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ちょっと聞いて~-母と向き合う私のものがたり-

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認知症が進む実母と奮闘する毎日。 幼い頃は憧れだった母の姿。老いてゆくことは当たり前のこと。いつかは来ると覚悟はできていたつもり。私もゆく道なのだから。怒りたくない、理解してあげ…
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#介護生活

No.20 母の家

へっぽこ娘  私たち兄弟は母には何も伝えずに自分たちの判断で母の特養入居を決めた。認知症が進んでいる今の母の状況からするとそれは仕方のない事と思いながらも、少し後ろめたい気持ちは否めなかった。このまま何も伝えずに入居させるのはさすがに失礼であると思い、入居日までに伝えられればいいなとは思っていたが、それを知った母がどのような思いになるのか想像できず、少し怖い気もしていた。どのように伝えたら母が傷つかずに受け入れてくれるのかも含めて伝えるタイミングを見計らっているような日々が

NO.18『お願い、出てきて…』

へっぽこ娘 ある日の夕方、階下から私を呼ぶ声がする。「どうしたの?」と降りていくと「私は流していないんだけどね」と言いながら母はトイレの便器を指さした。覗いてみると「え~~~っ!!」水が溜まっているところに何やら白い物がちょっとだけ顔をのぞかせている。トイレットペーパーではないことは明らかだった。 「これって、もしかして尿とりパッド?!嘘だよね?!だとしたら大変!」あれには高吸水性ポリマーとやらが入っていて、水を吸うとものすごく膨らむことを私は知っている。以前母のズボン下に