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まえがき(恋と同じくらい大切にしてきたもの)

私の職業は、コピーライターです。
といっても、「不思議、大好き」のようなでけぇコピーや
「TSUBAKI」のような1日何万人もが口にするであろう
商品のネーミングをするようなことはなく

港区にある、社員20人ほどの小さなデザイン事務所で、
中小企業のお客様に頼まれたパンフレットやムービーやwebを
作るためにコンセプトを作ったり取材をしたり
文章を書いたりするコピーライターです。

23歳で社会に出て(いちどひっこみますが)いま、42歳です。
私は、恋で人生を学んできたと思っていましたが、どうやら仕事からも
多くのことを得てきたのだな、と最近気がつきました。

「私は仕事ができない、無能である」
ずっとずっとずーっとその劣等感を抱えてきました。
それには理由もありますが、最近はちょっと違うように思っています。
「私は仕事ができないかもしれないけど、好きである。
好きかもしれないけど、やりたくないときもある。
やりたくないときもあるけど、人の役に立てたらやっぱり嬉しい。
たまには、人の役に立てるような仕事ができる瞬間もある。」

自分で言うのもなんですが、この文章に成功体験はあまりありません。
自分にとってしか大事じゃない出来事が積み重なっています。
私は、仕事のなかでもインタビューが好きです。
特に、仕事に関するインタビューが好きです。
求人広告の仕事からコピーライターデビューをしたことと
関係があるかもしれません。
これは、自分にインタビューした「仕事!」論です。

私は10代の頃から、アホみたいに恋愛にエネルギーを割いてきました。
恋愛がいちばん偉い、その他のことはどうでもよいと
本気で思っていましたし、その過程で邪魔になる
色々なものを捨ててきました。
なかでももっとも邪魔だと思っていたのは、結婚適齢期でした。
一生独身でいるつもりだった私が抗えない流れで35歳で結婚をし、気づいたのです。私、恋愛と同じくらい、コピーライターという仕事は守り続けてきたんだな、と。そして、子どもを持たない選択をしたいま、改めてそんなに大切にしてきた(という意識はなかったですが)自分の仕事について、まとめてみようと思いました。それがこのマガジンの趣旨でございます。

まずは、コピーライター前夜。
クラシック音楽の事務所にアルバイトで入ったときの話から。

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