ハイパーオートメーションという理想郷で仕事の自動化とフルマネージドな組織が生まれる?
ハイパーオートメーションとは?
ハイパーオートメーションは、複数の機械学習、パッケージソフトウェア、自動化ツールを組み合わせて業務プロセスを最大限に自動化するコンセプトです。ロボティックプロセス自動化(RPA)の進化形で、AIやMLの進歩を取り込み、自動化の範囲と深度を拡大しました。組織は高速かつ効率的に業務を実行し、柔軟性と生産性を向上させることができます。
デジタル変革が進む中で、企業は人間による業務の効率を上げるだけでなく、業務そのものを自動化する必要性に迫られてきました。これによりRPAが登場し、その後AIやMLの進化によって更に自動化の範囲と深度を広げ、ハイパーオートメーションという概念が生まれました。
ハイパーオートメーションの具体例
toB事業のコールセンターをチャットBotとヘルプにして、専門的なコンサルティングサービスを有料化することで予算に合わせたソリューションを提供する。これまでのやり取りログからヘルプを自動生成する。
請求書の自動取り込みをバクラクで取り込んで会計システムに連携・仕分けの自動化と管理会計のリアルタイム化。RPAと組み合わせて管理会計の結果を各部門ごとにレポーティングをしていく。付随する売掛金の管理や入金の消込、請求金額の修正などのタスクをAIに自動修正してもらう。
トイレットペーパーから仕入れまで調達活動にかかる調査コストをAIに任せる。販売側がAIで対応し始めると、購買側はそのAIに対して見積もりが取れるようになるので、AI to AIで相見積もりやコストダウン調査が行えるようになってくる。
労務担当をAIに。打刻システムから給与システムに自動連携、規則・規程・年末調整をLLMに学習させて問い合わせをAI化、社会保険の手続きをSmartHRで自動化していくと1人でも大企業に対応していくことができます。
組み合わせれば今でも結構できることがありますが、まだまだ難易度高めで普及はしてないですね。
ハイパーオートメーションの世界では労働生産性に革命が起きる
1人で出来ることがAIによって大幅に拡張され、自動化され、それが収益を産み続けるので、より自分の労働生産性にフォーカスしていく時代が来また感があります。
意味のある仕事にフォーカスし、定型的な業務を自動化していくスキルが求められてきます。
工業化でも同じことが起きたので工業化の歴史の振り返りをしていきましょう。
工業化の極地はファクトリーオートメーション
産業革命は18世紀の半ばから後半にかけてイギリスで始まったと言われています。
手作業が機械に変わって大量生産・低価格での供給が可能になりました。
その後長い歴史を経て、ファクトリーオートメーションという言葉が生まれたのは1970年代で、その原因になったのはコンピュータ技術の進歩によって人間が操作しなくても機械だけで完結できるようになりました。
そこから30年かけて自動化が進み、現在では完全なファクトリーオートメーションの理想郷に到達した工場もいくつかあります。
ファクトリーオートメーションのおかげで、低価格で高品質なものが増えて人間の生活は豊かになりました。
もっと楽したい。
RPAでの絶望とLLM(GPT)への希望
RPA技術はホワイトワーカーの自動化技術でしたが保守性に問題がありました。
せっかく自動化してもシステムは常に最新にリリースされます。(工場と違ってものすごく頻繁に!)
RPAが動かなくなると人間が修正する必要がありますし、要件を満たすためには若干のコードを書いたり、システムを導入したりなんやのかんやの大変でした。
定形で簡単な業務はRPAで解決されることでしょう!
(僕の業務はRPAで解決されないことに絶望)
GPT-4の登場で事態が変わります。
修正コードを自分で生成させたり、自動修復できるようになるので保守が必要なくなり、実際の作業ログから同様の作業をかんたんに学習することができるのでは?
https://wired.jp/article/fast-forward-gpt-4-minecraft-chatgpt/
工場と同じで知的生産に必要な要素を組み合わせて自動化が実現できそうな雰囲気が出てきました。
少なくともGPT-4の書くコードは優秀なプログラマーレベルで、たまに間違いますがそれはレビューの仕組みを入れるなりすれば解決可能なレベルであり、変更に自動適用していくための要素技術ではないかと感じています。
ハイパーオートメーションの理想郷
現実に戻ってまだ僕の仕事のほとんどは全然自動化されていないし、DRY原則に反してることを毎日リピートしています。
まだまだ自動化するのが大変なので、まぁいいかって感じでやっちゃっていますし、ほとんどの人はそうではないでしょうか?
今我々がおかれている知的生産の現場は、基本的にはソフトウェアの力によって少ない人数で多くを管理できるようになるトレンドにいます。
便利にはなっていますが自動化はされていないので、月末月初は請求書を意識したり数値管理のためにSQLを叩いてシートからグラフを作ってスライドでまとめています。
いいかげんこんなダルいことは辞めたい。
でもかんたんに出来ない。
フルマネージドな組織の登場?
自動化を自分たちでなんとかするのは難しい。DXは進まないしシステムのプロジェクトってそんなにうまく行ってないですよね。
BPOの文脈で仕組みがプリインストールされたチームをそのままBPOしたり、内製したくなったら内製化したりとなんだかシステムでいうフルマネージドサービスのようなのが組織にも適用可能ではないでしょうか?
手っ取り早く自動化の恩恵を受けたい企業向けに、すでにハイパーオートメーション化された組織を自分たちの組織に簡単に取り込むサービスなんかが出てきそうですね。
ハイパーオートメーションで仕事が自動化することで、経営管理における知識・ノウハウのコンサルティングからソリューションそのものをデプロイする感じになってエンジニアとしてはワクワクが止まりません。
このフルマネージドサービスを従量課金で少額で利用できると大企業だけでなく中小企業やフリーランスでの生産性も全体的に上げていけるかもしれません。ワクワク。
今後の予測
ファクトリーオートメーションが何十年もかけて実現されてきたように、知的生産の現場でも様々な要素技術のパーツが組み合わさることで、様々な業種・業界・仕事の自動化が徐々に実現されていき、DRY原則(Don't Repeat Yourself)が現実社会にも実装されていくのではないかと考えています。
1個ずつChatGPTのようなパーツがリリースされていって、それが組み合わさることで1個の仕事がやっと自動化されるみたいな感じでものすごく地道だけど一歩ずつ仕事が変わっていくイメージ。
だってクソダルい仕事あるもんね!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?