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おじいさんとおばあさんの世界

よくいくパン屋でお昼ご飯を食べていたら、隣に座ったおばあさん3人組(65歳〜70才くらい)の1人が、その中の1人にダメ出しをしていた。家を出る時間を教えてあげたらしいのだが、怒られている方の人は早めに出てきてずーっとどこかでぼーっとしていたらしい。「せっかく教えてあげたのに、意味がないじゃない、腹がたつわ」と淡々と伝えていた。言われている方は、「はい。。はい。すみません。」と、どこかの新入社員が上司に怒られているときみたいに謝っていた。

その人たちは、席を取っていただけだったので、2人はパンやコーヒーを買いに行って、怒られていた方は、水を3人分汲んで、席についた。お年寄りが怒られる姿はどうにも辛くて、しかも、同じ年くらいの友達のような人に怒られているもんだから、余計に見てられなくて、チラチラ隣を見て観察していたら、おばさん集団とは別に、奥の席に座っていたおじいさんと目が合った。私は、何でしょうね…みたいな表情を私はしたのだけれど、おじいさんは、プイッと視線を外した。

あ、無視されたと思って、関係ないことには口出ししないのか、関わりたくないのかなぁなんて考えていた時、おじいさんの椅子の隣には白い骨壺が置いてあったのが目に入った。そのおじいさんはダブルボタンの喪服を着ていた。
私は、パンを食べきってその店を出た。