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恋の初期設定を修正する

なぜに私の恋はこんなに切ないのか?うまくいかないのか?
あるときふと、素朴に、疑問に思ったときがある。
不倫でもないのに切ないことになる理由。それは「(自分にとって)変わった人、コアが合わない人と付き合うこと」である。なぜか毎回無理が生じて苦しむ恋に、もしかしたら私の初期設定に問題があるのでは?と思った。

10代になったばかりの頃、強烈に好きになったバンドがあった。それまで親が聞く歌謡曲(加山雄三とか、べーやんとか、よくてマッチとか)をなんとなく聞いていた私にとって、その世界観の変換は大きかった。そのバンドは、男性と女性のツインボーカルで、歌詞が大人だとかエロいとか言われていたが、彼らが歌っていたのは一貫して「愛する人と心が通わない切なさ」だった。私はその世界に11-13歳あたりでどっぶりと浸かった時期があるため、それが自分にとって「恋ってコレ!」という誤解(?)に繋がったのではないか。と推測したのである。

同じクラスの友人たちと、将来したい恋愛について話しあっていた頃(かわいい)「六本木の交差点で一目惚れではじまって、振り回されるやつ」とか言っていたのは私だけだった。私にとって恋は文化祭にも転校生にもなく、夜の大都会だったのだ(実際にそれをそのまま大人になり実践することになるから設定って恐ろしいな〜と思う。)初期設定は、気づけば割と楽に変えられる。もうそろそろトリッキーな恋はやめようと私は「ラブ・アクチュアリー」や「しあわせのパン」を熱心に観た。まもなく、夫となる人の存在に気づいた。ああこの人は無理のない人だと感じた。

私にそんな遠回りをさせたバンドの、1988年当時のライブが昨日映画館で上映された。やっぱりかっこよかった。好きになってよかったよと改めて思った。男女の切ない曲ばかりなのに、脳内が勝手に当時の引き出しをあけて「遠足」「塾」「ジャージ」「運転するお父さん」などの子供時代イメージが出てくるのが面白かった。


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