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日本企業におけるタックスヘイブンの手口(技術)

企業経営者にとって納税とは義務であり、国民に取っても義務であり、そのように教わってきましたが、どうやら違ったようです。

我々が考えないといけない事は少し視点を大きくした上で、その手口というか、もはや技術と言えるタックスヘイブンの事を知らなければならないです。

それでは、

日本企業がシンガポールや香港にタックスヘイブンとして会社を設立する理由

を簡単にご紹介します。

まず、香港やシンガポールが選ばれる理由としては、日本から地理的に近いというところが非常に大きな理由になっています。

では、どんな形態の会社なのか?で言いますと、

地域統括会社の設立

が増えています。

これはグローバルに事業を展開する企業がアジアやヨーロッパなど一定の地域にある子会社を対象にその地域の意思決定を総合的に行う為に設立する持ち株会社のことを指します。

では設立におけるメリットはなんなのでしょうか?

1 各国の子会社収益を直接日本企業に持ち込むとかかる高い法人税率を回避できる
→つまりシンガポールの法人を経由させるわけです。

2 シンガポールが締結している租税条約により、アジア各国の収益に対して課税されない、若しくは、低率の税率が適用される
→これが還流させる理由です。

3 日本のタックスヘイブン対策税制で本来ならば日本の本社の利益と合算課税されるが

地域統括会社はこの法律の適応が除外される

ので本社の利益と合算されない
→いかに骨抜きな対策をしているかと言うことが分かると思います。

4 地域統括会社の利益は域内で再投資できるが、日本の本社に送金もできる。

配当の形で送金すればシンガポールでは源泉課税されず

更に、日本でも

外国子会社配当益金不算入の制度

でその95%が課税されない
→これでお金はほぼ無税で戻す事ができましたね。

5 日本本社が保有する特許権などの知的財産資産を地域統括会社に移転しておけば、それの使用料や経営指導料の名目、利子などで支払えば日本の本社の利益を少なくして日本での課税を軽減できる

6 銀行秘密の壁が厚いので当局からの開示要求に銀行は基本的に応じる必要がない

これがシンガポールで法人を設立していく大きな理由の1つに当たります。

少しヨーロッパに目を移しますと、オランダは法人税率こそ25%と中程度ですが、国外の子会社からの配当に対しては非課税など、多国籍企業にとって有利な税制を提供しています。

これを資本参加免税制度と言います。


ここに中間持株会社を設立すれば外国子会社からの所得を無税でオランダに持ち込み、その所得を軽減税率で本国に還流させることができます。

※中間持株会社とは親会社と子会社の中間に設けて、複数の子会社の株式を管理するための会社を指します。

ちなみに日本のオランダへの直接投資残高は12兆円にのぼり、アメリカ、中国に次いで多いのです。その逆の日本への投資残高はアメリカに次いで2位になってます。

ルクセンブルクでも同様の制度が使えます。

更に、

アメリカにもタックスヘイブン州があり

匿名の金融口座を作れることで知られています。

例えばデラウェア州では1000ドルほどでわずか1時間で実質的所有者を隠してペーパーカンパニーが作れます。人口94万人に対して118万社の登記がされています。

現在はこのペーパーカンパニーはもっと多いと思います。アメリカの大企業の66%がこちらに登記されています。法人税は8.7%です。ネバダ州、ワイオミング州では法人税は課税されません。

またタックスヘイブンを考える上で重要なのがFSIという金融秘密度の指標です。一位はスイス次いで香港、アメリカと続きますが、日本も12位と不透明な国として実は評価されています。

多くの日本の大手企業と言われる会社は不透明な取引を繰り返しているのですが、報道も支配されているため、こういったことは一般には分からなくなっているのです。

いかがでしょうか?知るだけでも今は変わります。それにより未来が変わっていくのかと思います。まずは知りましょう。

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