖母さんになっても、なにも変わらず存在しているはずだ。その時に等伯の屏風を見て、私はどんな感想をもつのだろう。