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【インタビュー】森永乳業・白庄司さん

こんにちは!SEE THE SUNサイエンスコミュニケーション研究員の北島です。
今回はカスサミットでお世話になった森永乳業の白庄司さんにオンラインでインタビューしてきました!!noteを通じて共有できればと思います。
カスサミットについては↓からご確認ください。


カスサミットに参加した感想

──まずは簡単に自己紹介をお願いします

白庄司さん 森永乳業の白庄司といいます。カスサミットではクイーンカスとしてホエイについて語りました。以前はチーズの開発を行っていて現在は自社製品のアプリケーション開発をしています。

白庄司さんが開発に関わったチーズ

──カスサミットに参加していただきありがとうございました。カスサミットはいかがでしたか?

白庄司さん 酒粕がメインとなるイベントの中でもチーズやホエイのお話が出来て面白かったです。
実は自分はホエイに関してはいままでそこまで強い思い入れはなかったんですよね(笑)。もともとチーズの研究開発を行っていたのでチーズへの思い入れはあるんですが(笑)。ただカスサミットに参加してみてキングカスの渡部さんや参加者の皆さんの熱意を感じてとても刺激を受けました。

お仕事とホエイについて

──カスサミットに参加していただいたことで白庄司さんにも良い刺激があったようで嬉しいです!ここからはカスサミットでは聞ききれなかったホエイのお話やお仕事のお話を伺いたいと思います。
白庄司さんがこれまでどんなお仕事をしてきたか教えてください。

白庄司さん 就活の際には人の健康と食に興味があり森永乳業に就職しました。初めは北海道の工場からスタートして、その後研究所に行ったり留学したりしました。

──留学されていたんですね!

白庄司さん 当時の上司に「アメリカに留学しないか」って急に言われましたね(笑)。ただ自分は大学院に行ったわけではないので、いきなりの留学に不安が大きかったです。

──留学先ではどのような研究をなさっていたんですか?

白庄司さん 向こうではたんぱく質の構造やプロセスチーズの研究をしていました。ただ自分が向こうに行ったときには実験用の装置が壊れてしまっていて…そこで装置が直るまで自分で手作りの装置を作って研究の準備をしていました(笑)。

白庄司さんの研究にも関係していたミセルの構造
乳タンパク質である「カゼイン」もミセル構造だとか。
高校化学でやった内容だったのでちょっと驚きました

──自分で作っちゃうなんてすごいですね!その後はチーズについて研究されているとのことですが、お仕事の中でホエイとの関わりはどのようなものだったのでしょうか?

白庄司さん これはカスサミットでも話したんですが、ホエイはチーズを作る際に副産物として出てきてしまうんですよね。今はSDGsも意識して無駄を出さないようにということで、ホエイの利用方法が模索されています。
プラスチックやバイオ燃料への応用が期待出来たり、当社では発酵酢飲料の原料として使われたりしています。もうホエイがカスじゃない未来が来ているかもしれません。

ホエイ

──なるほど、ホエイの活用方法がそんなにあるとは思いませんでした!

食を支える科学について

──さて、ここからは少し話の話題を変えて食を支える科学について伺おうと思います。僕はサイエンスコミュニケーション研究員ということで食にまつわる科学と社会との橋渡しを考えているのですが、白庄司さんの考える食にまつわる科学にはどのようなものがありますか?

白庄司さん チーズにまつわる科学とかめちゃめちゃ奥深いですよ!!牛乳からクリームチーズやモッツァレラチーズ、パルメザンチーズとかあんなに色々なチーズが出来るんです!
これには発酵の科学であったりアミノ酸の等電点とかも関わってきます。

──めちゃくちゃ奥深いですね!アミノ酸の等電点なんて高校化学でやって以来聞きました(笑)実際に食品の現場で使われているのが驚きです。

白庄司さん ほかにも酵素の反応や微生物の科学、ペプチドの構造なんかもあります!

食を支える科学を伝えること

──ありがとうございます!サイエンスコミュニケーション研究員としては、これだけたくさんある食にまつわる科学を人に伝えることに興味があります。白庄司さんが食を支える科学を人に伝えるにはどんなことが必要だと考えているか教えていただきたいです。

白庄司さん やはり専門家と一般の方の間の壁を完全に壊す、なくすことは難しいと思いますね。丁寧に対話し、その壁を低くすることが大事かと思います。表現を分かりやすくしたり、伝える際にフォーカスするポイントを絞ったりすることが必要だと思っています。社内でもマーケティングの担当者と研究の担当者のやり取りがうまくいかないこともありますしね。

──なるほど、伝える際の伝え方はやっぱり重要ですね。食べる人との関係についてはいかがですか?

白庄司さん その製品のおいしさの背景にある科学が完全には伝わらなくても良いのかな思います。ただやっぱり知ってもらえるのは嬉しいですね!そういう意味では消費者の方と直接対話できたカスサミットの体験はとても新鮮でした。
あと、日本の食品ってすごいレベルが高いんですが、すべての製品が高品質だからそのすごさが気付かれにくいと思っています。海外だと、製品のばらつきが大きくてもある程度許容されていることもあると思います。製造者と消費者のお互いの寛容さも大切かなと思ったりもします。

──消費者と製造者の両方がおたがいのことを見ながら食について考えられたら素敵ですね。
そろそろ時間になってしまいました…たくさんのことをお聞きすることが出来てとても楽しかったです。今日はありがとうございました!

インタビューを通じて

今回は森永乳業でチーズの研究をなさっていた白庄司さんにインタビューさせていただきました。
白庄司さんのチーズに対する熱意が伝わってきてとても楽しかったです。お話の中でチーズの開発に高校で学んだ化学の知識が使われているということを知って「科学ってほんとに役に立ってるんだな~」と実感した時間になりました。食の科学、すごいですね~
後半で伺った食の科学と社会との関係については「壁を壊すのではなく低くする」という考えが素敵だなと思いました。どうしても「科学のことを100%理解してほしい!」と思ってしまいがちなサイエンスコミュニケーションですが、壁があることを理解したうえで言葉を尽くせればなと感じました。これからの自分の活動に生かしていきたいです!

最後まで読んでいただきありがとうございました。これからも科学と社会との関係を食を絡めながら活動していけたらと思います!次の記事も読んでいただけたら嬉しいです。

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